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陰謀の黙示録! 香港騒乱に蠢く秘密結社「幇」とヒマラヤ密教/北一策

今、香港(ホンコン)が揺れている。CIAやMI6、人民解放軍総参謀部などが諜報戦をくり広げ、秘密結社「三合会(さんごうかい)」や「青幇(チンパン)」が暗躍し、そこに世界の奥の院、秘教世界が蠢く。
数千年に一度という人類大変革期を迎えた今、香港情勢から中国の未来を俯瞰する!

文=北一策

秘密結社と秘教が蠢く香港

 香港(ホンコン)の奥底を理解するには、政治、経済、秘密結社の動きなど、さまざまな面を理解する必要がある。それぞれが連携し、対立し、暗闘している。

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香港の夜景。この都市の背後では闇の組織が蠢いている。(PIXABAY

 2020年6月末に成立した「香港国家安全維持法」により、民主活動家の黎智英(れいちえい)、周庭(しゅうてい)らが逮捕され、翌日に保釈されるという事件が起きた(8月10日)。香港の混乱は今後ますます激化するだろう。英国から返還後50年間は高度な自由が保証されていたはずだが、中国政府は行政区長官選挙の普通選挙の導入を拒否。これに怒った香港市民が「雨傘運動」と呼ばれる抗議行動を起こした。2014年9月のことだ。
「雨傘運動」に代表される民主化運動の背後には「全米民主主義基金」が存在する。1989年の天安門事件で米CIAが地下活動を展開したことからもわかる通り、米国は香港を「中国民主化の基点」としてきた。一方、アヘン戦争以降155年間にわたって香港を統治してきた英国は、香港を流通網の起点とし、香港から中国奥地に延びるサプライチェーンを構築してきた。米英の方針は異なるが、香港を拠点として中国を操ろうとしている点は同じだ。

 米英のこうした動きとは別に、香港の背後で動く勢力がある。
 中国には中世から「幇(パン)」と呼ばれる秘密結社が存在した。国家、王朝が絶えず変わる中国では、国は何の保証もしてくれない。国家とは関係なく、仲間を相互に助けようとする組織が「幇会(パンフェ)」だ。今日の中国は1949年の建国以来、共産党以外の組織、結社は非合法となった。
 そのため最古・最強とされる「青幇(チンパン)」も、最大とされる「洪門(ホンメン)」(紅幇[ホンパン])も地下に潜って姿を見せていない(ただし洪門の一部は「致公党(ちこうとう)」という政治組織を作り、中国共産党の衛星政党として認められている)。
 幇会は中国では非公認だが、香港やマカオでは堂々と存在し、中国政府もそれを容認する。かつて思想も行動もバラパラだった幇は、清(しん)王朝の時代に「反清復明[みん](清を倒し明を復活させる)」で意思が統一された。香港では「英国に獲られた香港を取り戻す」動きになり、今日も続いている。返還直前に英国が置き土産のように残していった西欧風の民主主義を、幇会は認めていない。西欧化された香港を本来の中国に戻そうという幇の活動を、中国政府は歓迎している。

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