りゅートリックスくん

モチベーションはゴミである。

りゅートリックスさんの言葉。
フリースタイル・フットボーラー。
サッカーボールを使っての曲芸的リフティングで楽しませる。

「サッカーボール1つでタイムズスクエアを沸かす」
と決めて、みんなに笑われた。

でも、できた。

みんなに笑われた、というのは違うかもしれない。
「みんな」と表現すほどの、友だちはいなかった。

大学に入ったとき、
サークルに入らない、彼女つくらない、飲み会いかない、
というルールをたて、
ひたすらリフティングを練習した。
大学内の学生会館の片隅で、朝から晩まで4年間。
「学生会館のナゾのヌシ」
として、逆に知られるようになる。

それくらい、ボールを自由自在に操ることに熱狂した。

高校生のとき、サッカーを観て
「あれ?おもしろそうじゃない?」
ピンっときた。
それまでサッカーはやったことがなかった。
ラグビーをやってた。
サッカーやりたくなった。
プロのサッカー選手になりたくなった。
けど、もう17歳。ちょっと遅いかも。
だけど、フリースタイル・フットボールっていうのがあるのも知った。
ボールを買って、リフティングしてみた。
またピンっときた。

リフティングが好きになった。
好きになったから、どんどん掘っていった。
リフティングが得意になった。
さらに掘っていった。

大学3年、4年、就活はしなかった。
友だちも少なかった。
フリースタイル・フットボールに熱狂、フローの状態になっていたから。
「サッカーボール1つでタイムズスクエアを沸かす」
この目標を信じてくれる、
同じようになにかに熱狂している仲間が数人いるだけだった。
でも、それでよかった。

モチベーションは、目の前にあるゴミを拾うことから湧き上がるようなもの。
ゴミを拾ったことがきっかけで、
そのゴミを捨てに行ったことがきっかけで、
捨てたゴミ箱に貼ってあったチラシがきっかけで、
動き出したら楽しくなって、
それを続けて、それを続け続けて、
続けられるエネルギーが、モチベーションだ。

座っててもモチベーションは起きない。
まず、とりあえずやってみるか、で始めてみる。
継続こそが最強だ。10年やれば、一流になれる。
その努力が報われるのは、いつのことだかはわからない。
でも、いつかその日が来るのを信じている。

ゆえに、モチベーションはゴミである。

夢はない。
目標はある。
そのプロセスに、
楽しみがある。