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「クリスマスから学ぶ、自分との向き合い方について」


25日 クリスマス。

私は、半分泣きそうになりながら家を出る準備をしていた。

たまたまつけていたTVでは、きらびやかな街のイルミネーションや街頭インタビューがしていて
アナウンサーが男性に、クリスマスの予定を
聞いていたりしていた。
私は、無意識にチャンネルをTVに向けて
TVをブツリと消した。

そして、半ばやけくそになりながら
マフラーを首に巻き家を出た。


駅に向かう道のりは、いろんな感情が混じり合ってもう本当に右目から光るものがあったぐらいだ。

子供たちはみんな嬉しそうに、走ったり
お母さんと手を繋いで早く家に帰ろうだとか、
本当に観ていて懐かしく思えた。

綺麗な女の子たちは、いつもはしないような
大きなリボンのヘアアクセをつけたり、
ビジューのついた、キューブ型のコロンとした形のバッグを持ち、Aラインコートを見にまとい
歩いていた。

通り過ぎる綺麗な女性からは、ディオールの香水の匂いが微かにした。


とにかく私にはそれが全て、キラキラして見えた。
同時に羨ましい気持ちと、預かり知らぬそれよりもずっと強く勝る自分への自己嫌悪や「
自分はいまなにをやっているのだろうか?」
という惨めさを抱え予備校へ向かった。

私は予備校に着いて、少しの間玄関から教室を見渡した。

さっきまでの汚い感情がだんだん薄れてそれが、丸くなり消え去ってどこかへ行く感覚を今でも覚えている。

予備校にいる生徒たちは、いつもと変わらず
真剣に机に向かい、先生たちの必死に生徒と向かう背中を見て、私は我に返った。


世間はクリスマスかもしれないが、
私は私だし、今後が掛かっているかもしれないのに、なにを寝ぼけたことを考えていたんだろう。
他のキラキラした人たちは羨ましいが、まずは
私は勉強だ!勉強しかないんだ。逃げるな!私。
そして、自分と向き合えていないことにも気がつきその自己嫌悪や、いろんな気持ちを込めて徐に、ペンを筆箱から奪い取り問題集を広げた。私も負けじとひたすら問題を解いていつもよりたぶん良いコンディションで集中をしていたと思う。


家路はお腹いっぱいに美味しいラーメンも頬張ったためかカップルたちをみても、「お幸せにね〜!」と、もう祖母目線で微笑しいと思っただけだった。

羨ましいだとか、ひがみの感情は
一切湧き出てこなかった。

お腹いっぱいだと、そういう汚い感情も湧き出てこないものだなあと感心しながら


私は、母から言われていた「他の子は他の子。椿は椿。」

という言葉を思い出し、その言葉たちを噛みしめながら車窓から見える家からかすかに溢れる光たちを眺めながら家路へと向かった。


おわり。


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