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山で花を摘んでいたら異次元へ!?/あなたのミステリー体験

幼少時からの慣れ親しんだ遊び場。どこへ行けば何があるかも、当然、知りつくしていた。あの日、あの瞬間を除けば……。あのとき、私はどこをさまよっていたのか。解明できない謎が今も。
読者から投稿されてきた、不思議で神秘的な出来事をご紹介します。

イラストレーション=不二本蒼生


花を摘んでいたら…

◆和歌山県/三舟智子(58歳)
 私の叔母(75歳)が40代のころの話です。
 ある日、叔母はいつものように仏壇やお墓に供える花を採りに山へ行きました。山といっても叔母の自宅から至近距離にある低山です。
 叔母の自宅から自転車でわずか数分のところにガソリンスタンドがあります。そのそばにある小さな池の脇道をちょっと歩いていけば、もう目的の山に到着です。
 そこはもともと私たちの祖父が所有する持ち山でした。そのため、叔母は子供のころからよくそこまで遊びにいっていたそうです。つまり、その山や周辺に関して、叔母は隅々まで知りつくしていました。
 ところが、その日、目的の花を採りはじめてしばらくたったころのことです。ふと妙な感覚に襲われて、何気なく腰を伸ばして周囲を見まわしてみると……なぜかまわりの風景が一変していることに気づいたといいます。
 どういうわけか、そこは叔母がそれまで一度も訪れたことがないような、鬱蒼と木々が生い茂る暗い山の中だったのです。
 驚いて、わけがわからずしばらく呆然とその場に立ちつくし、周囲を見まわしていたのですが、どの方向に歩いていけば元の場所に戻れるのか見当がつきません。
 叔母にとっては、子供のころから自分の庭のように思っているくらい慣れた山にいたはずでした。そんな山で迷うことなど考えられません。
 その日、自分の採るべき花を捜しもとめて歩いていただけで、それほど山の奥へ入っていったわけでもありません。
 そのあたりの山はすべて個人所有の山なので、気づかないうちに自分がうっかり境界線を越えて他人の山に入りこんでしまったのだろうか。
叔母はそう考えました。それにしても、見わたす限り、まわりの景色にまったく見覚えがありません。
“大変なことになってしまった。どうしよう……”
 叔母は泣きたくなるのを必死でこらえながら、その場でただ呆然としていたといいます。
 そんなとき、かすかにどこからか車のエンジンらしき音が聞こえてきました。叔母は必死に耳を澄ますと同時に、その音のする方向へと歩きだしました。
 そして、それからほんの数分も歩くと、いきなり広い道路に出ました。どうやらガソリンスタンドに続く道路のようです。さっきまで自分がいた場所からは想像もできないようなその光景に、叔母はまた驚き、呆然としてしまったそうです。
 気を取りなおし、その道路の左右を見まわすと、近くにバス停がありました。急いで近づいてみると、何とそこは叔母が自転車を置いたところから5つも先にあるバス停だったのです。
 ようやく自分の立っている位置がわかったものの、なぜ自分がこんな場所にいるのか、どうにも理解できません。
 とにかく歩きだし、30分以上かけて自分が自転車を置いた場所まで戻ることができたといいます。
 この一件以来、叔母は何やら怖くなり、どうしてもあの山へ行けなくなったそうです。
 もしかしたら叔母は、あのとき異空間に瞬間移動してしまったのではと、私は思っているのですが……。

