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好きなことと関係を諦めること 〜断酒の体験と仲間たちや自助グループでの自己開示*よしおさんインタビュー


 今回インタビューさせて頂くのは前回一緒にインタビューしたよしおさん。インタビュアーはわたしムネとましこさんです!

 よしおさんは、世の中で言われるアルコール依存症。いまは断酒をして1年半。AAといわれるアルコール依存症のグループだけでなく、過食に悩むひとが参加するOA、性依存症に悩むひとが参加するSAにも参加されています。アルコールに関連した苦労、また自助グループに参加して感じたことなどをインタビューさせて頂きました。

 一緒にインタビューするましこさんは、精神科訪問看護の現場で長年活躍されている方です

 シリーズ分けしようと思いましたが、一気に載せました!ロングインタビューどうぞよければ御覧になって頂けたらと思います。


否認は一生続くのかもしれない


ム:「前によしおさんから、「ぼくはアルコール依存症のパッと見の イメージみたいなのとなんとなく違う感じがするから、他のひとからしたらぼくのわかりづらいんです、苦労しているんだけどほかの ひとからはわかってもらいづらい」そんなようなことを聞いた気がします。 たとえば殴っちゃったとか、目に見え苦労がほかのひとから 見にくい、他のひとからしたらまさかそんなに困っているなんて思ってもいなかったと思うんですけども、、」

よ:「そうそう、だから支援につながるのは遅かったかもしれない。わからないから、誰にも。ぼく別に飲酒で問題を起こしたことがないんですよ。一度歌舞伎町のなかで酔っ払ってチャリ運転していてぶつかって喧嘩しそうになったんですけど、黒人がとめてくれた。でもそれくらいしかなかったんですよね。困っていた一番はお金です。まず借りるでしょ、給料入ります、返済します、生活費がないから借ります、給料入ります、返します、また生活費がないから借ります。ぼくこれの繰り返しでした。」

ム:「でもいつもおごってくれましたよね。大丈夫大丈夫っていって気づいたら払っていましたね」

よ:「そうそう、自分が飲んでいるからそれに付き合わせているっていうのはでかいんだよね。だからぜったい払わせたくないかったから」

よ:「アルコール依存に関しては、自分がなっているっていうのもですし周りがぼくのことを深刻にうけとめるっていうのは、、、無理でしょうね、、、。Aさん(よしおさんの元同僚)くらいでしょう。でもぼくが依存症なんだって自分で気付きはじめたときに「ぼく依存症だと思うんです」っていったら「ほらだから前からいっているじゃん。こっそりとおれは動機付け面接をやっていたんだ」って上から来る感じで言ってきました。でもあれで思ったのは、自分がそう思わなかった(動機付け面接されていること)から、あんたに面接されていようがなんだろうが関係ない話だなって。ぼくは自分のほうでなんか変だって気づいてきた。でもいまだに100%依存症って思っているかっていったら全然そんなことない。どっちかといったら7割くらいかな〜って。まだかな〜ってくらい。否認の病っていうでしょう。否認っていうのは一生続くんだなって思います。あと、精神科の看護師にも依存症っていうのは伝わんないんだなあって思った。

否認は周り全部で起こる


ム:「病院のスタッフとか「普通の」会話のなかで、「あんたアル中になっちゃうよ」、とか、「認知症でしょ」とかこういうやりとりが話題として冗談としても出てくることって往々にあると思うのですけど、でもそんな時に本当にそういうひとが自分たちのまわりにいる可能性があるっていうことをどこか片隅に置いて話していることってあるのかなあって。実際たぶんぼくもよしおさんが依存症っていうのを受け止めたくない気持ちもありましたし、、。身近にいてほしくないっていうか、最初から受け入れる状態にないっていうか、、、」

よ:「そう、ぼくも思うのは否認の病っていうのはたぶん本人だけじゃないんですよ。家族と当事者だけがターゲットにされるけど、あれは周り全部で起こることと思う。それが特徴なんじゃないですかね。

