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『鎌倉殿の13人』第1回「大いなる小競り合い」(2022年1月9日放送 NHK BSP 18:00-19:00 総合20:00-21:00)*15分拡大版

いよいよ2022年の大河ドラマがスタート。新型コロナのせいで変則となっていた開始時期等が、久々に正常化。もちろん今後の撮影がどうなるかは予断を許さないが、年末まで何とか完走して欲しい。

時代考証を担当する予定であった呉座勇一氏が降板。代わって担当するのが、中公新書の『承久の乱』を書いた坂井孝一氏(創価大学文学部教授、日本中世史)。坂井氏の『承久の乱』の感想はこちらに書いたので、よろしければご覧ください。またドラマの時代背景や年表と対照しての位置付けなどはNHKのサイトに詳しいので便利。

その年表によると第1回は1175年に設定されているので、主人公の義時の年齢は12歳、頼朝(佐殿)は28歳である。1157年生まれの政子は18歳。したがって今回の義時に関するエピソードはほぼフィクション、三谷幸喜の脚色ということになろう。12歳の義時が憧れている八重姫にとって義時なぞ眼中にないのも当然である。それでも兄の宗時に代わって北条家を守らなければならないというセリフを言わせているのは流石である。

今回のサブタイトルは「大いなる小競り合い」。頼朝をめぐっての伊東と北条の小競り合いの話。平家との繋がりが深く、清盛に頼朝の監視役を命じられた伊東祐親の娘・八重がその罪人とできてしまって子どもまで産んだのだから祐親の焦りは想像に余りある。焦った余り、千鶴丸を殺害。わずか3歳だったそうだ。義時からその報せを聞いた頼朝が「それもあの子の定め」と軽くいなすシーンとその後一人になってから「祐親め、絶対に許さん」というシーンの対照が印象的。大泉洋は『真田丸』でも好演したが、今回も期待できそう。

蹴鞠(しゅうきく)シーンが良かった。都の最先端の流行ものなので唐風に「しゅうきく」と言わせているのがとても良い。和風に「けまり」などと呼ぶのはダサいという感覚だ。坂東の田舎侍たちからすれば「けっ」という感じなのだろうが、政子さんからすれば、この雅な趣味も合わせて佐殿に「ぞっこん」(妹の実衣=のちの阿波局のセリフ)なのであった。

あと非常に細かい話だが、時々見えた富士山のカットは多分CG。宝永の大噴火前の富士山なのでCGで想像して作られたもののようだ。微妙に富士山の形が違ったと思う。

ラスト、姫に化けた佐殿を馬に乗せて義時が逃げるシーンのBGMが良かった。拙宅のテレビ音声はYAMAHA YSP-1000につないで鳴らしているのだが、迫力があった。

2022.1.10 16:25追記
時政が牧の方を娶ったとき、「正月と三島社のお祭りが一度に来たようだ」と言っていたが、頼朝挙兵の際にもわざわざ三島社の祭礼の日を選んでいる。そういった意味での伏線。なお、現在は三嶋大社と呼ばれるのが普通。


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