ある授業中のノート

そこまでけちょんけちょんにいうか

大隈塾のシラバスを書き換えた。

大隈塾は、それほど知名度はない。
早稲田大学内でも、知らない学生が多い。

という意見が受講生たちからたびたび過ぎるぐらいに上がるので、
SNSではFacebookを始めた。
だけど、FBはユーザー層が高齢で、
学生はあまり見ない、というので、
twitterとInstagramもやっている。

SNSで拡散するのは当然として、
そもそもシラバスで探せないし、
探し出しても、魅力が伝わらない、
という意見もあった。

シラバスは教員が書くもの、だけど、
2002年からしばらく書き換えてなかった、ので、
当時の大隈塾ゼミのゼミ生たちの意見を取り入れて、
わたしが書いたことにして、
学生たちが納得するシラバスに書き換えた。
2012年ごろだったと思う。

2017年に、大隈塾の運営を大転換して、
学生主体の授業にするときにも、大幅に書き直した、
自分ではかなりわかりやすく、
フレンドリーなシラバスとなったと思っていたら、
ぜんぜんダメ、と。

「たくましい知性を鍛える1」
【副題】
人間的な力量を育み、自ら日本・世界を変える
【授業概要】
「たくましい知性を鍛える」(通称「大隈塾」)は、次世代の日本・世界を牽引するリーダーたる人材の育成を目的としている。
 本科目は、2002年度から2016年度まで開講されていた「21世紀日本の構想」をもとに、さらに発展させるべく学生からの発案提唱により2017年度に創設された。この社会に顕在あるいは潜在している問題を発見し、解決のために行動する力、すなわち「生きる力」を身につける。こうした従来の理念に加えて、新たに地方から日本全国ならびに世界を見通すグローバルベクトルの力、世界から日本の地方を活性化するローカルベクトルの力を養い、リーダーとしての人間的な力量を育んでいくことを目指していく。

そもそも、2002年から始めた、なんて書いても、
「ふ〜ん」
としか思わないし、大隈塾の歴史なんていらない。
グローバルベクトル? ローカルベクトル?
なんじゃそりゃ~。

けっこう自分では考えて書いて、
学生の発案提唱により創設された、
なんて、学内では画期的だろう、
と思っていた。

ら、
「だから、誰に向けて書いてあるんですか?
先生たち? 職員さんたち?」

グサグサくるいい方。
忌憚ないにもほどがあるだろう、
とアタマに来るが、
アンガーマネジメントで10秒数えて落ち着けば、
学生たちがいっているほうが正しい。

2020年度シラバスの提出締め切りは迫っている。
焦っていた。
帰りの電車の中で、ずっと考えていた。

「誰に向けて書いているのか?」
というムネに刺さった言葉をかみしめて、
学生たちに向けて、どう書けばいいか、
どう書けば、学生が振り向いてくれるか。

しかも、「大隈塾は意識高い系」として嘲笑と敬遠の対象にもなっている。
これを払拭しないといけない。

東京の地下鉄はそれほど揺れないから、
「電車に揺られながら思いついた」
というフレーズは使えないが、
やっぱり電車の中で揺れながら思いついたので、
スマホのメモアプリに下書きを書いて、
それを家で仕上げて、
運営をしてくれている学生たちにLINEで送ったら、
「やればできるじゃん」
ってほめられたのが、下の文章。
2020年度のシラバスは、こういう書き出しになっている。

2020年度「たくましい知性を鍛える1」
【副題】
社会に潜んでいる、はっきりとは見えていない課題を発見し、それを解決するための人間的な力量を育む
【授業概要】
この科目は、早稲田大学で何を学んだらいいか迷っている学生にヒントを、学生生活にもの足りなさを感じている人には刺激を、もっとがっつり語り合いたい人には機会を、ディスカッションは苦手なんだけど、いろんな意見や知識を知りたい人にも学びながら話せるようになる安心を、卒業間近の人には最高の思い出を、入学したての人には道標(みちしるべ)を、用意しています。
意識が高い人たちの集まりだと思っているかもしれませんが、大隈塾を履修した結果として、学んだり、行動する「意欲」が高くなる可能性が高いだけであって、履修登録をする段階では、みんなあなたと同じです。