よ「ぼく思っているよりは依存症そうとう多いと思っているんですよ。けど別にね、依存症になったからといって治療するしないはほんと自由。別にしなきゃいけないものでもないし。依存症自体はその重症とか軽傷とかはないと思う、そのままいけちゃう人も全然いるし。ただキャッチはしやすくなったかな、自分は」


一緒に困ってほしい・・満たされなくて過食も始まる


ム:「ぼくもそうですけど周りも気づいていなかったひとが多かったと思うのですけど、周りから気づかれないってことでよしおさんが悩んだことってありますか」

よ:「なんていうかな、アドバイスっていうか、たぶん困っているっていうことに共感してほしい。笑いながらでも「ぼくアル中かもしれない」っていうのはサインなんですよ。なんかね、、一緒に困ってほしい。だから「そんなことないよ」っていうのや「大丈夫だから」とかっていうのは、それって「ああわかってもらえないんだなあ」って思っちゃった。ぼく科長にも言ってたんですよ。そしたら「いや大丈夫だよ、働きに来られているんだから」って言われて、ははは」

ム:「科長はほんとうにそこまでじゃないって思っていたのかもしれませんね。あとは、願望、、、大丈夫であってほしい、とか、大丈夫にさせたいみたいな。ほんとうに困っていたら科長も困ってしまうし」

よ:「そう思う。でもそこは一緒に真剣に考えてほしかった。ぼくはほんとに困ってました。だって止まらないんだもん。毎日飲みに行っちゃうんですよ、金ないんですよ。金なくてカードの上限を10万だったんですけど、20万に増やしたんです。ぼくが好きでいくところってキャッシュだけのとこばかりだった。けど外でのみたかったからカードで飲める場所を探した。よく行っていたのはせかいのやまちゃん。でも支払いのときはいつもドキドキ。もしかしたらカードで払えなくなっているんじゃないかって、、」

ム:「そうまでして、、」

よ:「そうなんです。そうまでしてなんですよ。だって普通の日ですよ、一軒め行くじゃないですか、二軒目いくでしょ、 三軒目いくでしょ、これ普通の日、ほぼ毎日です。それで、富士そば寄るでしょ、コンビニいくでしょ、 で帰るんですよ。毎日」

ま:「5軒いってますね。富士そばでは、そば食べるだけ、、?」

 よ:「ああ今度ね過食がでるんですよ。それで満たされないからコンビニいくんです」


お酒でつながっていた関係がきれる


ム:「自分がアルコール依存だって思い始めたのはいつごろなんですか」

よ:「ほんとに思ったのって、2018 年、Bさんが AA の本を貸してくれたんですよ。貸してくれたってい うか、置いとくから誰でも読んでいいですよってあったんですよ。そのときはだんだん本を読むようになっていた時期で、AA 読んでみよって借りたんですよ。そしたらもろ当てはまったんです。あはは。対処法も。あ、これやったこれやったこれやった、あ、やっぱダメなんだって。で、行こうと思った。そう考えると2018年の夏くらいだったかな」

ま:「じゃあ 2 年だったんですね」

ム:「で、AA のパンブレットみて当てはまるぞって思ってスグ行こうって思ったんですか」

よ:「ああそれはわりとすぐいこうって思いましたよ。すぐ行ったかどうかはわからないですけど、行っ てみようって。興味があったんじゃないかな。別に失敗してもいいやって。もしかしたらやっぱやめたいか らってのもでかく出てたのかもしれないですけど、まあ行ったですね。それは、四谷の教会で、まず入 ったら NA のとこ行っちゃって。NA のひとにいったら「ここは AA じゃないよ」って言われて AA のほ うに連れて行ってもらって。でも教会に入った瞬間になんかね、なんていうのかな、恥ずかしい、って いうのがでるんですよ。「AA のミーティング場所」探しているって普通に聞けばいいんですけど、でも 一回外でたんですよ、やっぱ帰ろうかなって。けど、なんかやっぱいかないとなってこれをきっかけに しないとなって、それが最初」

