カナダの子育て


娘の学校が始まった。
まだ2歳なので、プレスクールだが、立派な学校だ。

始まってからしばらく経ったが、娘の適応力と頑張りに驚かされている。初めは、日本でよく聞く「慣らし保育」を実施しようとして、ネットでやり方を調べて実行しようとした。でも、入学前の先生と対面した際、初日のスケジュールを聞くと、何も特別なことはないとのことだったので、思い切ってこちらのやり方に合わせて慣らしなしでスタートすることにした。(gradual entryと言って慣らし保育のコンセプトはあるのだけど、日本ほど求められてもいなくて、きちんとした一日ごとの計画もなさそうだった。笑)

「一番は子供がハッピーでいられることですから、ダメな時は連絡します。でも子供によって反応も違うから、まずは様子を見てから決めたらいいんじゃないでしょうか?」と先生が笑顔で言ってくれたのを聞いて、それもそうだな、子供の可能性を知る前に親が変にコントロールするのも変かも、と思ったのだ。

この選択が大正解だった。いや、娘も泣かなかったわけでは決してない。それなりに泣き叫び、ドロップオフするまで時間はかかった。でも、一日目から最後まで過ごすことができて、今も朝は少し泣いているようだけど、親の手を離れてからはハッピーそうに過ごしているらしい。よく食べ、よく寝、家に帰ってからの様子も落ち着いてきた。未だにピックアップの時は少し恨めしそうな下唇を出しているけれど。笑 それでも、毎日進化が見えるし、本人の自信を感じる時すらある。

カナダに来てから子育ての概念がところどころ楽になったと感じているのだけど、これはカナダにいる方が子供を信じることができるようになったからな気がする。子供がちょうど言葉を覚え始めた時にこちらに来ているので、そう言った影響もあるとは思う。でもそれとは別に、カナダに来てから受けた影響も少なからずある。ざっと思いつくのは以下の通り。

・起きてもいないことを想定して先回りして子供の動きを制御することはしない
・躾よりも子供の人権を尊重する
・子供だからわからないと思わずに、目を見てなるべく理性的に物事を説明する
・大人も言いたいことは正直に言う(いいことは率直に、悪いことは言い方という環境を工夫する)
・大人が先に決めない。何か決める時は子供に意見を求める

これは、あくまでも私がいる環境、出会った人々から吸収したエッセンスで、あくまでも個人的な意見。書き出してみると、子育てという枠を超えて、人間として人とどう接するかということだなぁ。

話題が逸れるが、特に人権については、カナダに来てからすごく考えさせられている。子供だけでなく、ホームレスの方、移民の方、難民の方、LGBTQの当事者の方、精神的または身体的に障がいのある方など、自分と違う境遇に置かれた人たちへのイメージや捉え方が、日本にいる時のそれとはまるで違う。(今も勉強中です)

親が経験したことのない教育を我が子に経験させることは、リスキーで不安はあった。でも、まだ始まってからばかりの娘の挑戦を親として心から自信を持って応援したいという気持ちになっている。この時点で、スタートとしては十分だと感じている。

人生は何が起こるかわからない。何かつまづくことや困ったことがあったら、親としてはその時にうんと考えてベストな選択ができるよう支えられたらいいと思っている。それ以外は、与えられた環境に感謝して、楽しいこと、ワクワクすることを最大限子供と広げていけたらいいな。学校は可能性を広げるためのもの。これからもありがたく通わせてもらいたい。

明日も頑張っている娘を抱きしめて、親子で幸せに生きたいものです。


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