【マーケティングデザイン】モノ思考から行動思考に
【第三十五回】【うさぎライブ配信BAR】 USAGIクラス限定ライブ動画 (20200618)より
早速だが、ジャムを売ろうと思ったら、まず何を考えるだろうか?
おそらくほとんどの人はジャムを美味しくするとか種類を増やすなどの施策を考えるのではないだろうか。
しかし、品揃えや質ばかりではなく、カスタマーアクションを把握することがマーケティングデザインでは重要となる。
マーケティングデザインとは
商品やサービスを中心に物事を考えるのではなく、人々の行動を中心にマーケティングを考える思考法がマーケティングデザインだ。
では、まず人々のどのような行動を見ていったらよいのだろうか。
先ほどのジャムの例で言うと、顧客は以下3種類に分けられる。
・顧客:朝食にパンを食べる人
・非顧客:朝食にご飯を食べる人
・断固非顧客:朝食を食べない人
ほとんどの人は顧客(お店に来る人)のことを考えるが、これがいつまでも売れるようにならない原因だ。
非顧客(店に来ない人)の行動パターンを分析していかないといけない。
というのも、他社や業界常識を見てしまうが、それは他社もやっていることである。既存概念(業界風習や既存顧客)から抜け出さない限り新しいアイディアは浮かばないのだ。
事例編
では、実際に非顧客(店に来ない人)の行動パターンを分析して成功した事例を見ていこう。
製薬会社の経営陣は薬が買われない原因を、他社と比較して品ぞろえが悪いからだと考えていた。そこで、一人がインフルエンザになったと仮定し、実際に会社を休んで薬をもらうまでの行動を取ってみた。車で病院へ行き、何時間も待たされ、実際に薬を手にするまでに5時間もかかったのだ。品揃えが悪いのが原因と考えていたが、明らかに受け取るまでに時間がかかり面倒臭いことが原因であった。そこから薬局に上級看護師を置き、待たずに薬をもらえるようにするという対応を取り、業績を回復させた。
ピカソは絵を買う人達の行動を見た。絵を買う富裕層はワインを飲む人が多かった。そこで、絵をアートとして売る枠から出て絵をワインラベルにすることにした。そうすることで、ラベルを見た富裕層がピカソの絵を買うようになった。
このように、モノ思考から行動思考に変換していくスキル、既存概念を覆し新しい視点で物事をとらえるスキルを「デザインスキル」と言う。
演習編
日本酒の売上が落ちているが、回復させるにはどうしたら良いか。
ワインが飲まれるようになり日本酒が飲まれなくなった、魚を食べる人が減って肉を食べる人が増えたことなどが原因と言われる。
では、どのような対策があるだろうか。
・モノ思考の対策:ラベルを若者向きにする、PRを強める、値段を安くする
これらの対策をしたところでワイン市場は取れない。つまり、モノ思考がある限り再起は不可能ということだ。
・行動思考の対策:料理に合う日本酒がわかるよう表記する
顧客はワインが飲みたいのではなく、料理に合うお酒が飲みたいのだ。
以下の表記だとワインしか頼まれないが、
・ワイン: ワインA 、ワインB
・日本酒: 日本酒A、日本酒B
以下の表記にすると、肉料理に合う日本酒があることがわかり、日本酒の選択肢が出てくる。
・さっぱり料理酒:ワインA 、日本酒A
・コク料理酒:ワインB、日本酒B
最初に戻って、ジャムをどう売るかについて改めて考えてみよう。
・ジャム(WHAT) + パン(WHAT) = モノ思考
・ジャム(WHAT) + 朝食(WHY) = 行動思考
味やクオリティでジャムに合うものを選ぶとジャム屋さんをやることになる。そうではなく、ジャムを食べる人が取る行動へのアプローチを考える。例えば朝食屋さんをして、その中でジャムを売っていく考えられるようになると良い。
VOTフレームワーク
ここまでマーケティングデザインについて説明してきたが、実際明日から使えるようにするためのフレームワークがこちらだ。
以下の順番に当てはめて考えていくことで、既存価値を破壊し、新しい価値の創造をしていくことができる。
・Value:あなたの提供している価値は?
・Obstruct:それを邪魔しているものは?何が価値を下げている?
・True-Reason:邪魔している、価値を下げているものを買う真の理由は?
映画館を例に見ていこう。
・Value:映画の上映
・Obstruct:Netflixへのシフト 短編動画の普及
・True-Reason:移動時間に見れる、リラックスして見れる、短編動画
・モノ思考の場合
目的: Netflixに対抗する
対策:短編動画増、制作本数増
結果:利益の低下
・行動思考の場合
目的: リラックスできる場所を作る
対策:エステサロン、ラブホ、ふかふかベッド、匂いや清潔感、カフェラテ、温泉サウナと合わせた映画上映
結果:単価の上昇
このように、競合Netflixを使われる真の理由を把握できると、行動思考の対策ができ、結果的に収益も改善していく。
まとめ
・自分の顧客への概念、商品価値破壊
・物事の破壊と創造を「デザイン」という
・今の時代はモノ競争思考は無意味
・VOTフレームワークで価値の創造
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