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初めてのヴァイオリン教室

どこに住んでいるかということ。
これは本当に大事なことだと思う。所謂高級住宅地と言われている所には、良い学校、良い塾、そしてヴァイオリン教室も、探せば複数見つかったと思う。
息子が3歳当時、私達が住んでいた地域は、決してそんなに民度が低い地域でもなかったと思うけど、ヴァイオリン教室が一件もヒットしなかった。夫から「なるべく近くで」「月謝が高過ぎない所で」と言われていたので、選びようがなかった。
たまたま入園予定の幼稚園が課外教室というのを設けていて、そこにヴァイオリン教室があったので候補に入れつつ、ヤマハのヴァイオリン講座も見てみることにした。
しかし結局ヤマハのヴァイオリンはすぐに候補から外すことになった。なぜなら体験レッスンの日、とっても若くて美しい女性の先生から最後に「何か質問はありますか?」と聞かれた時「あの、、母の私が完全な素人なので、レッスンに同席しても内容を忘れてしまうかもしれないので、家で復習しやすいように、写真やビデオを撮らせていただいてもよろしいでしょうか?」と聞くと「は?同席されるのなら、そんなことされなくても、レッスン内容を理解していただくことはできますよね?!」と嫌な顔をされて、冷たく言い放たれてしまったので、ここは無理だと早々に諦めたのだ。
幼稚園の課外教室の方では「どうぞどうぞ」と歓迎されたので、結局そっちに入室することにした。

息子の方も、相変わらずヴァイオリンのDVDを好んで見ていたので「もうすぐ幼稚園に入ったらヴァイオリンが習えるよ」「楽しみだね」「うん!」などと会話しながら過ごし、4月に入園、5月の連休明けにヴァイオリン教室の案内プリントをもらい、レッスンを見学することに。
すると驚いたことに生徒さんが2人しかいなかった。年長さんの男の子が2人。先生は幼稚園で教えて10年になるという音楽大学出身の方。
普通だったら、ここですぐに決めてしまわずに他にも検討するのだろうけど、当時の私は小さな幼稚園児がヴァイオリンを構えて何か弾いているというだけで「すごーい!」「かわいい!」と釘付けになってしまい、ここで習えば息子もあんな風になれるのだとワクワクして決めてしまったのだ。

入室を決めたら、次回ヴァイオリンを持ってくるように言われた。ここでちょっと躊躇してしまった私。
実は、本物のヴァイオリンを買い与える前に、扱い方を覚えさせるためにオモチャのヴァイオリンを買い与えていたのだ。弓で弦を擦るとメロディが流れる、確か1/10サイズ位の物だったと思う。私が見よう見まねで構え方を教えても、息子は全然構えようとしない。それどころか、オモチャのヴァイオリンと弓を持ったまま走り回ったり、座ったと思ったらヴァイオリンを床に置き、弓をまるでノコギリのようにしてギコギコやったりしていたのだ。
その頃、家に遊びに来た息子と同い年の女の子は、誰に何を言われるまでもなく、我が家のオモチャのヴァイオリンをサッと手に取り、まるでヴァイオリニストのように弾いて見せた!女の子のお母さんは喜んで写真を撮ったりしていて、これが男の子と女の子の違いなのだと思った。
息子は大丈夫なのだろうか。だから、本物の1/10サイズのヴァイオリンを買ってあげてからも、怖くてあまり触らせずに初めてのレッスンに持って行った。
そこでいよいよヴァイオリンを構えることに。
先生の助けを借りながらヴァイオリンを構え、右手に弓を持ち「スーーッ」と音を出した息子。「スーーッ、スーーッ」と何度も音を出している。落とさずに。信じられない!!
「そうそう、上手上手!」「凄いですね!初めからこんなに音を出せる子はいませんよ。才能ありますね!!」と先生。
なぜオモチャのヴァイオリンは全然弾けなかったのに本物は弾けたのか。
おそらくオモチャってことが分かって弾く気がしなかったのかもしれない。
とにかく、初めてのヴァイオリンレッスンはそんな感じでスタートした。懐かしい懐かしい思い出。

ここ1、2年、「ヴァイオリンを始めたきっかけは何ですか?」「今までどういう先生に習ってきたの?」と訊かれることが多く、これまでの経緯をお話しすると、皆さん一様に「ええーーっ!?」と驚き呆れられたり、「よく続けられたねぇ。。」と泣きそうな声で言われたり。予想以上に反響が大きかったので、せっかくなので、差し障りのない範囲で記録に残していこうと思ったのでした。

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