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いつも笑っているような人に

昨日の朝7:17、友人のマモルさんからSMSのメッセージ。
「おはようございます。はやくから申し訳ありません。今日は釜石ですか? 日中に予定はありますか?」

予定がないことは毎日ほぼない。
平日だしルーティンの仕事も先の仕事の準備もイベントの仕込みも、
やろうと思えば仕事は山ほどある。
だたし、午後から大槌へでかけてサウナに入ろうかという「予定」はあった。

マモルさんは早期退職して、いまは自分の時間をゆっくり楽しんでいる。
「よかったら花巻の日帰り温泉はどうかなと思ったもので連絡しました。仕事だったらまたの機会に」

いやいやいやいや、その話に乗らないテはないでしょう。
そもそもサウナの「予定」もあったし。

ということで、やっておくべき最小限の仕事を急いでこなし、
マモルさんにクルマで迎えに来てもらって、花巻へ。

沿岸の釜石から内陸へ向かうときの山々の様子が、
ついこないだまでの抹茶色の不機嫌ヅラだったのだ、
いろんな木々の新緑の濃淡のグラデーションに変わって、
山の景色にすばらしくリズムがでてきて、
空もよく晴れて青々とし、早朝の空気がキリッとして、
これからの行き先が温泉だと思うと余計に心が弾んだ。

1.5時間で花巻の台温泉に到着。
マモルさん御用達の観光荘で日帰り入浴。
ちょうど11:00、オープンしたばかりだった。

観光荘の階段

風呂場に行って着ているものを脱ぎ、
浴室で身体を軽く洗って、湯船に。

加水も加温もせず、なのにちょうどいい加減の熱さのお湯。
木造りの湯船は、ところどころ湯の花でニュルッとしている。

浴槽のヘリの腰掛けの部分が、寝っ転がるのにちょうどいい。
ヘリにタオルをたたんで枕にし、
横になって脱力すればぷかぷか浮いて気持ちいい。

足を組んで状態を少し起こせば、身体の前と後ろで半身浴。
上と下でも左と右でもなく、前と後ろで。
やがて浮かせるのに疲れてまた脱力して、ドボンとお湯の中へつかる。

開け放った窓から新緑の景色が見える、明るい朝風呂。

こんな贅沢もないなあ。

お湯は「あつめ」と「ぬるめ」

観光荘をでて、温泉でほてった身体を冷ますために、
ちょっとだけ台温泉を散策。
この旅館のお湯はどう、あの旅館のお湯はこう、と、
マモルさんの説明が楽しい。

現役時代の出張の行きか帰り、
東京からのお客さんのお迎えかお見送り、
どちらかに必ず台温泉の日帰り入浴をしているらしい。
引退したいまは、思い立ったときにも。

そしてそのお湯のあとには、おそばを食べる。
昨日は、花巻市内の「嘉司屋(かじや)」。
わんこそば大会、の発祥の店だそうで。
そこでもりをばを食べていると、
宮沢賢治もこのお店によく来て、
「かしわ南蛮」を食べていたと書いてあった。

ちょうど昨日の夜、『銀河鉄道の父』を読み終わった。

雨ニモマケズ
風ニモマケズ

が、死ぬ間際の作であること、初めて知った。
病気が進行し、寝たきりになった。
もう机に向かうことはできず、
調子がいいときに布団の上に座って、
両方の手のひらの大きさの手帳に書いた。

丈夫な身体をして、
ちゃんとご飯を食べて、
人の世話をして、
でくのぼうといわれても、
いつも笑っているような人。

ワタシハナリタイ

また花巻にいきたい。
温泉入ってそば食べて。


『銀河鉄道の父』 門井慶喜 講談社文庫 2020年