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船員たちを連れて

◆東京都/横須賀正佳(40歳)
 これは今から12年ほど前に起きた出来事です。
 当時、私は、地元の茨城の海に近い斎場に併設された火葬場に勤めていました。
 真夏の暑さもピークの8月上旬のことです。遠洋漁業に出ていた船が近くの海で難破して、数日間、行方不明になるという大事故が発生。
 やがて難破船は発見されましたが、乗組員総勢18人は亡くなっていました。その乗組員全員のご遺体の火葬を、私が勤めていた火葬場が受けもつことになったのです。
 普通なら1日に3体も火葬すれば業務は終わるのですが、このときはなんと1日に6体ものご遺体を焼かなければなりませんでした。
 火葬場に運びこまれるご遺体は、難破船の乗組員のものだけではありません。地元の一般の方のご遺体もありますから、そうした過剰な数になってしまったのです。
 そのような事態になったのは、私を含めほかの従業員も初めてで、まさにてんやわんやの状態でした。
 しかも長いこと海水の中に放置されていたご遺体は、見るも無残な傷みようです。すでに火葬業務には慣れていた私たちにとっても、その業務から受ける精神的負担はかなりキツイものがありました。
 そんな過酷な業務が1週間ほど続き、私たちは精神的・肉体的にすっかり疲弊していました。しかし、火葬後のご遺骨を遺族の方々にお渡しするという業務がまだ残っています。
 難破船の乗組員のご遺体は、原型を留めていませんでした。そのため、どれが自分の身内のご遺骨かをご遺族には判別できません。結局、18体ものご遺骨すべてを当方でお預かりし、納骨することになったのです。
 そんな前代未聞の火葬が終わった翌日のことです。私はほとほと疲れきっていました。
 いつものように8時までに職場に着くように家を出た私は、人ひとりがようやく通れるくらいの細い裏道を歩いていました。そこが職場までの近道だったからです。
 珍しく正面から恰幅のいい男性が歩いてきました。目がギョロッとした、浅黒い肌の人です。その細い道で人と会うのは初めてでした。
 そのまま擦れちがうには、お互いの体を横向きにしなければなりません。私は男性に軽く会釈をし、自分の体を横向きにしてその人と擦れちがい、職場へ向かいました。そのとき、なぜかその男性がその場に足を止め、私の後ろ姿をジーッと凝視しているのを感じました。
 翌朝も私はその裏道を歩いていました。すると、なぜか昨日会った男性が、再び前からやってきます。
 2日連続で……と、さすがに不審に思いながらも、体を横向きにして相手と擦れちがいました。そして、やはり前日同様、その男性は足を止めて私の背後を凝視しています。
 思わず私が足を止めて振りかえると、唐突にその男性が、
「ねえ、何であんた朝っぱらからこんな細い道を、妙な連中を18人も引き連れて歩いているんだよ?」
 と、不思議そうにひと言投げかけ、そのままサッと私に背を向けて去ってしまったのです。18人とは、私が火葬した難破船の乗組員の数と同じです。私が乗組員の霊を引き連れていたということでしょうか!?
 また、そのことを指摘してくれたあの男性の正体は!?
 その後、私は何度もお寺に行き、お祓いを受けました。そうこうするうちに、徐々に平常心を取りもどすことができたのです。

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13段の場所

◆東京都/桜井葉子(30歳)
 かつて私が住んでいたアパートで体験した出来事です。
 そのころ地方に住んでいた私は、飼っている犬といっしょに東京の実家の近くで暮らしたいと、ペット可の物件をネットで捜していました。
 そんなとき、東京郊外にある駅から徒歩10分、2DK、ペット飼育可で、築20年ほど、家賃6万円という物件を発見。気に入った私は急いで不動産店へと向かい、その日の夜に内見させてもらいました。
 実際には駅から徒歩15分、小さな商店街を抜けた先の街灯がまったくない道をさらに10分ほど歩いた場所にそのアパートはありました。
 アパートの入り口には灯りがありません。暗い外階段を上がった2階が目的の部屋です。玄関の前まで行ってはじめて薄暗い蛍光灯の灯りがありました。
 部屋は全室和室で、築年数以上に古く感じたものの、こんな条件のいい物件はほかにないと思い、即決で契約しました。
 引っ越しをすませ、新しい生活が始まり、楽しい日々を過ごしていたある晩のことでした。
 寝ていた私の耳元でいきなり、「わっ! !」という人を驚かせるような男性の叫び声が聞こえました。びっくりして飛び起きたものの、外を歩く通行人の声だったのだろうと思いなおし、再び眠りに就きました。
 ところが、その後も夜寝ているときに、しばしば同じような声が聞こえてくるようになったのです。しかもそれは男性の声だけでなく女性の声だったりもします。共通しているのは、常に言葉ではなく一瞬の短い叫び声のようなものでした。
 ある晩のこと、いつものように耳元で叫び声が聞こえた瞬間、ハッと気づきました。それまで私は外部から聞こえてくる声と思いこんでいましたが、実際には、私自身の耳の奥から聞こえていたようなのです。
 やがてその謎の叫び声はアパートの自室以外の場所でも聞こえてくるようになりました。
 ある日、電車で座っていると、隣に座っていた男性の背後から、「助けて!」という男性の声が聞こえてきました。びっくりして隣の男性を見ると……寝ています。
 そんな出来事があってまだ日も浅いころのことです。実家に帰り、仏間で寝ていると、突然、複数の人がいっせいに話す声が聞こえてきました。仏壇の中からは、「危ない! !」と叫ぶ男性の声も聞こえました。
 そんな説明のつかない数々の現象が始まったのは、アパートに引っ越してきてからです。
 疲れはてた私は、やがてそのアパートを引きはらうことにしました。引っ越し先は、アパートのある場所と同じ駅の反対側に建つマンションです。
 不思議なことに、引っ越してからというもの、なぜかそれまでの異常な現象が起きなくなったのです。
 ある日、ふと引っ越し前の不思議な現象のことを思いだし、夜になって犬の散歩がてら、あのアパートを見にいきました。
 私が住んでいた部屋には人が住んでいる気配はなく、外階段の上のほうだけが青白く光っています。
 外階段をぼんやりと眺めながら、私は無意識に階段の数を数えていました。その数、13段……。
 このとき、私はふとあることを思いだしました。“13段の階段のある場所は幽霊が出る”というテレビ番組の内容です。
 もしやあの数々の怪現象は、その階段数と何か関係が!?

