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神海戦士エルマーレ 第1話「戦士の目覚め」Part4 #エルマーレ

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プロローグ
Part3


(これまでのあらすじ)
フェリー「かげろう号」を襲ったのは<焼却衆>とその先兵、オーロックス焼却獣であった。窮地に陥った海藤碇は消息を絶った筈の浜乃奈海から神秘のアイテム「マーレアンカー」の力を受け取り、遂に神海戦士エルマーレに変身するが……。


「ぬうう……貴様ら、かかれ!」

爆炎の中から現れたのは……なんという事か、あの赤熱無貌の有象無象たち!それも二体や三体ではない!!
(何なんだ、あいつらは)(あれは火魂(かこん)……炎に邪な意思が宿った焼却衆の手勢)
火魂は一体二体では消火器や放水で撃退される程度の雑兵に過ぎない。

しかし、爆発炎上するコンテナから現れた火魂の数は十体を超えようとしていた!

「トゥアーッ!」背後から迫る火魂の一体にエルマーレの右裏拳が叩き込まれる!くの字体勢で吹き飛ぶと、さらに後ろの一体を巻き込み再起不能!
さらに反対側から殴り掛からんとする一体の腕を逆に取り……「トゥリャーッ!!」投げ飛ばす!
火魂はデッキの防護柵の上を放り出され、蒸気を上げながら海中に没した。


だが後ろにばかり注意を払っていられない。「ふはは、油断極まれり!」
オーロックス焼却獣の頭突き攻撃が迫る!エルマーレは防護柵を蹴った反動で跳躍、この危険な一撃を回避するも……。

着地した所を火魂たちの火炎攻撃が襲う!拳で炎を打ち払うが、この数は厄介だ。さらに焼却獣の丸太のような脚による一撃が迫り来る!
エルマーレは勢いよくバックステップすると、背後を塞ぐ火魂の頭部に痛烈な肘打ちを見舞い強引になぎ倒す!
そのまま包囲を脱出、着地を決める。焼却獣の蹴り脚は空を切り、蹄がデッキを叩く。
ここから一気呵成に反撃に転じようとするが……。

「足元が留守ぞ!ウオオーッ!!」前方の火魂たちが散開。一瞬隙をさらしたエルマーレをオーロックス焼却獣が吐き出した火球が直撃!「ウアァーッ!!」
ナパームじみた爆炎が戦士を激しく責め苛み、思わず膝をつかせる。


「う……くうっ……」
重厚な蹄の音が徐々に迫ってくる。反撃しようにも周囲で燃え盛る炎がエルマーレの体力を着実に削り、身動きが取れない。

碇は無意識に胸中で彼女の名を呼ぶ。(奈海……答えてくれ、奈海……!)


「……私は、一体……?」
奈海が目を開くと、辺り一面が碧く透き通った……まるで海の中のような光景が映る。
(確か守り神様の祠を見に行って、その時……)
炎に包まれて、そこからの記憶が無い。

その時視線の先の水面が揺らぎ、一人の女性が姿を現す……奈海は驚愕した。
何故なら彼女は水鏡に映った自身の如く己と瓜二つだったからだ。
(奈海さん、彼が……エルマーレが呼んでいます)(待って、あなたは一体誰なの……?)

女性は肢体から光の粒子を散らしながら奈海の両手をとる……今や蒼みがかったシルバーに変わった彼女の髪が奈海の頬に触れるほどの距離。
碧い瞳で奈海を見つめながら、その名を口にした。

「私はペルサ……これから、よろしくね」


オーロックス焼却獣は無慈悲な踏み潰しでエルマーレにとどめを刺そうとする!「死ねえぃ!!」
だがその時、マーレアンカーから碇の精神に呼びかける声が。奈海だ。
(私を武器にして!)(……わかった!)
エルマーレは腰のホルスターからマーレアンカーを抜き放つ。迸る紺碧の光!

「マーレアンカー・ダガーモード!」

その一閃が辺りの炎を吹き払い、オーロックス焼却獣が振り上げた足を斬りつけて火花を散らした!!



Part5に続く

スキするとお姉さんの秘密や海の神秘のメッセージが聞けたりするわよ。