英国心霊事情「泣く少年」と英国的日本レイライン/吉田悠軌・オカルト探偵
イギリスホラー映画から、日英の怪談的共通点を再認識した探偵。実は都内にも、英国オカルトの影響を濃密に感じることができる探偵イチオシの聖地が存在した!
(ムー2018年8月号掲載)
英国怪談映画から読み解く日英の不思議な共通点
先日(掲載当時=2018年7月)、映画『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』についてのコメントを求められ、公開に先んじて作品を鑑賞させてもらった。もちろん詳しい内容については何も紹介できないのだが、あらためて日本とイギリスの共通点を認識したとだけいっておこう。日英の人々はなぜこうも、ゴースト・ストーリー=怪談が好きなのだろうか。
もちろんオカルト全般や恐怖にまつわるコンテンツは、世界中どの国でも人気は高い。しかしハリウッドのスプラッター・ホラー映画とJホラー映画では描く恐怖の質が異なるように(どちらが上か下かではない)、ひと口に「恐怖」といっても、その中にさまざまなジャンル分けがある。
その意味で、日英両国は「怪談的な恐怖」を好む点が昔から共通している。『ゴースト・ストーリーズ』は舞台作品で、脚本・製作のジェレミー・ダイソン&アンディ・ナイマンのコンビが映画も監督しているのだが、おそらく彼らはかなりの「実話怪談」好きなのだろうと感じられた。
現代オカルト文化に直接つながる源流が、19世紀後半〜20世紀初頭に勃興した心霊主義だとしたら、イギリスはまさにその本場である。さらにJホラーも含む、現代的な心霊表現の元祖とも呼べる小説『ねじの回転』は(作者ヘンリー・ジェイムズはアメリカ出身だが)イギリスで書かれイギリスを舞台とする作品。怪談文化において、けっして日本にひけをとる国ではないのだ。
イギリスを震撼させた怪画「泣く少年」
そんなイギリスで、近年話題になった怪談といえば、「泣く少年」(The Crying Boy)の絵ではないだろうか。その噂は、1985年9月4日の英国タブロイド紙「ザ・サン」が報じた記事から始まる。エセックスの消防士たちによれば、焼け落ちた家屋からよく「同じ絵」が発見されるのだという。涙を流す男児を描いたその絵は、たとえ全焼した家でも不思議と無傷のまま残っている。もしかしたらこれは、火災を招く呪われた絵なのではないだろうか……?
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