ま:「なんかすごいね。その人生の分岐点。そこでやっぱやだって行って帰れたのに、帰らなかったって」

 よ:「それ大きかったです。AAはみんなあったかいですね。「ようこそ」っていってくれるし。なんか、ただ体育会系っぽかったから親方みたいな人が、、、。みんな対等っていっていたけど、やっぱなんかいきづらかったかな、、。けど行ったのはすごくでかかった。

ま:「合う合わないはありますよね。場所と人と」

ま:「ぼくも、あの AA 三ヶ月弱位ですけど行って。ちょっと先週抜けますって話をしてきました。 やっぱ、、お酒をやめ続けるって自分にとってプ ラスになるって確信があったから AA に行って、。確かに役にたったなって。生活のなかにお酒のない時 期って。でも、、なんかでも。最近はなんか、自分とか、周りの環境に向き合いすぎちゃって、ちょっと ね、えっと、自分が自分であるっていうことをもっとやっぱ確認しないとこれまずいぞっていう。ちょ っとうつっぽくなったり、睡眠もとれなくなったり。薬もつかっているんですけど。そうなったときに お酒のちからを使うっていうのもひとつの選択肢として考えないといけないかなっていうのを考えたら、 やっぱちょっと AA を行き続けることってマイナスになってしまうんじゃないかなっていう風に思った し。たぶん人と合う合わないっていうのもあるし、自分の時期と合う合わないもあるんじゃないかなっ て」

ま:「よしお さんよく言うけど、断酒に入っちゃうと一回でもスリップすることがもうなんかダメなものっていうか、 ああしちゃったねみたな、断罪されちゃうみたいな。されないかもしれないけどされるかもしれないみ たいな恐怖があっちゃうみたいな。で、スリップしちゃったあと、また断酒できるんだろうかっていう 不安はあったとか、断酒ってすごく出来てるときはいいし、できていることが自分にとってプラスだっ て思っているときはいいんですけど。そうじゃないかもしれない、断酒が自分にとってマイナスかもし れないって思ったらもうすごく果てしなく怖いし、すごくね不安が一杯になってしまう。だから断酒っ て諸刃なんだなって、、いまは思ってます。それとすごい向き合い続けているんだからすごいなあって」

ム:「なんかお酒とかが、、それを通してなんかひとに声かける声かけられるとかっていうなんとなく繋がっている感、であったかと思 うんですけど、それを、一回あきらめるってなると、けっこう大変だろうなあって思うんですけど。な んか関係が、、、切れちゃったりとか、、」

よ:「いやあ、切れる切れる。だって切れたもん。きついきつい。だからぼく戻りたいですもん。やっぱ お酒だけのつながりとか、お金だけのつながりとか、あっていいと思う、いや、そりゃあるって思っちゃう。依存がどうこう っていうよりか、それをどう自分が使うか、どう考えるか、、。だからぼくの場合は関係が切れる、関係 が切れたわけですよ。だってどうやったって酒じゃないとつながれないひとっているから、で、まあど っちをとるかってなったんですけど僕の場合はですけど。うーん、だから関係を続けるんだけど、どん どん苦しくなっていっちゃうから、もうしんどいけど、、」

ム:「どっちもきついですね・・・」

よ:「きつい、、ほんとうは生きていくためにはどっちも必要なんですよ、本当はね。必要必要・・関係続けるのも大事だけど、続けることで今度生活費がなくなるから生きれないんですよ。だけど 生きていくために金はあってもつながりがなくなると、今度なんか活気もなくなっていって・・・

ま:「なんのために生きているのってなっちゃうから ・・」


好きなこと、ひととのつながりが離れていく・・


よ:「そうそう生きる気力がね。とは言ってもっていうところで、どうしようかな、、って よ:ぼくの場合はミュージシャンとつながっていたのがいちばんでかいところだったから

