見出し画像

おままごと三ツ星スイーツ巡り

 娘と自宅で、今まで食べたことのない三ツ星シェフによる最高級スイーツを堪能している。もちろん、食べ放題だ。

 フォークで一切れを切り分けるたびに、記憶の中の一番美味しいケーキを頭に思い浮かべる。濃厚で口どけが滑らかなホイップクリーム、その中に隠れるイチゴの酸味が絶妙なショートケーキ。二口目には、スポンジケーキの奥深くに広がる卵のまろやかさと、じわりと広がるコクを想像する。

 娘が半分に割ったシュークリームを私のほうに差し出す。次は少し趣向を変えて、ジャンキーな味わいを想像してみる。大量生産の生クリームがたっぷり詰まったシュークリーム。ふわっとした軽いクリームと、しっかりとした重みのあるクリームの二層構造。スーパーで売られているような強引な甘さが口の中に広がる。それでも、悪くない。

 こうやって想像力で遊んでいると、味を理解するのに本当はどれだけ集中力が必要か分かってくる。いくら高級品を食べても、その瞬間に全力で味わうことをしなければ、ただのカロリーの塊になってしまうのだ。

 次はフルーツタルトを頬張ることにする。甘酸っぱいベリー、ジューシーなマンゴー、サクサクのタルト生地にバニラの香りが漂うカスタードクリーム。素材が増えるほどに想像の難易度が上がるが、それがまた面白い。こうして無限に広がるスイーツの世界を、想像の中で旅している。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?