「手水舎のジンクス」ほか4話/読者のミステリー体験
ドライバーにとって、頼もしい存在であるカーナビ。ところが、ある夜のこと、発せられるはずのない奇妙な音声がそこから!!
はたしてその意図とは!?また、その声の主の正体とは?
読者投稿ページ イラストレーション=不二本蒼生
「前方に人がいます」
◆日野未麻/大分県中津市
これは、私の友人であるAさんの弟のK君の体験です。
それは2か月ほど前のことだったそうです。
K君は以前からアメ車を愛好していて、数人で集まって走行を楽しむグループに入っていました。
その日、彼は高速道路のYサービスエリアでのアメ車愛好グループの会合に出席するために、自分の愛車の助手席に友人を乗せて高速道路を走っていました。
土曜日のことで、あいにくの小雨。そのため、時速80キロくらいにスピードを落としたままゆっくりと走っていたそうです。
時刻は夜の10時半。両側を切りどおしに挟まれた、急なカーブに差しかかりました。
すると、そのときでした。いきなりカーナビから警告の音声が発せられたのです。
「前方に人がいます。注意してください」
助手席の友人が、「えっ!?こんな雨の夜に、人が高速道路を歩いてるだと!?何かおかしいじゃんか! !」と、声を上げました。
K君は注意深く前方に目を凝らしました。しかし、人の姿などどこにも見えません。
「こんなところに人なんかいるはずないよなあ」
K君はハンドルを握りしめ、前方を注視しながら、だれにともなくつぶやきました。
やがて車は何事もなく切りどおしの急カーブを通過。その後も何も変わったことがないまま無事に集合場所であるYサービスエリアに到着しました。
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