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2-6:困った人のモトあつめ(人生はなぜ辛いのか?と思った時に読む『モト』の話)

2-6:困った人のモトあつめ

モトは「集めないと減っていく」もの

 と、今は分かりやすい二つの例をあげましたが、僕たちはあらゆる瞬間、様々なものに「注目」することでモトを増やしたり減らしたりしています。一人でぼんやり考え事をしているときでさえ、モトは「アタマが注目している何か」に向かって飛んでいこうとします。もちろん、そんなときは「受けとる対象」が単なるアタマの想像にすぎないので、どこへも届かなかったモトはただ「消滅」してしまいます。

 人生が辛いのはなぜか? というと「幸せを感じる機会が少ないからだ」と、この本の冒頭で書きましたが、こんな風にただ一人で過ごしていても、モトはどんどん減っていくんです。いわんや、他者のと関わりで相手に渡したり吸いとられたりして減らしてばかりいては、さらにさらに、好き嫌いゲージを増やして幸せを感じる機会は減ってしまいます。

 だから僕らのココロは、いつでも無自覚にこの「モトを増やす」ための行動をとろうとします。例えそれが、他者に不快感を与えるような行為であったとしても、です・・・。


人を「困らせても」モトは集まる

 世の中には「困った人」がたくさんいます。例えば・・・

・人の嫌がることを、分かっていてやり続ける人
・自分の話ばかりしようとして、こちらの話を聞かない人
・すぐ怒鳴り散らしたり、暴力を振るってくる人
・お金やモノに執着がありすぎて、周りを困らせる人

などなど。挙げればキリがありませんよね・・・。

 この人たちが、どうしてこういうことを続けるのかというと、結局はこの人たちはこういう方法で「モトあつめ」をしているからなんです。

 モトは「注目される」と集まります。「注目される」ことだけが条件なので、どんな手段を使っても、注目さえされれば集まってきます

 そう、例えば公園で鳩に餌やりをしても、鳩からモトが集まってくるんです。鳩にもココロがありますからね。
 動物の餌やりが楽しいのは、餌を欲しがっている動物たちからモトが集まってくるからです。餌をまく、食べさせる、という流れは、表面的には餌をあげた本人が金銭的・物質的に一方的に損をしているように見えますが、それで気分が良くなるのはこの「モトの動き」が関係しているんです。

 だからこそ・・・条例などに違反しても、周囲に反対されても、公園で鳩や野良猫に餌を大量に撒くのがやめられない人がいるんです。そういう人々はきっと、他の「モトあつめ」の方法を知らないか、難しくてできないからなんだと僕は推測しています。


ココロは常時「モトあつめ」をしている

 そのほかの「困った行為」も、もとを正せば「モトあつめ」をしているに過ぎないのです。失ったモトを取り戻そうとしているのか、それとも寂しさ(モトが少ない状態)を埋めるために他人にちょっかいを出し続けているのか、事情は人それぞれですけど、その根底には必ずこの

「モトを集めたい」というココロの根源的な欲求

が絡んでいます。

(続く)

「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)