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卸市場の地下に潜む怪物は実在する!? 下水路の「巨大人喰いワニ」都市伝説/天歳真文

今から30年以上も前——筆者がアルバイト先で聞いた話はにわかに信じがたい内容の話だった。異様ないでたちの集団、そして複数の人間による目撃談……。都会の地下には、私たちが知り得ない、謎の生物がたしかに生息していた痕跡があったのだ。

文=天歳真文

アメリカの有名都市伝説「下水道に棲む巨大ワニ」

「下水道に棲む巨大ワニ」の都市伝説をご存じだろうか。
 アメリカで有名な都市伝説のひとつで、ペットとして飼っていた小さなワニをもてあました末にトイレに流したところ、下水道のゴミやネズミを餌として、生きつづけ巨大化した――というものである。なんとも信じがたい話だが、この都市伝説はすべてがウソともいいきれない背景がある。
 1950年代、ニューヨークの有名なデパート「メイシー百貨店」が、子どものクリスマスプレゼントに「ワニの子ども」をペットとして売り出したことがあった。

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1930年代のアメリカの新聞に掲載された、ワニの子どもの販売広告。

 なかなかの売れ行きだったというが、困った事態が起きた。
 子どもの指を齧ったり、飼っていたペットのハムスターを食べてしまったりと、獰猛なワニの扱いに困るケースが増えたのだという。
 そこで、親たちはどうしたか――ワニを始末することにしたのである。セントラル・パークの池に放したり、なかにはトイレにそのままワニを流すケースもあったという。
 トイレに流されたワニたちは、下水道という環境で生きつづけた。餌となるネズミはいるし、夏は涼しく、冬は暖かい、外敵もいない下水道はワニたちにとって快適な環境であり、ワニたちは着実に巨大化していった。

 だが、下水道の検査に入った水道局の人間が巨大化したワニと遭遇したことで事態が急変する。
 実際に人間が襲われたケースはなかったというが、巨大ワニを理由に水道局は下水道の検査を拒否、マスコミが派手に書き立てたことで市民が騒ぎだし、下水道の巨大ワニは当局にとって無視できない存在となった。

 当局はパトロール隊を組織し、下水道のワニを射殺したという。

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(上下)同じく1930年代に、ニューヨークの下水道で発見されたワニの騒動を報じる当時の新聞記事。

 以上は、池澤夏樹『エデンを遠く離れて』(朝日文芸文庫)に書かれたエピソードだが、トマス・ピチョンも1963年に発表された小説『V.』のなかでこのワニのエピソードをモチーフとして使用している。

 また、2018年3月にはイギリスの下水道からピラニアが発見された。
 イギリス、ウエスト・サセックス州西端に位置するチチェスターで下水道の点検を行っていた水道会社のスタッフがピラニアを発見。発見時、ピラニアはすでに死んでおり、生態系に悪影響を及ぼすような被害はなかったとされる。
 ところで、下水道にピラニアがいたのはなぜだろう。水道会社の広報担当は次のようなコメントを発表した。
「外来生物をペットとして飼育していたが、死んだのでトイレに流してしまったのだろう。人々はあらゆる奇妙なものをトイレに流すんだ。下水道でベッドシーツを見つけたこともあるよ」
 ペットとして飼っていたピラニアが死に、所有者がトイレに流したという。

 日本でも1993年8月ごろ、東京・練馬にある石神井公園の三宝池で巨大ワニの目撃証言が相次いだため、マスコミが連日報道した。罠をしかけるなどの大騒動になったが、結局発見されず、「ワニではなく、巨大なカミツキガメではないか」との説も囁かれた。

 以下は、メディアで騒がれることはなかったものの、筆者が実際に見聞きした「奇妙な生物」に関する話である。
 メディアで騒がれなかったというよりも、実際は「不都合な真実として、闇に葬り去られてきた」という表現が正しいのかもしれないが……。

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