 ム:「それ好きなことと結びついているってなんかまた、二重ですよね」

よ:「だってさ!!ぼく大好きなミュージシャンと飲むことで友達になれたんですよ。プライベートでも 飲みにいくようにもなった。嬉しくて、その人が教えてくれる店とか回って報告したりとか。そういうつながりが好きだったから。でもそれってお酒があったからなんですよ。で、よく行ってたお店の マスターも、お酒飲みにいくからしゃべってた、お酒飲んでしゃべるのが好きだったし、飲んでるとき のマスターが好きだったからやっぱそういうのって、どうしてもあるんですよ。どうしてもある。けど、 ぼくの場合は、いまだに思う」


思想の部分で話ができる仲間ができた


ま:「ぜったいきついと思う。よしおさんの場合、関係性もすごい関わ ってくるっていうのがね。お酒飲む飲まないっていうのが関係性も薄れる、濃くなるっていうのがすご い関わってくるじゃないですか。だからなんていうかな、、すごくこう、、好きなこともそうだし、関係性もそうだし、なんか、よく、、よく、生きてましたね、、っていうか、、」

よ:「ほんとそうそう、、でもその時期はね、なんか色んなのが重なったと思いますよ。やめた時期って 2018 年でしょ、、、そのときって塩澤もふくめ、小林さんとか、ぼく塩澤さんと同じ病棟 から移動して 2 年目だったんですけど、なんかねこういう話 ができるようなひとたちがいたんですよ。それはでかかったかもしれないですね」

ム:「確かに、あのつながりは職場が同じとか、そうじゃないとかはあんまり関係なかった気がしますよね」

よ:「うん、なんか思想の部分で話ができた感じ。だったから、それが大きかったかもしれないな。たま たまですけどで。それと自助グループがあった」

よ:「たぶん、塩澤さんが 2016 年に入ってきたんですけど、たしかね。たぶんあの頃からたぶん地盤がで きてきたんじゃないかなって。でタイミング的に2018年の12月っていうのが出てきたんじゃない かな、なんか話せる人がだんだん出てきて。それもあったかもしれないです」

ム:「それで、ニラさん家にもちょこちょこ行って、まあこんな感じで話していて、このテーブルとかほ とんど一緒みたいな感じ。テーブルにおかしとかおいて話したり。集まって近況話して帰るだけ、こんなことやったりとか、してましたね。ああ、言われてみればやっぱり大事なんだなあって、思いました」

ま:「そのお酒から離れようって思った時期と、酒なしでも思想の部分でいろいろ話せたりとか分かりあえる仲間ができていくっていうのは、でもなんか離れることとつながっていくこととかがリンクしてる っていう感じですね」

よ:「そうですね。それって塩澤さんとかもそうですけど、酒なしでつきあえたひとですよね。酒なしで話せたひとたち。わかんないでも、ああでもあれかなあ。だれが飲まなくてもぼくひとりで飲んでたひとだから、そ ういうときも、、ああでもあのメンバーだったらなかったかなあ、、ほとんどなんかファミレスとか、あ とニラさん家とか、そのときはもう飲まなくなったりとか、、。まあでもたまたまですね。いろんなこと が重なった。ああ、そうかそう考えると自助グループだけボンっていってやめろっていうのは相当乱暴 ですよね」

ま:「それはきついと思う。ああおれキツかったそれ。」

ム:「なんかそういう出会いがある、そのなかのひとつとして自助グループもそうかもしないですけど、。 自助グループだからいいとか、当事者同士だからいいとか、必ずしもそうでもないところってあんのか なって、、、っていうかあってほしいっていうのはぼくは思うんですけど。当事者は当事者だけでしか分 かち合えないみたいなのってそれって、思いたくない。でもわからないところはわからない、、。でも、 同じ体験しているひとってひとりとしていないだろうし。なんか、集団で、グループで別れちゃいそ うな気がして、「おれたち当事者グループ」「おれたち支援者」「おれたち関係ない」ってそれってなんか、 あまり平和じゃないなって」

