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救急車では生命は救えない

救急救命の講習を受けてきた。

地域の特徴

マネキンを使って胸骨圧迫(心臓マッサージ)のやり方とか、
AED(電気ショック)の使い方とか、
のどに食べ物が詰まったときの吐き出させ方とか。
そういうことを教わってきた。

朝9時から12時まで3時間、あっという間だった。
(途中、10分と15分の休憩あり)
参加者は20人ぐらいだったけど、
そのうち友だちが3人もいて、
救急救命なんてあまり一般的じゃないことを学ぶ人が身近にいる、って、
なんだかやっぱり釜石ってのは独特なコミュニティだなあと思った。

消防団

胸骨圧迫とAEDの使い方は、知っていた。
東京に住んでいるときに消防団に入っていたので。
(目黒第一分団、みなさんお元気でしょうか)
消防団界隈では毎年、救急救命のPRコンテストみたいなのがあって、
それぞれの分団が、救急救命がいかに大切か、
そして意外と簡単なことをわかってもらえるようにPRする演技を競い合う。
コンテストだから、勝ちたい。
勝ちたいから練習する。
ということでわたしは、胸骨圧迫とAEDの使い方は知ってた。
消防団に入っていなければ、
ぜったい自分には無縁のことだと思っていたに違いない。

突然心臓が止まると

さっきまで普通にしていた人が突然心臓が止まって亡くなる、
「心臓突然死」はとても多くて、年間1万人が亡くなるそうだ。
講習で例に上げていたのは、スポーツしているときで、
野球でボールが胸に当たったとか、
サッカーでも胸でボールをとらえたときとか、
ニュースで聞いたことがある事例をあげたり、
2002年に高円宮がスカッシュをしているときに倒れて亡くなったこと、
ああそういえば、と思い出しながら講習を受けていた。

心臓が止まったら、10秒で意識がなくなる。
3分から4分で、脳の回復が難しくなる。
119番通報をして救急車が到着するまで、7分から9分かかる。
なので救急救命士である講師は、
「救急車では生命は救えません」
という。

それは、意識があって呼吸もできている人ではなくて、
呼吸がなく意識もなく、心肺停止状態の人は、
「救急車では救えない」
だから、近くにいる人が応急処置をしないと、
その人は助からない。

そんな場面に出くわすことは滅多にない。
滅多にないけど、電車の駅では具合が悪くなった人や、
転んでしまった人に遭遇することはたまにある。

そのときわたしはどうするか?
歩み寄って「大丈夫ですか?」とたずねることはある。
「誰かが声かけるだろう」とスルーするときもある。

しょせんは他人の人生なんだから自分には関係ないんだけど、
他人の人生が困難なときを目の前にしてスルーするのはわたしの人生だ。

しかも講師いわく、
心肺停止までいかなくても、応急手当が必要なのは、
屋外よりも屋内で遭遇することの方が多いらしい。

つまり、家族の誰かが危機的な状況になったり、
友人知人が倒れたりすることが、
見知らぬ誰かが心臓突然死することよりも、
出会う確率が高い、ということ。

考えてみればそれはあたり前かもしれないが、
考えてみないと気が付かないことではある。

1月17日は、阪神淡路大震災の日。
犠牲者およそ6,400人の約8割は、自宅の中で亡くなっている。