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お弁当とブリコラージュ

お弁当をつくる。
冷蔵庫の中の食材を寄せ集めて、
それなりに料理して、
炊いたごはんといっしょに詰める。
詰めるときに、詰めやすいような並びで詰めて、
しかも見栄えもいいように、配色も考える。
だから、寄せ集める段階から、完成予想図がアタマの中にあって、
でも途中で違う味付けにしたりして、
味付けが違うと色も違ってきたり。
たとえば、全体茶色っぽかったら塩味にしてみるとか。

芸術家で京都市立芸術大学教授で<父ちゃんのお弁当>でも有名な小山田徹さんによれば、
冷蔵庫の残り物で料理する、というのは、
「現代で疎外されつつある能力」
だという。

コンビニやスーパーで惣菜を買ったほうが、
手軽で安くて、ときに美味しい。
合理的だ。

組織経営などでよくいわれる「ブリコラージュ」ってやつで、
「寄せ集めて自分でつくる」「修繕する」
というのがもともとの意味。
イノベーションするときに、新しい組織を立ち上げたり、
新しい資源を投入したり、それで計画通り、設計図通りに仕上げていく、
結果、時間がかかって時機を逃しましたね、
っていうよりも、
持っている資源を活かすように、よく考えて、
試行錯誤しながらちゃっちゃと繕っていく、という。

小山田徹さんが「BENTO お弁当展」の図録の中で書いていたのは、
ブリコラージュの力が、いまの学生たちには欠けている、ということ。

たとえば、探究の学習のとき、
キーワード検索をして、ヒットして、読んで知った気になる。
「浅く剽窃をしてるだけ」
小山田さんは厳しい言葉でいう。
「なにかを探すために、一冊の本を読むということをしない」
と。
「選択肢を用意されて、その中から選ぶことが主体性だと思っている」
と。
「日々のブリコラージュの体験が少ない」
と。

ブリコラージュの体験が少ないのは、学生だけではないだろう。
そうした学生がビジネスパーソンになっていくので、
いまのビジネスの界隈でもそうとうにブリコラージュが足りていない、と見る。

ブリコラージュを鍛えるために、いい方法がある。
(みんなhow to、近道好きだもんね)

お弁当をつくろう。