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いろいろあったなんて、当たり前だ

20年来の友人たちと、熱海に来ている。
若いときには夜通し遊んでいた仲間たちだけど、
さすがにもう、22時になるとそれぞれの寝床についた。

社会人の大隈塾の修了生で、
2004年、社会人のプログラムがスタートした最初の受講生。

同じ世代で、当時、みんな35歳ぐらい。
30人ぐらいの受講生たち。
電通が企業や官僚たちに声をかけてくれて、
将来有望なリーダー候補たちが集まってきた。
誰も彼もが、仕事や生活を充実させていた。
いっしょに学ぶのも遊ぶのも、とっても楽しかった。

「いろいろあったね〜」
誰かがぽつりといった。

けど、
誰もが気が付かないようなふりをした。

そうだね〜、なんていいたくない。
エリートだったわたしたちもそれぞれ、
会社の中で冷や飯を食わされ、
親から引き継いだ家業が傾き、
組織から追い立てられるように出ていき、
どん底を味わった。

いまではキャリアコースに復活したり、
いいご縁があったのをきっかけに息を吹き返したり、
起業して株式市場に上場したりして、
なんとかやっている。

負けられない意地がある。
まだまだ仕事も生活も楽しめると思っている。
あのときのことを振り返ってどうする?

なんてことない一瞬だっただけさ。

とかなんとか、みんな思ったんだろう。
いろいろあったなんて、当たり前だ。