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石でつくるスープの物語

「ストーンスープ、ってなに?」
大隈塾のコミュニティの図を見せたら、
そう聞かれた。

むかしむかしあるところに、っていうお話。

ある村に旅人がやってきて、
「ここの村の石は、美味しいスープがつくれるから鍋を貸してくれ」
といった。
そんなバカなことがあるもんかとは思ったけど、鍋を貸した。
旅人は鍋にほどよい大きさの石を入れ、
水をはって火をおこして、石を煮始めた。
村人たちは、興味津々。
どんなスープができるのか、
ホントに美味しいのか、ワクワクしていた。

「ぅん、うまい」
味見をした旅人はそういった。
「ただし、にんじんがあればもっとうまくなる」

それを聞いた村人たちは、大喜び。
「にんじんなら、おらんちにあるよ!」
といって、ニコニコしてにんじんを持ってきた。

にんじんを鍋に入れて、しばらくして旅人は、
「ぅん、うまい」
味見をしてそういった。
「ただし、肉があればもっとうまくなる」

そうやって旅人は具材を入れては味見を繰り返し、
そのたびごとに村人は、たまねぎやじゃがいもやお豆などを差し出した。

まだかまだかと見守ってる村人たちに旅人は、
「できた」
といって、村人たちにスープを食べさせた。

「うまい!」「美味しい!」
村人たちは口々にそういった。
「ここにある石で、こんな美味しいスープができるなんてすごい!」
村人たちは大喜びした。

村人たちは気がついていなかった。
スープを美味しくしたのは、みんなが持ち寄った野菜や肉だったことを。

でも村人たちは、そのあとずっと、みんなで石のスープをつくって食べた。
村でけんかする人なんていなくなった。
スープをみんなで食べて、村は平和になって、みんな幸せになった。


というお話を、友人のクニちゃんから聞いたことがあった。

人はみんなそれぞれ、才能を持ってて、
それは大きい小さいはあるけど、関係ない。
その才能を持ち寄って、みんなで力を合わせれば、
良い社会になっていくんだよね。
これって、才能主義、タレンティズム、っていうんだろうね。
キャピタリズム(資本主義)はそれはそれでいいけど、
タレンティズムな世の中でありたいね。

クニちゃんはそういっていた。

2002年に始まった大隈塾から卒業生がでて、
それがだんだん増えていって、
休みの日に集まって勉強会したり、キャンプしたり、BBQしたり、
そうしているうちに、大隈塾の現役の大学生たちも交じるようになり、
OGOBたちは大隈塾の後輩たちの役に立ちたくなって、
ちょこっとだけど、おカネを集めて支援することになった。

おカネを扱うんだったら、法人の団体にしたほうがいいね、
ということになって、一般社団法人をつくることになり、
名前は何にしようか、となったときに、
ストーンスープの話を思い出した。

ストーンスープの話は、まさにいまの自分たちのこととぴったりあっていた。
大隈塾のコミュニティは、タレンティズム(人材主義、才能主義)だ。

ということで、名前をストーンスープに決めて会社を立ち上げ、
ストーンスープの勉強会コミュニティを
「ストーンスープ・フォーラム」と呼ぶことにした。

いま立ち上げようとしている「大隈塾コミュニティ」も、
もちろんタレントリズムがその背骨になっている。
人数が増えて、タレント(才能を持った人)がばらばらになっているから、
もう一回そんなタレントが集まる、
ストーンスープ的なコミュニティになったらいいな、と思っている。