【チューニング記/RCF】現状把握の結果#2/全4回
主旨
この"チューニング記"は私が愛車・LEXUS RC Fを、"走りの性能"をより追求して磨き上げていくことをテーマにした雑記です。
官能性の高いV8エンジンを心臓に持ち「こんなクルマでサーキットを走ったら絶対に気持ち良い!」と思わせるRCFですが、実際にサーキットで走らせてみると意外と「市販車」としての制約や、より広いユーザーを満足させるために"敢えて尖らせなかった部分"もあるようだと感じます。
そこでRCFが持つ世界観を大切にしつつ、量産状態を"原石"と捉えて"走りに寄せた研ぎ込み"をしたらどこまで"走りの性能"が引き出せるのか?という興味と野望を持ってRCFにチューニングを施します。
その様子を、「面白そう」と思って頂ける方に少し覗き見して頂くという趣旨のコンテンツです。
ノーマルRCFのインプレ
今日の話は「ノーマルのRCFってどんな感じ?」という内容でお届けします。
今回の内容もどうしても長文になってしまうため、「読んでられるか!」と思われてしまわないように、各回ごとに完結の全4回に分割してお届けします。今回は#2です。
そしてすみません、今回はとっても長い(約3400文字)です。
RCFの全体感
#1で書いたRCFの全体印象をおさらい。こんな印象の車です。
続・各評点の理由
それでは、各評点の細かな理由の続きを書いていきます。
旋回性能の採点理由
旋回に関しては、5点満点中3点を付けました。
3点というと普通っぽい印象を持たれるかと思いますが、
RCFは旋回に厳しい車です。
にもかかわらず、意外と曲がります。
#良く曲がるとは言えない
#なんとか曲がる
RCFの諸元を見ると、厳しさが見て取れます。
車重:1790kg
とにかく重い車なんです。
R35 GT-Rのように「最適重量理論」を掲げられるような今までにない工夫は織り込まれていません。純粋にV8エンジンが重い。それが車の頭にずっしりと乗っており、重いんです。
軸重から読み取る前後重量配分は「55:45」。
「50:50」が良いなんて耳にしますが、随分とフロントヘビーです。
フロントがリヤよりも170kgも重いんですよね。
ですからこれで「なんとか曲がる」のはそれなりに大変なことなんです。
ただ、これで「気持ち良く"スポーツドライビング"が出来る」かというと、そこはお世辞にも言えません。
ですから3点(加点はできない)という評価になります。
サーキットに初めてRCFを持ち込んだ日の動画がこちら。
TVD(トルクベクタリングデフ)がついた仕様だとまた印象違うのでしょうが、トルセンデフだとこんな感じです。
今、客観的に考えて「どうにか曲がる」と評していますが、この日は「げ、全然曲がらないなぁ・・・」と感じました。(笑)
#これで3点をつけるのは甘い?
#でも自分の車だから
#良い点つけたくなりますよね
#客観的に判断しろ
RCFはノーマルのままで乗る前提ならばTVD付きを選んだ方が良いように思いますね。TVDならばリヤの駆動力配分で車が曲がりますからもっと気持ち良く曲がっていくと思います。
なお動画内ではコーナー立ち上がりでリヤがズルズルになっていますが、
これはアンダーステアが起因の「アンダーオーバー」。
曲がらないためにコーナー出口まで舵角が残り、その状態で(心理的に焦って)アクセルを開け始めると舵角が大きいためにリヤが流れるんですよね。
これもアクセルを踏むことを阻害される特性で、「加速」への不満(もどかしさ)を生んでいます。
タイヤのグリップが高ければこの挙動は目立たなくなっていくのですが、
「タイヤのグリップが落ちてきたらこうなるよ」ではなくて、「タイヤのグリップが落ちてきても気持ち良く走れるよ」を目指したいため、ここは課題視しました。
制動力の採点理由
続いていきます。
制動力に関しては、5点満点中3.5点を付けました。
#ここも思ったより低得点?
#なんで?
