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しょう油の香りが立つジューシーな唐揚げが美味しい理由

朝市で唐揚げのテイクアウト店を出したら、
1時間で完売した。びっくりした。

40パックの小さな成果だったけど、
大きな自信になった。
(その夜は大きな地震があった……)

釜石の「ローカルベンチャー」グループと、
大隈塾リーダーシップ・チャレンジがコラボしたらどうなるか。
ローカルベンチャーは釜石に移住してがんばっている個人事業主。
大隈塾は企業のビジネスパーソン。

ローカルベンチャーは個人、地域。
大隈塾は大きな企業、東京。

釜石にちなんだ鶏の唐揚げをつくろう!
とアイディアを出したのは、Jオイルミルズのしゃん(ニックネーム)。
食用油の会社だから、なんでも油で揚げたがる笑

鶏の唐揚げは国民食というか、
肉食で揚げ物食べる人で、
鶏の唐揚げきらいな人はあまり聞いたことない。
調べてみれば、岩手県は宮崎県鹿児島県に次ぐ、鶏肉の大生産地。
しゃんはさっそく会社を巻き込み、日本唐揚協会にも声をかけ、
会社のキッチンとスタッフで試食会。

釜石のお土産用ラーメンの粉末スープ4種と、
(しょうゆ味、みそ味、しお味、うに味)
釜石の醤油といえば「藤勇」、のめんつゆをつかった唐揚げを試作。
奥州どりを藤勇醸造のめんつゆに漬け込み、3分15秒揚げる。
食べてみると、これが美味い!
ラーメンスープの唐揚げも美味しいけれども、
とくに藤勇のめんつゆ唐揚げが絶品。

これはイケる!と大はしゃぎして東京からもどってくると、
釜石サイドも驚いてくれ喜んでくれ、たけど、
「東京からアイディアを出して、釜石で定着したものはない」
とグサリ。
東京で考えて釜石に持ち込み、
実際にやってみるけどオペレーションがうまくいかない。
なぜか。
地元の意向、これまでの文化、それまでの努力、
無視しているわけではないが、理解以上共感未満。
だから、打ち上げ花火みたくどーんと派手に打ち上がるが、
その直後から消滅がはじまっている。

東京での試作から10日後、
地元の地域商社「かまいしDMC」へのプレゼンテーションした。
そのときに朝市に出店を提案され、
実際に朝市の日を迎えるまで1ヶ月。
何度もオンラインでミーティングを重ねて、
役割分担して、最後はあれはどーなったこれはどーなる、
お約束のドタバタ劇もあり、カベを何回か越えてきた。

宝来館のおかみさんからの紹介で、
地元の業者に製造を協力してもらい、
東京からしゃんが機材(フライヤー)とレシピを持ち込み、
そして何より、会場では釜石サイドのメンバーが、
出店しているすべてのお店へのご挨拶と商品の購入。
大隈塾の唐揚げ店では、お客さんは「大隈塾」という店名にはいぶかしむが、
地域での顔なじみが売り場を担当してくれてるので、安心。
会話をしながら唐揚げを売って、手渡ししてくれた。

お客さんのほとんどが、「藤勇」のめんつゆをつかった唐揚げに驚く。
身近にある調味料でこんな唐揚げができるのか、って。
これは「地域おこしあるある」で、
地元の人たちは、自分たちのすぐれた資源に気がついていない。
自分たちの優れたものをヨコへ置いておいて、
企業が欲しい、コンビニが欲しい、インフラが欲しい、と。

「ないものねだり、から、あるもの探し」

地元の人たちとのつながり、自分たちの食べ物。
これが「完売」の決め手となったんだと思う。