【一人交換日記】寂しさと愛は同じ場所にある?
寒いですね。こういう理不尽なまでに気温差がある日は、憎まれ役が必要になると思うのですが。低気圧とか、ちょっくらボコらせてくれませんかね。
今回は最近読んだ永田カビさんの『一人交換日記』について、読んだ時の感情を清書していこうと思います。ネタバレを含みまっす。
永田カビさんといえば、『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』が有名ですね。体当たりで赤裸々なエッセイを「ウワー!!」って出す方です。私は『さびしすぎて~』の方はほぼ未読なのですが、『一人交換日記』はピッコマで読んでるうちにちゃんと読みたくなって購入しました。
『一人交換日記』も、代表作同様エッセイになります。読んでいてまず思ったのは、「寂しい」の力はとてつもないな、ということ。寂しがり屋じゃない私も、読んだ後しばらく日常のあらゆる寂しさに目が向いて、胸が締め付けられて、金縛りのように布団から動けなくなりました。ああ、私の大好きな友達もきょうだいも、気が付いたら遠くに行ってしまうんだ。寂しい寂しい、好意は寂しさの種だから、誰にも向けられたくないし向けたくない、なんて気持ちになったり。作者の「寂しさ」が、ビシビシと心を叩いてきます。
作者は難儀な方です。自分の気持ちや状況を詳細に分析できるのに、しょっちゅうパニックになったり、日常的にお酒を飲んでいたりする。能力の高さが病を起こすのか、能力に関わらず病は襲うのか・・。
この作品は、昨今溢れている「自分の毒親について語る実録エッセイ」ではありません。なんとなく、そこを勘違いしている人が多い気がして・・・。(連載をリアルタイムで追っていた人は仕方ないかも)皆、誰かに酷い仕打ちを受けて、そいつと手ひどく縁を切るストーリーに飢えているような気がします。『一人交換日記』はそういうお話ではありません。最後に、「人生なんです」と繰り返すシーンがあります。読者が求めるわかりやすい筋に反していても仕方がないでしょう、人生なんだから。
家族と気持ちが通じ合わなかったのが、段々通じ合うようになったり。求めている愛がどこにあるのか、あったのかを考えたり。はたから見てしまっていいのかと恐れ多くなるような人生の姿。それを描写できてしまう永田カビさんは、今後どんな作品を残すのでしょう。
私は、気に入った作品を何度も何度も読み返します。しかし、この作品はそうはしないでしょう。でも、何十年たってもふとした瞬間に思い出すはず。そんな作品です。