メッキ工場のウェルビーイング経営

ピンチをチャンスに

江戸川のメッキ工場の社長さん。

ベルトにつけるピッカピカのバックルをつくるはずが、
くすんだ感じのモノになってしまい、
しかも機械からどんどんそれが吐き出されてきて、
失敗作が大量にできてしまった。

大きな損失を出してしまった社員をどやしつけるどころか、
社長はいっしゅん考え、
「これって、ダメージ加工のバックルとしてジーンズに合わせたらどうか?」

調べてみると、ダメージ加工のバックルはニッチだった。
ジーンズ用のバックルとして販売したら、
大当たり。
会社の売り上げがぐーーんと伸びた。

平日休んで幸福度を上げる

斎藤鍍金工場のサイトウ社長(齋藤功さん)は、
平日に休みたいから、自分の現場の仕事を、
ほかの社員に一生懸命教えて、
ちゃんとできるようにして、平日に休みを取るようにした。
平日だと、遊園地にしろ映画館にしろ釣り船にしろ、
遊ぶ場所は休日よりもずいぶん空いている。
サイトウさんの幸福度は上がった。

サイトウさんはふと考えた。
「これって、社員にも応用できる」
社員に平日休みを取らせることにした。

平日に休みを取るには、自分がやったように、
ほかの社員に自分の仕事をマスターしてもらわないといけない。
仕事の合間、仕事が終わってから、OJTで覚えてもらう。

そうしてめでたく休みを取る社員に、
ポケットマネーで1万円渡して、
「思いっきり遊んでこい!」
と送り出した。

これは健康経営だ

平日休めて、しかも1万円もおこずかいがもらえる。
その社員は休み明けで、どんなにうれしく楽しかったか、
みんなの前で感想をいう。

それを聞いて、次に平日休みを控えている社員も、
その次に平日休みを控えている社員も、
「平日に休暇をもらう」
という心理的な後ろめたさがなくなって、
休みを取りやすくなる。

しかも、自分の仕事だけではなく、
ほかの人が担当している仕事まで覚えてできるようになる。
誰もが誰かの代わりに仕事をすることができるようになる。

これは、健康経営、ウェルビーイングな経営だ。
社員の身体的健康を確保するだけではなく、
従業員全体の活力向上や生産性の向上、
組織の活性化や業績も向上するのが、健康経営であり、
職場のウェルビーイング(健康、幸せ)である。

サイトウさんすごいな〜、と。
こうした小さな会社がたくさんでてくると、
世の中全体がウェルビーイングな社会になるんだと思った。


thanks to:【2022年度通年特別企画】ただただ”青臭く”経営を語ろう![全6回](最終回: 齋藤 功 さん/ 有限会社 斎藤鍍金工場 代表取締役社長)(第143回ストーンスープフォーラム@ASIA)
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