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トランシルバニアの怪奇スポット”ホヤ・バチュー”の謎/並木伸一郎・フォーティアンFILE

UFO、UMA、心霊現象——。不可思議な事件の数々に、超常現象研究家・並木伸一郎が鋭く切り込む。
今回は、ルーマニアのミステリー多発地帯、「ホヤ・バチュー」の森で起こる怪異の数々と、その発生原因に迫る。

ルーマニアの怪奇密集スポット

 古くから、「森」は畏怖すべき場所であった。鬱蒼と生い茂る木々が陽光を遮り、暗い影を落とす。いずこからともなく聞こえる野生動物の遠吠え、得体の知れぬざわめき……灯りのない時代、人々はそれらすべてを恐れ、尊崇してきた。
 だが、ルーマニアのトランシルバニア地方に広がる「ホヤ・バチュー」の森は、今なお畏怖すべき場所かもしれない。この森は、古の時代からヴァンパイアや人狼、そして悪鬼の巣とされ、現在も科学では説明のつかない怪奇現象が、日々起こりつづけているからだ。

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ホヤ・バチューの森。

 ホヤ・バチューは地方都市クルージュ・ナポカの西に位置し、面積は3平方キロと決して広くない。ここで発生する怪異の歴史は古く、その種類も多岐にわたる。心霊現象、失踪事件、さらにはUFO目撃事件まで起きており、トランシルバニア版のバミューダ・トライアングルという俗称までつけられているほどだ。
 森の名前である“バチュー”とは、かつて200頭もの羊を連れて森に入ったまま行方不明になった羊飼いの名前に由来する。この事件以来、“帰らずの森”として恐れられ、その名を口にすることさえはばかられる時代が長い間続いていた。
 だが、それが単なる伝承ではないことは、森の中に足を踏み入れればわかる。言葉にできない重い空気で満たされたその空間では、猛烈な頭痛や吐き気に襲われたりするなど、人体に影響を及ぼす。
 事実、2015年8月、テレビ番組『世界の果てまでイッテQ!』で、珍獣ハンター・イモトが森に侵入したが、白いモヤの出現と同時に、謎の激しい頭痛に襲われ、即、撤退している。
 頭痛だけではなく、激しい痛みを体中に感じ、時間の感覚がなくなることもあるという。また、突然、意識が遠のき、気がついたときにはまったく別の場所にいるという体験をする人もいる。さらには、遠い昔の記憶が突如として溢れ、前世の記憶が甦ったと証言する人や、幽体離脱を体験したという報告までもあるのだ。

 こうした摩訶不思議な感覚や現象のほかに、原因不明の切り傷やさまざまな箇所からの出血やアザ、さらには火のないところで火傷を負う人が数多くいるという。これらは森から離れると自然と消えてしまうようだが、その証言の多さが決して世迷言ではないことを裏づけている。
 やはり、この森には“何か”がある。それはこれから紹介する数々の伝承・報告を知ることで、確信に変わるはずだ。

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突如発生する、謎の白い霧。森で行方不明になった人々の幽霊なのか、それとも、もともと存在している“何か”なのか。

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