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「AI×リフォーム×MBA」C/F

COVID19は様々な方向で建設業界に相当なダメージとインパクトを与えていますが、今回は資金繰りについて考えていきたいと思います。重曹下請構造の上層にいる少数企業群はある程度のキャッシュを内部留保として蓄えていると思いますが、現場で働く3次4次会社は自転車操業によるビジネスモデルで成り立っている為数ヵ月分の運転資金は保有していないと思われますので資金繰りについて事態は深刻です。何故なら重曹下請構造であるが故に上位注文者から順に入金されるシステムとなっており、工事が完了しているにも関わらず入金は3~4ヵ月後といった具合になります。入金後に原価(材料費や外注費)を支払うことはできず工事が進行している以上、入金前に原価を支払わなければなりません。つまりはキャッシュが0の状態から工事を始めると入金までの間はキャッシュが-(マイナス)になるということになります。更に重曹下請構造、リフォーム市場の高まりから新規参入企業が増加することで価格競争勃発、人口動態の変化や法規制、環境といった外部環境への対応によって原価が圧迫されることで利益も減少傾向にあります。このようなビジネス環境では薄利多売という市場原理が働き、末端で働く企業は自転車操業から抜け出せなくなるのです。自転車操業のビジネスモデルが建設業界で問題視されている長時間労働や低い賃金水準を招いている一つの要因でもあります。

皆さんは「黒字倒産、勘定合って銭足らず」という言葉をご存知でしょうか。計算上の収入と支出は合っているのに手許に現金が無い状態のことを指しますが先述した入金前に原価を支払うということが関係しています。P/L(損益計算書)でお金の流れC/F(キャッシュ・フロー)を100%読み解くことは不可能なのですが大半の方はP/L上の利益=現時点で保有しているキャッシュ(現金)だと誤認されているのではないかと思います。今回のCOVID19や有事の際の「銭足らず」を回避する為にはC/Fを中心とした経営にシフトする必要があります。利益が増えればキャッシュも増えるということではありません。何故なら、P/L上では引当金や原価償却の調整が入りますし、取引は全て現金取引としていない為に会計上の収益・費用は現金の受取・支払いのタイミングと一致しないからです。自転車を漕ぐ3次4次会社がこれから留意しなければならないのは、

①進行中の工事請負代金の早期回収(出来高の場合、出来高比率を始めに高く設定する)

②完了済の工事未収入金の早期回収(取引企業の支払い条件を確認し極力、入金が早まるよう交渉する)

③原価の支払いを極力伸ばす

ざっくりとこの3点を意識するだけでも有事の備えとなるのではないかと思います。


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