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あなたは海外に住んで英語がしゃべれるようになりますか? いいえ、私はなりません。

海外に住めば、自動的に英語がしゃべれるようになる。

それが正しくないことを、海外に住んで4年になる私は、日々体感しています。

子どもたちは日本人学校に通っているので、海外生活なのに他言語を習得する機会はほとんどありません。今日はそのあたりについて書いてみようと思います。


現地校への転校を考えていたけれど

私たち夫婦は、もともと海外生活への憧れがありました。
せっかくのこの機会を、現地校に通って英語を習得してくれたらいいな、と軽い気持ちで考えていました。しかし、現地校に通うのは絶対に嫌だ、日本人学校がいい、と子どもたちに言われてしまいました。

日本で公立小学校に通っていた長子は、不登校になりそうな時期がありました。主張するタイプではなく、あまり変化を好まない性格でしたので、すべての環境をガラリと変えて、大きなストレスを感じさせるのは親子にとって良い結果にならないだろうと判断し、日本人学校に通わせることにしました。

次子も長子に引っ張られてか現地校を嫌がったのですが、性格はわりにチャレンジングでポジティブ。初めは日本人学校に通い、タイミングを見て現地校に転校させようと(親が勝手に)計画しました。

いざ渡航し、学校生活にも慣れてきたころ、そろそろ次子の転校を…と準備を始めた辺りでコロナが大流行。

ろくに英語も聞き取れない次子に、コロナの混乱のなか転校させ、オンライン授業をスタートさせる度胸は私たち夫婦にはありませんでした。

もうコロナは収まりましたが、日本人学校がとても気に入っている子どもたち。ただでさえ困難続きの海外生活がやっと安定したというのに、またゼロから立ち上げに苦労するのが嫌で、その後は転校を考えることもありませんでした。

居心地のいいぬるま湯に浸かっていたとも言えますが、海外でコロナ禍を過ごすというのは、なかなかにストレスフルな状況です。無自覚でも心身に相当なストレスがかかっていたのか、変化に立ち向かう気力は私たち夫婦には残っていませんでした。

心身健康で海外生活を送ることが一番大事だとすれば、それ以上に望むものはありません。人種や文化を超える経験や、語学習得をさせられなかったという面で、後悔はしてないかといえば、嘘になります。

母語が大事とアドバイザーは言った

4年前に日本を出る時、教育関係団体のアドバイザーさんや専門の方に相談したら、とにかく母語を大切にしてくださいねと言われました。

曰く、母語をきちんと確立し、母語で深く考えることができてこそ、しっかりとした思考力を発達させることができるということでした。

母語が確立しないうちに第二言語を入れると、どちらも不完全のまま習得することになるという…いわゆる、ダブルリミテッドというやつですね。

それは私がその時はじめて知った概念で、なるほど、そういうものかと思いつつ渡航。

その後、ずっと現地校に通う子、日本語環境から現地校に入る子、現地校から日本語環境に入る子、他国のインターを経て日本語環境に入る子、他国の日本語環境を経てふたたび日本語環境に入る子。

また、国際結婚や永住家庭の子など、わりに様々な年代の日本人の、様々なパターン・教育方針を見聞きしてきたと思います。

ちなみに、英語ペラペーラな保護者でも日本語環境の学校に子どもを通わせている方はたくさんいらっしゃり、戦略的に進路を考えている方多数。賢母や…。

どのコースが一番いいとは一概には言えず、どの保護者も悩みはあるようです。どちらかの言語にどうしても偏りがちにはなるようで、完璧なバイリンガルがどれほどまでに努力を重ねてきたか、本人や保護者の苦労が今ではわかる気がします。

2つ以上の言語で生活する子ども時代であっても、親が話し好きであることと、コミュ力が高いこと、ポジティブな言語フォローができることが肝なのかなと感じています。

私は日本語だってぺらぺらしゃべれないし、きめ細かいフォローもできないので、わが子たちが小さいときから英語環境に入っていたら、日本語力はそうとう崩壊していたんじゃないかなと想像。

夫はビジネス英語を使っていますが、(基本的に子どもは勝手に育つだろうという昭和なタイプで)とりたてて教育に熱心というわけでもないので、子どもの英語だってたいして伸びなかったかもしれません。逆にすべてが成功していたかもしれないけどね。

何を目指すのか

現状、子どもたちは、カフェなどで英語で注文したり、簡単な質問に答えたりくらいはできるようになりました。まあ、現地校バリバリの方から見たら鼻で笑われちゃうようなものですが。

渡航前は200%現地校を嫌がった長男が先日、こんなことを言いました。

「4年も海外に住んでるのに英語をしゃべれないなんて恥ずかしい、なんで現地校に入れてくれなかったんだ!

もう夫婦でズッコケました。。。どの口が言うか!とね。
子育ては思い通りにいかないもんですね。※長男との関係は良好です

もしこれから海外生活を始める予定で子どもの学校選びに迷っている方がいたら、子どもの性格はさておき、保護者のおしゃべり力とコミュ力、どこまで言語フォローができるかの本気度を考慮するといいんじゃないでしょうか?

私たち夫婦は、根本には日本の教育に疑問を持っているので、将来は日本だけでなくどこででも生きていけるタフさを持ち、英語というツールを使えるようになっていてほしい、ということがあります。

それは上手な英語を話せということでもなくて、それよりもどんどん外に出てどんどん失敗して、コミュ力を磨くべし、と願っています。出川イングリッシュやフワちゃんには学ぶものしかありません。

来年は他の国に移動し、子どもたちはいよいよ英語環境の学校に進む予定なので、私もポジティブなフォローをしていくつもりで、海外生活4年目にして母子ともにちょっと強気で英語学習に取り組み始めました。そんな話もおいおいして書けたらと思います。