RCFはこの通り、車格に見合う大型のブレーキを搭載しています。
この見た目ですから、さぞブレーキは強烈なのだろうと想像されるでしょうが、私がこのブレーキに対して持った印象はこうでした。
「ソフトタッチで奥が崖」
#崖です
#え?
まず、「ソフトタッチ」は高評価なニュアンスです。
"強いブレーキ"というと、少し踏むだけで強烈に効いてしまう(カックンブレーキ)という特性になりうるものですが、RCFのブレーキはそうではありません。
大径のマスターシリンダー(15/16インチ)を搭載して、"カチッとして、リニアな効き始め"という好特性を備えています。
低踏力で非常に扱いやすく、街乗りは快適そのもの。減速の開始で姿勢を緻密にコントロールできるため、スポーツドライビングのシーンにおいてもここはとても良い感じです。
しかし、「奥が崖」が頂けません。
具体的に言うと、「高踏力域では呆気なくABSが介入」ということなんです。
ABSがブレーキ油圧を緩めた時に制動力が一気に抜けて制動距離が伸びる。だから制動距離に余裕をもってじわっとブレーキングを行ったときは非常に良く効き、よく止まるのですが、少し制動が遅れてブレーキペダル踏力を一気に高めた時はフロントが即座にロックしてしまい、ABSが介入するんです。
これは前後バランスが良くない(フロントが強すぎる)という特性と、もしかしたらフロントのサスペンションが縮み切ってバンプタッチしてしまうのかもしれません。その特性に対してグリップが低いタイヤ銘柄(MICHELIN PILOT SUPER SPORT)も悪さしている感じです。
フロントのブレーキがリヤに対して強すぎるとリヤに制動力の余裕があっても先にフロントがロックしてしまうため、タイヤ4本の制動力が有効に使えず、フロントのブレーキ圧が抜けると車は止まらなくなります。
ただし、リヤが先にロックしてしまうと車はスピンしますから、緊急ブレーキ時に先にフロントをロックさせよう(緊急時によりハザードリスクを下げよう)ということを設計的に狙うとフロントのブレーキは強くなるんですよね。
#敢えての設計かもしれませんが
#サーキットでこれが起こると恐怖
#攻め込めない
もう一つはバンプタッチ。ここは正直分析を割愛してしまいましたが、
勢い良くバンプタッチしてしまうと、そこで一気にグリップ限界を迎えます。
#当てるならゆっくり
#きちんと当てる
RCFのサスは街乗りでもそれなりに快適に走れるように柔らかく、バンプタッチさせてロールを抑えるという感じの脚ですから"そうじゃないかな"と推察した次第です。
ハイグリップタイヤを履いて、フロントサスの容量を確保すれば良いブレーキだと思うのですが、ちょっとこのままは無いかなというのが感想。
3.5点の割には不満メインの評価になってしまいましたが、私はブレーキに対しては変態的にうるさいという自覚がありましておそらく私の不満は相当にマニアックだと思います。
そこを差し引くと「このブレーキ、悪くないよな」という冷静さをもって3.5点はつくでしょうと考えました。
4点がつかなかったのはブレーキのせいではなくてタイヤのグリップの低さによるタイヤロック限界の低さです。RE-71RSやA052といったハイグリップタイヤを履いてインプレッションしたなら4~4.5点を付けたのではないかと思います。
#車は総合性能
#"部分"じゃ性能は決まらない
ノーマルRCFを楽しんでいる方に対してのフォローをしておくと、私のブレーキ性能の物差しは2015年から7年にわたって使っているDECK MECHANICAL POWERのAP Racingブレーキシステム。
前後ブレーキバランスが緻密にとられ、本当に奥の奥までブレーキペダルを踏んで効かせることが出来るこのシステムが基準だと、多くのブレーキはシビアな目で見てしまいます。
RCFの純正ブレーキは悪くはない、、、というか大抵の車のブレーキに対して相当に優位です。それでも不満を感じてしまうというのは私の病気なのかもしれません。(苦笑)
#私の問題
#急に客観性失うのやめろ
#お前、エンジニアだろ!
今回はここまでです。
長文お付き合いいただきありがとうございました。
もし面白いと思って頂けるようでしたら、また次回も読みに来てください。