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すぐそこにある不思議

そこにいたはずの若い男性がなぜか忽然と姿を消した!!
◆山口県/安部恵子(66歳)
 数年前まで私はよく、下関~福岡間の直通高速バスに乗って博多まで買い物に行っていました。ある日、いつものように前から3番目の席に座っていると、ふたりの男性が乗ってきて、それぞれ私の前の席に座りました。
 ひとりは中年男性、もうひとりは若い長身の男性でした。
その若い男性が通路側の席に座ったとき、一瞬、その席が大きく前後左右に揺れたのを、ちょっと不思議に思いました。
 やがてバスが出発したので私は目を閉じ、そのうち眠ってしまいました。そして、目的地に近づいたころにふと目を覚まし、何気なく前を見ると、なぜかバスの中には中年男性ひとりしか乗っていません。通路側の席にいた若い男性の姿がどこを見まわしてもないのです。若い男性が座っていた通路側の席には、出発時にはなかったはずの中年男性の荷物が置いてありました。
 そのバスは、福岡まで直通の高速バスです。途中下車など絶対にできません。私には、あの長身の若い男性が忽然と消えてしまったとしか考えられませんでした。
隊列を組んで押しよせる旧日本軍の兵士たち
◆栃木県/足田利宏(35歳)
 昨年の蒸し暑い夏の夜のことでした。私は自宅の2階のベランダでアームチェアに腰掛け、のんびりとビールを飲んでいました。すると、自宅前の公道を、大勢の人が歩いているのが目に入りました。全員がきちんと隊列を組んでこちらに向かって歩いてきます。
 その人たちが着ている服装からして、最初は自衛隊の演習かと思いました。しかし、さらに近づいて街灯に照らされた姿を見ると、自衛隊とは違います。彼らが身につけているのは、どう見ても自衛隊の迷彩服ではなく旧日本軍の兵士のものです。先頭を行く指揮官らしき人物が、肩から旧式のライフル銃のようなものを下げているのもわかりました。
 息を呑んで見つめていると、最後尾から歩いてきた人物が不意に私のほうを見上げました。その顔を目にした瞬間、私は大声を上げそうになりました。何とその顔の半分は腐ったように崩れかけていて、眼球があるべき場所は完全に黒く窪んでいたのです。次の瞬間、私はあわてて家の中に飛びこみました。あの集団はいったい……!?


小林世征の心霊相談室

 難破した船の乗組員の霊を引きつれて歩いていたという横須賀さん。その事実を知った後、横須賀さんはお寺でお祓いを受け、精神的安定を取りもどすことができたとあります。
 私自身、お祓いをする側の人間なので大きな声ではいえませんが、実はおおかたのお祓いは効果がありません。
 もちろん効果絶大なお祓いもあります。大切なのは、きちんとお祓いできる人に依頼することです。
 横須賀さんが正常な精神を取りもどすことができたのは、お祓いの対価として安心料を支払ったことで、"もう大丈夫"と、自己暗示にかかっただけかもしれません。
 いずれにしても横須賀さんは精神的安定を取りもどすことができました。本当によかったです。精神を病むと肉体にまで悪影響を及ぼし、病気になり、最悪、命を落とす人もゼロではありませんから。
 では、だれにお祓いしてもらったらよいのか。これは一般の人が判別するのは至難の業といえるでしょう。
 そこで簡単に、だれにでもできる霊を退ける方法を伝授します。それは霊が嫌うお守を身につけたり持ちあるく方法です。一番効果的なのは、水晶やガラス玉、ダイヤモンド、鏡など、キラキラ光りかがやくものといえるでしょう。
 アジアには黄金色の仏像がいくつも存在します。実は金色に光りかがやく生体エネルギーには邪を寄せつけない効果があるのです。霊に近寄られたくない方、霊に憑かれているのではと心配な方は、ぜひお試しください。

(ムー2020年5月号掲載)


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