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スーパーの棚が空っぽになって

3月31日。
もう今年も1/4終わんのかよ。
……。

元旦から屋根裏を子どもたちの部屋にリノベしていた秋田の友人。
昨日ほぼ完成して、
カベの漆喰が乾けばその部屋の主たちとなる子どもたちが、
待ちきれずに寝袋持ち込んで一夜を過ごした。

リノベのかたわら、味噌を仕込み、伝統野菜の大根でがっこに漬ける(表現がわからん……)。
リノベは種まき前には終わらないといけないから、急ぐ。
そして完成。
これから、食べ物を育て始まる。種を蒔く。

わたしたち都会で住む者が、
スーパーでの買い物を、いつもより2割増やせば、
卸問屋やスーパー自前の倉庫は空っぽになるらしい。
合理性のため、在庫をギリギリまで減らし、
分単位でトラックでの輸送を管理し、
末端のスーパーに届けている。

それを、われ先に爆買する、のではなく、
土日は巣ごもりだから、ちょっと多めに買っておこう、
とするだけで、スーパーは空っぽになり、
空っぽの棚を補充するために、
倉庫にはトラックが並んで渋滞を引き起こし、
流通が麻痺して、品物が届かない。
倉庫がカラになったから生産を増やせば、
今度は運ぶトラックが足りない。
ただし、トラックは車庫にある。
運転する人がいないのだ。

ラジオでトラックの運転手がお願いしてた。
頼むから、荷降ろしして運んでいるときに、話しかけないでくれ。
マスクを売ってくれ? 何いってんだ。
いつマスクは入るのか? 何いってんだ。
なんでしゃべらないんだ? 何いってんだ!!!!
オレはトラックのドライバーだ!!
頼むから、危ないからそこをどいてくれ。
頼むから、次、行かなきゃいけないんだ。
次の店にあと5分で着かなきゃ給料減るんだ。

秋田の友人は、種を蒔き、苗を育て、田んぼに植える。
食べるものは、自分たちでつくっている。
住むところも、自分たちでつくっている。

わたしたちは、スーパーの棚が空っぽになるのを恐れている。
精米されてビニールに入ったコメを買い、
テープで束にされ、きれいに洗われた野菜を買い、
切り分けられてプラスチックの皿にのった魚を買い、
いざというときのためのカップ麺を買う。

お米って久しぶりに食べるね、美味しいね。

でしょ? パンもパスタも美味しいけど、
お米を炊いたごはんも美味いんだ。

魚も野菜もきのこも、美味いんだ。

わたしたちは、スーパーの棚が空っぽになるのを恐れている。
もう少し、あと数日で、
米を育ててくれる人たち、
野菜を作ってくれる人たち、
魚を獲ってきてくれる人たちのことを思ってくれるようになるだろう。

スーパーの棚が空っぽになる前に、
郊外の道の駅に買いに行き、
その先の農家に買いに行き、
地方の小さな魚市場に買いに行き、
農家と仲良くなり、
漁師と仲良くなり、
台風が来たら、知り合った農家のことを心配し、
不漁のニュースを見たら、知り合った漁師のことを心配する。

そうなってくれれば、
毎日が不安で、つまんないけど、
これもいいことなんじゃないのか。