見出し画像

【Free Score】《July 7th Is Unstoppable♡ feat. March》(for 2 Keyboard Percussions)

Attached on this page is a pdf file of my piece,《July 7th Is Unstoppable♡ feat. March》(for 2 Keyboard Percussions).
拙作《July 7th Is Unstoppable♡ feat. March》のスコアを公開いたします。既存の作品を鍵盤打楽器のために改定したものです。

▼Score

▼初演音源

▼楽曲解説

ある種ゲーム的な要素を内包する作品。ジョン・ケージを潮流とした実験音楽にインスピレーションを受け、核となるアイディアを創出。そこに私がかねてより取り組んでいる独奏曲創作において抽出したエッセンスを掛け合わせ、新たな視座による、新たな枠組みを構築することを試みた。
各々が、上下をひっくり返しても演奏可能な、例外を含む7つのパターンを持つ7種のマテリアルの組み合わせにより構成されている、タテ7段×ヨコ7拍から成る楽譜が7種類(枚)与えられ、この7種の楽譜を演奏前にシャッフルすることで、演奏内容がはじめて確定される(7枚=1セット。何セットか用意し、続けて演奏することも可能)。尚、パターンの振り分け、マテリアルの配置という作曲上のプロセスすら、チャンス・オペレーションによる決定を媒介しており、そもそもの楽譜自体も偶然の産物である。
また、楽曲を通じ、用いられている楽音のレンジは、一貫しin Cに対してダイアトニック…すなわち、臨時記号を要しない、ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シの7音の範囲に留まっている。
タイトルに7月7日とあるが、これは初演日に因んだものであり、上記ルールもこの日付からインスピレーションを受け、策定された。無論、7月7日しか演奏をしてはいけないというルールは存在しない。是非、年中いつでも(お気軽に)取り組んでいただきたい。

▼打楽器(マレット)版の演奏に際して

マレットで奏するキーボード・パーカッションを1名につき2台用意すること(2つの楽器の音域をそろえる必要はない)。左手と右手は、それぞれ異なる楽器に対応しており、楽譜中の所定のポイントで演奏手(楽器)のチェンジの指示*があるまでは、当該の片手のみで打鍵を継続する(但しトレモロは除く)。尚、どちらの手から演奏を開始するのか決定するために、その手段として、コイン・トスを用いること。また、マレットの種類や、ヴィブラフォンを用いる場合はそのモーターについて、そして、そもそも何の楽器を使用するのか、等の諸事項も、可能であれば偶然的な操作を媒介して確定されることが望ましい。
当ヴァージョンは、安藤真太朗さんの依頼によって、委嘱日直近のクローズドな演奏機会のために2024年3月に急遽作成された。実際的なパフォーマンスの都合上、いくばくか新たにルールを改定しなければならない箇所がみつかったのであるが、せっかくなので(そしてその方が都合がよかったということもあり…)本作は「3」を基調として、これを定めることにした。もちろん、改作に際して、全オペレーションを再実施(ルーレットの引き直し等)している。
もともと当作品は、(楽曲コンセプトの都合上、上と下の加線がある程度等しく、それでいて)音域が広く、(楽曲コンセプトの都合上、楽譜をひっくり返しても成立するような記譜が可能な)豊富な奏法をもつバスクラリネットとバストロンボーンのためにそれぞれ創作した楽曲であったため、編曲のお話をいただいた際は本当に改定が実現可能か少し逡巡した。しかし、楽器を2台並べる…等のコアとなるアイディアの新たな閃きによって、十分に作品として一定水準の奥行きを確保できると判断し、今回この打楽器(マレット)版の創作を敢行することができたのである。

貴重な機会を与えていただいたマタロウさんに改めてこの場をお借りして感謝申し上げます。ありがとうございました。

*ちなみに、手の交替を指し示す記号として「○」を用いていますが、これは「マル」ではなく、「Oppose/Opposite」等の頭文字「O」をあらわしている(つもりな)のです。

◎原典版はこちら(↓)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?