よ:「あとニラさんの存在はでかかったですね。とにかくなんか、暇っていうのをネガティブに捉えなくなってきた。暇を過ごすことで。で、それがすごくいい経験になって、だからあんまり焦らなくていいかなって、自分のスタイルについて考えていて。ニラ さんおもしろいこといってたんだよな。飲酒に関しては、たとえ飲んでもいいから、飲んで周りがなん ていうかな、、支えてくれる、無理矢理でもとめてくれる仲間がいたら大丈夫なんじゃないの?って飲み 過ぎちゃったらって。だから、飲む飲まないじゃなくて、みたいな。面白かったの。

よ:「あと、ましこさん がこの前にね、ぼくが渋谷毅さんのライブよく見に行くでしょ。あのましこさんが言ってくれた「飲みながらライブ見させてあげ たい」と、ぼくのことを。あの発想っていうのはおもしろいんですよ」

ム:「なんかそういうのってちょっと言っちゃいけないのかなって、つい思っちゃうんですよ 」

よ:「ぼくでも(ましこさんの)それはすごくいいと思うんですよね。でもわからないけど、そうなって もいいんだって思えるでしょう。あれってで、ほんとにそうかもしれないし、、だから、選択肢が広がる し、そうやってそう思ってくれる人がいるっていうだけども助けになるっていうか。だから、良かった」


性依存症自助グループでの自己開示・・話しちゃいけないことになっている・・


ム:「唐突なんですけども、「お酒で苦労したりもしながら、当事者研究とかリフレクティングとか関わったりしたじゃないですか。実際自分でもやってみたり。 ニラさん家でも当事者研究とかそういうのやっていて、どうだったのかなと。今、(お酒を) 止められていることに役に立ったのかとか・・・なんで聞きたいのかというと、当事者研究とかリフレ クティングとか、確かにいいと思うんですけど、「本当にいいのかな?」って。」

よ:「なるほど・・・いいですね、そういうの笑」

ム:「確かにいいなって、面白いなって思うんですけど、「本当かな?」って。周りが「いいよ、いいよ」 って「これ、素晴らしいよ」ってとかって、それも多分、ちょっとあるんですよ。当事者研究とかも、怖いというか。こういう自然と言えちゃうんだったらいいと思うんですけど、「言わなきゃいけない」ところもあるかなって。なんかもしかしたらこう、オープンにしなきゃできないこともなかにはあったりとかもするし。なんか弱さ をだすのがいい、みたいな、それもだいじなんですけど、それ一色のイデオロギーみたいになるのなる のって、それもやだなあって、。なんていっていいのかわからないんですけど、、。実際おもしろいのです けど、よしおさんどうだったのかなあって」

よ:「あの、当事者研究が役にたったとか、リフレクティングがどうこうっていうのは、ぶっちゃけいま につながっているかっていうのは不明だし、あんまりそんな重要だったとは思っていないですね。リフ レクティングに関しても、そのときはいい。そのとき気持ちいいから。だから、まあうーんと、なんつ ーの、持続する効果かどうかは別、というか、ぼくにとってはあんまりない。でもやってもらったって いうのはあるから、感覚としては、それ自体はよかったってくらい、です。いまの効果に響いてるって いうのは、、だって覚えていないし、はは」

ム:「確かに」

よ:「でも楽しいし。自己開示していく気持ちよさっていうのはこのなかにはあるかな。リフレクティン グもそうだな」

ム:「自己開示していくのって、AA のミーティングとかもそうですけど、それ繰り返していくことで、自分を自己開示をしていくことの抵抗感ってなくなっていくものなんですか?」

