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積み本の上で笑うはにわよ


 人形町の文房具屋でうっかり買ったはにわ指サックを開封した。買って2カ月は経っているが、ずっと未開封のまま机に転がっていたのだ。道具として必要だから買ったのではなく、つい、目について、つい、カゴに。

 なんだお前!自立するのか!

 面白いから机の積み本の上に立たせておく。計画的な読書が進んでいないため、積み本が机に散らばっている。たまに片付けとしてそれを積み上げて、時間が経つと散らばって、また積み上げて。
 何度も破壊再構築をくり返す中、必ず一番上に積まれるのはアガサクリスティの『ハーリー・クインの事件簿』だ。隠居した爺さんの推理・・なのかな?ちょっと出だしを読んだところ、違うっぽい。なんにせよ楽しみだ。今は椎名誠の短編集を読んでいるから、まだお預け。

 衝動のままに本を読むのも最高に楽しいが、気がつくと読みかけの本で周囲が溢れかえって悲しくなっていけない。衝動任せのかじり読みは図書館でやろう。

 もっと机に向かう時間を増やそうと思った。せっかく美しい白い机と腰に響かない揺れぬ椅子が揃っているのだから。椅子に座ったままできる筋トレやストレッチもできるし。ずーっと布団に転がってるより絶対体にいい。

 4・5千円の有線ヘッドフォンを探して電気屋を彷徨ってはや2年。5万円からしか置かない決まりでもあるんか?マイクもネコミミもいらんのよ配信者じゃないんじゃから。
 普通の、普通のヘッドフォンがほしいの・・お願い・・。と途方に暮れていたら、ピアノやショウウィンドウ越しのトランペットが並ぶヤマハにしれっと売っていた。こういうところで売っているものこそバカ高いだろうと思っていたが、希望価格ピッタリ。


 見つけた時は手持ちが無くて買うに至らなかった、次あの場所に行ったら必ず手に入れる。そしたらパソコンにもiPadにもさっと繋いで音楽や動画を見て、机と仲睦まじく過ごせるというわけ。


 はにわが遠い目をして笑っているから、1度くらい正しい使い方をしようと指にはめてみる。ゴムが指先をふさぐ感触が不快すぎてすぐ吹き飛ばしてしまった。ごめんね。

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