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『未来の学校のつくりかた』

雑談とかムダ話が必要だな、
と思っていたら、
ちゃんと準備して進行していたzoomでのイベントが、
雑談大会になってしまった。

『未来の学校のつくりかた』は、
<バングラデシュ版ドラゴン桜>であっという間に時代の寵児になった
e-Education創始者の税所篤快くんの新著。
彼との対談イベントを企画して、その対談相手になってもらったのが、
<神楽坂の奇跡のシェアハウス「カグラボ」>をつくった、
e-Educationに在籍していたの大石慎治くん。
ふたりとも、大隈塾と大隈塾ゼミの出身。

この2人、ウソとムチャとスルーで難局を躱してきた人生。
真面目な部分と抱腹絶倒ハチャメチャ対談にしようと思って準備した。

途中から税所くんが、
「きゃん(喜屋武)来てる〜?」
と参加者に呼びかけた。
久しぶりに同級生と話がしたい、と。

30人超の参加者にはあらかじめお願いして、
自分の枠を画面から消す操作をしてもらい、
画面上は発話者(税所、大石、村田)だけが映っている状態にしてもらっていた。
イベントステージを客席から見ている、という状態をつくりだせた。

でも、税所くんにとって、それは「寂しさ」でしかなかった。
参加者はほぼ大隈塾ゼミのOGOB。
久闊を叙したくなったようだ。

チャットでのコメントを大石くんが拾って、
次は誰が発言して、とお願いチャットを送り始める。
税所くんのずっと下の年代でも、
彼の大隈塾での講義を聞いて、
なんらかの影響を受けた人もいて、
だからここに参加している、と。

そういう人たちも代わる代わる画面に出てきて、
話をし始める。

チャットでも、別の会話が始まる。

税所くんたちが受講していたときの大隈塾は、
「21世紀日本の構想」という科目名だった。
2017年から、
「たくましい知性を鍛える」という科目名の講義に変わった。

2002年に始まった「21世紀日本の構想」は、
田原総一朗さんが声をかけて、
政界財界のトップが教室に来て、
田原さんが司会で、講義をした。
「二度と会えない人を呼んで、
シャワーのように話を聞かせる」
という、裏のコンセプトがあった。

だから、ものすごい数の学生たちから履修登録申請があり、
選んばれた学生たちだけが受講できた。
(入り口で学生証をチェックしていた)

だけど、それが受講生たちにとって、
本当に学びになったのか。
学びになった学生ももちろんいただろうが、
そうでもなかった学生たちもたくさんいただろう。

やがて、履修希望する学生の数は減っていき、
定員割れをするようになった。

真夏なのに、熱いお湯のシャワーを提供し続けていた。
学生たちは、時期にあった温度のシャワーを求めていたし、
シャワーヘッドも、自分たちで探していきたい、と思っていた。

『未来の学校のつくりかた』で、
N高の理事の夏野剛さんはいう。
「“教育はそもそも誰のためのものなのか”、という視点」
が不可欠だと。
「本来、教育システムというのは、
“教育を受ける側”にとって最適化されないといけないもの」
という夏野さんの言葉から、税所くんは、
「“教育する側”の都合でアップデートが進んでいない教育システム」

「現代のシステムをより“教育を受ける側”
のためのシステムに近づけていくこと」
が重要だと気がついた。

『未来の学校のつくりかた』には、
“教育する側”が“教育を受ける側”に最適化させた
5つの事例が並んでいる。
大阪の「みんなの学校」大空小学校
杉並のコミュニティスクール
オンラインのN高
長野の侍学園
大槌の臨学舎

教育を受ける側、が自分たちでアップデートし、
最適化しているのが大隈塾だ。

税所篤快『未来の学校のつくりかた』(教育開発研究所、2020年)