よ:「うん、麻痺してくる。性依存の自助グループも通って いるんです、SA ね。ぼく SA がいちばんいいの。これはぼくがいちばん悩んできた部分の自己開示だから」

ム:「いちばん開示できない?」

 よ:「そうそう、これは話し合いができないんですよ。えーっとね、偏りすぎちゃって。だけど、自己開示をとりあえずする場、に関してはすごくいいんですぼく。そこにつながったことでだいぶ、この考え、 ぼくの考え正しかったんだなって、いまその確認の作業なんです。これはね、、、いちばんいい。いちばんタブ ーでしょう。話しちゃいけないことになっているんですよ。ぼくのなかでね。とくに

ム:「ぼくも、とくに、そこはありますね。タブー感は」

よ:「だけど、しっかり認識するっていうのは大事なことって思っていたんだけど、できなかったこと。これは男性としゃべりたいことなんだけど、しゃべったら誤解が生まれるし茶化しになるからしゃべれない。それで、SA っていうそういう場があるってわかったし、 そこでの開示、行ってみようって。ぼくの考えていることってちょっとわかってもらえたらって、自分 のなかで整理できたらって。あそこでの自己開示が麻痺させたっていうか、いちばん。それは、幼少期からずーっと考えてきたことなんで、ほーんとに考えてきた、おかしいって。けど、 それが明らかになったかなあ、ようやく。うん」

よ:「OA はね、いちばんいいのはね、女性が一杯いるとこ。 なんでかっていうのは、ぼくは女性としゃべるのは、、なんていうか共感しやすいんですよ。性に関して も女性にならしゃべれる。ぼくカウンセラーに言われたんですよ。あっなるほ どって思ったのは、ぼく男性が下ネタいうでしょ、下ネタのなか入っていくでしょ、それで拒絶感起こすんですよ実は。震えるくらい。けど、そういうのさとられたくないから見せない。それをカウンセラ ーに言ったんですよ。ぼくこういうのが出ちゃうんですどうしても、っていったら、これっていうのは 女性がセクハラされているときの感覚と一緒ですよって言われた。あーなるほどって思ったんですよ。 だから、そういった意味で女性となら話しやすいって意味がわかった。共感できる部分が多いのかなっ た。だから OA のほうが言っているのがわかるし」

ま:「女性が多いから?」

よ:「そうそう、女性の話のほうが伝わってきやすい。その部分のところは。だから、そういった部分で は OA がしゃべりやすい。SA、ちょっと SA のことしゃべっていいですか。SA に関しては、性別は分けたほうがいい。絶対そう」

ム:「しゃべりつらいとか、?」

よ:「そう。あと勘違い起こす。そもそも考えが違うと思って。で、この前本読んだんですよ。アディクシ ョンなんとかっていう女性が書いているやつなんですけど、女性の専門の。そのひとも分けたほうがい いって書いてあって。もうまったく一緒。ぼく思ってたのと全く一緒。どうしてもフラッシュバックを 起こすんですよ、女性が男性のそういうのを聞いたときに。話すところが全然違う。論点が。だからやめたほうがいい。ぜったいやめたほうがい い、これぼくはぜったいわけたほうがいいって思う。

ム:「AA はちょっと見てみようかなって思えるんですけど、SA はぼくにとってもやっぱハードルが高い 、なぜか、」

よ:「高いですよね」

ま:「あーでも、必要かもなあ、自己開示」


オープンにできるタイミング、距離


ム:「いやー、、なんかよしおさんがなんで SA 行っているのかっていうのはやっぱ気になったんですけど、 、、、うーん」

よ:「それ話してもいいんですけど、記事にしても全然構わないんですけど、聞きます??」

む:「どうしよかなって思っていて、自分が聞けるのかなって思っていて、それがあるのが正直なところ なんですよ」

よ:「だから、SA みたいな場所でひとりごとくらいで言っているのを聞くくらいがちょうどいいんだと思 うんですよ」

ム:「そう、なんだろう、その、無理して入り込まなきゃいけないことではない、だろうし、オープンにできるタイミングも、聞ける タイミングもあるだろうから、なんかそこは大事にしてってもいいのかなって思ってます。たぶん、ちょっとびっくりしちゃうかもしれない。なんかいろんなことを想定があるんですよ、いろんな想 定が。そう、いろんな想定があって、やっぱりかー!とか、えっ違うのかー!とか想定しちゃうから・・・」

