ケアマネのジレンマ 在宅の限界?

「死ぬまで自宅で生活したい」と明確な希望をお話してくださる利用者さんは多いです。

Aさんのケースをご紹介したいと思います。

Aさん、左股関節打撲・右大腿骨骨折手術後でピックアップ型という歩行器を使用して生活されていました。
ある日転倒してしまい大きなけがはなかったのですがその日の夕方から一人で起き上がることもできなくなりました。
その日から3日少しずつ回復されベッドの横に腰かける事はできるようになりましたが腰を持ち上げる事ができません。

車イスを借りましたが移るのも介助が必要です。
一人暮らしのためヘルパーが行くまではずっとベッドの上でお過ごしです。
これでは余計に弱ってしまうと考えショートステイに3泊し身体の状態を見てもらうことにしました。

やる気も意欲もある、しかし腰が持ち上がらない。痛みはどこにもありません。
訪問リハビリで教わったようにやってみますがどうしても自分だけでは腰が持ち上がらないのです。

今日そんな状態でまたご自宅に戻られます。

私からの提案は、

介護老人保健施設への入所です。リハビリをやってもう一度自宅に帰ってくる。そこを目標にしたいと思います。

施設入所はお断り・自宅に居たいとおっしゃった場合は全体を包括的に見てくれる「看護小規模多機能型サービス」への移行を提案したいと思います。
看護小規模多機能型サービスとは、一つの施設がケアマネ・訪問看護・通所介護・ショートステイ・訪問介護を全て行ってくれるサービスのことです。
料金は介護度により定額制で食費などの自費分が足されます。
細かい決まりはありますが在宅のサービスを積み木のように組み合わせるサービスよりも柔軟性が合って対応力も高いです。

もし老人保健施設でという話になった場合はもちろんお部屋が空くまでの入所待ちがあります。
それまではショートステイとご自宅にいらっしゃる日はヘルパーさんをお願いして乗り切っていくという日々になるかと思います。

ケアマネとしては「自宅にいたい」希望がある利用者さんに施設入所をというのはとても心苦しいですが「自立した在宅生活を長く送るため」の手段として一時的に介護老人保健施設でリハビリをしてもらうのは必要ではないかと考えます。

Aさんに以前施設入所の話をした時に「帰ってこれなくなりそうで嫌。」と言われました。おっしゃる通りだと思いました。「帰ってこられなくなる。」可能性もあるのです。しかも確率は低くありません。リハビリ次第・回復状態次第の判断になるからです。

それでも今の段階では介護老人保健施設入所の選択肢が一番Aさんにとって良いと私は考えるので今日お話ししてこようと思っています。

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