よ:「うんあると思うし、たぶん傷つきますよ。やっぱ性別持っているでしょう。もっていないひとっていないでしょう。まんなかもあったり寄りがちもあったりそうのはあるけど、 けどなんかしらあるでしょう。でそういうのに共通することをぼくが発するから、たぶん。その考えを いうときはね。」

ム:「そうですよね、なんか、被るところがないわけじゃないだろうし、、、あと身近っていうのがこれが また、、」

よ:「そうそうですよね」

ム:「だから、患者さんとかと会って話聞くのと、たぶん違うだろうなあって、たぶん、受け止める感覚 っていうのって。だから、そういう意味では支援者は必要、だろうって思う気持ちもするっていうか。 でも、興味はある、けど・・」

よ:「あの距離っていうのは必要ですとね、だから、支援者と利用者さんの立場の距離とか。あと、自助 グループの距離」

ム:「だからなんか、別にあれなんですけど。まあ、よしおさんでもましこさんでも、別に僕が聞かなくていいことはある、みたいな。だれか聞いてくれるひとが いるんだったらいい、とか。別に自分が全部そのひとを知らなくてもいいし、仲良ければいまはそれで オッケーだし。ほかになんか拠り所があるんだったら、それで幸せなら、それはそれでいいし、なんか、 支援みたいなことしてても、自分がなんかやらないきゃいけないとかそこまで思わなくて、だれかがやってくれるならそれでいいし、とか、、思いたいなあって、。そうじゃないと結構、、。ほどほどが なんか、、、どんなに仲いい人でも、あるからなんか自分はやっていけてるっていうか、思う」

よ:「いやでも、ほんとそうだと思うな、、全部はね、、」

ム:「よしおさん、全然言いたいって思うときは、全然言ってもいいですよ。ただ、なんかその抵抗感あ るのかなってなんとなく感じるから」

よ:「うん、抵抗なくはないですよね」

ム:「だから別に無理しなくてもいいし。すごい聞きたいかっていったら、今自分の心持ちとして、あの ーちょっと自身がないかなっていうのは正直なところは、、」

よ:「でも、塩澤さんの言ったのって、ぼくね重要だと思うんですよ。このね、ひとりで全部受け止めな くていいっていうか、いろんなところに散りばめるってこれってなかなかできない。難しいですよね、 うーん。それに関しては、恋人とか、結婚とか、これも、これに幸せをもとめるっていうのは、そうい うのもつながっているんじゃないかなって思うんです。だから自分のこと をすべて受け入れてくれる、ぼくは今までの女性とつきあってきての考え方っていいうのは、このひと が全部自分のことをわかってもらえるってことに幸せを感じものだって思ってたけど、わかってもらえないときがどうしてもでてくる。でそのときにどうしても不幸に思うんですよ。でもそれは、それはそうなんですよ。当たり前なんだけど、そのときはその当たり前と思えないんですよ。このひとに全部受 け止めて欲しいって思ってたんですよ。付き合っているときはそんな分析の仕方はしてないですよ、でもおそらくそういうのが起きている。だからほんとはもっと自分の弱いところで、このひとに受け止めてもらえるところ、だけど、こっちにしか受け止めてもらえないところ、全部がこのひとが理解し てくれるっていう考えは、うーん、あぶないっていうか、それだと破綻しちゃう、、まあ、お互い」


ム:「そうだなあ、、、、。確かに。ねえ、いやあ。そうだよな難しいですよね。コントロールしようがない ところってありますよね。なんか、性に関することって、愛も愛情とかもそういうのって、まあなんか こう、離しきれないっていうか、生きていくのに必要だし、まあ食事もそうだけど、難しいですよね、、コントロールしようがないし」

よ:「なにがコントロールかわからない」

ム:「そうコントロールって言っていいのか、なんていいのかわからない。なんて言っていいんだろう。 、、。価値観とか、常識みたいなとか、、。幸せに、、行き着くところでもあるし、果たしてこれがどう 行き着くのかって、そこにも結びついちゃうとか、結婚とか、家族とかにも行き着いちゃうから、結構 なんか、大変なとこだなあって」

ま:「いろんな要素が、ほんとにいろんな要素が絡んでいるっていうか、距離感もそうだし、その自分を 受け入れてもらうこともそうだし、相手を受け入れることもそうだし。たぶん性、セックスって話して、 表にあらわれている部分って見えやすいけど、下にはほんとにいろんな要素が絡んでいる」

よ:「難しいと思うんですよね」

ま:「でよしおさんが OA いったり AA いったり SA いったり、すごい象徴していると思うんですけど、なんか、すごく、こう、いろんな依存 が絡み合って、なんか正体がわかんなくなっちゃってるみたな、、、。すごく丁寧に、自分を紐解いてあげないと、全然わからない」

よ:「そうそう。そこで出てきているのが、ぼく EMDR。って眼球でトラウマの治療で、今回受けようっ て思っていたら今回コロナになっちゃったんですけど。だから紐解いていくっていうのはその、EMDR をやったあとにどうなっていくのか、とか。依存、自助グループっていうのは確かに物質的にはそのものとか、その行為自体からは開放されるかもしれないけれど、スイッチっていうんですか、どんどんその、。うーん、わからない、EMDR を受けたからって全部がなくなるとは思わないけど」

ム:「いろいろなんか、チャレンジしてみたいっていうか・・・」

よ:「そうですよね。興味っていうか。ぼくほんとにフラッシュバックしますから。あるものを見るだけ でほんとにだめ。もう気持ち悪くてしょうがないし、心臓バクバクしちゃうし、だから、あの、それが なんかきっかけになればいいなって、。ただ、別に、この状態をなおしたいっては思っていないんですよ 。えーっとね。興味ですほんと興味。だってこの状態で生きてきたから。この状態が普通なんですよね。 だからなんで受けたいって思ったんですかって言われたら、興味としか言えないんですよ。これは治そうとか、治したくないとかってことじゃなくて。依存はとりあえず今は、あのー物質からは避けら れているから、っていうのもあるけど」


何かを手放すということ、行動しないという自傷行為


ム:「ある意味、話聞いてて、、何かしらに依存しながら生きているってだれしもあることだけど、それを 物質でもなにか、それを手放すっこととか、断酒、禁酒、節酒、それってある種の自傷行為なんだろう なっとかって思いました。なんかその、よくリストカットするとかが自傷行為みたいな感じにあるかもしれないけど、やらないことも自傷行為、っていうか、そういうのを手放すこと、行為を手放すこと、それをしな いっていうことも自傷じゃないかなって思って。それだとしたら、その目に見えない、なにかそのなに か手放すっていう自傷行為をしたら、それに対する・・・なんか・・どうなんだろう・・で も楽になっていくのかなあ・・ううん・・・」

よ:「でも、ぼくそれやっていると思いますよ。それ自分の性格がそういうほうだから、なんかがんばん なきゃいけないとか、そういうことで満たされる部分は、たぶんだから、その、断酒していることがあ る意味自分を痛めつけていることにつながってるって、全然しっくりくる」




 ロングインタビューお読み頂きありがとうございました。

今回特に性依存症のことに関してはあえて踏み込んで聞くことはしませんでしたし、できませんでした。しかし、それでよかったと思っています。少しづつ、その時がきたときにまたお互いに話合えたらと思っています。それまでは闇も闇のままに大事にして・・・。きっとその時がくるから、、、

貴重な話をきかせて頂いたよしおさん、一緒に話を聞かせてもらったましこさん、ありがとうございました。



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