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神海戦士エルマーレ 第1話「戦士の目覚め」Part10 #エルマーレ

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プロローグ
Part9


(これまでのあらすじ)
巨大化復活を遂げたオーロックス焼却獣と戦うため、守護神マーレドラゴンと一体化した碇。
<海の民>メロウとイソラが一体化したマーレドルフィンとマーレタートルが共に戦うが、敵の力はなお強大だ。
その時海の戦士として覚醒した碇は、三体の守護神の真の力を呼び覚ます!


おお、見よ!巨大なる白亜龍が空中に舞い上がり長大な尾は分離して太刀に変形、秘されていた白亜巨神の脚があらわとなれば龍の四肢は腰と肩の装甲に変化。
それぞれ変形したイルカは銛を備えた右腕に、海亀は盾と砲を備えた左腕となって合体!
そして龍の頭部が巨神の胸部に移動し威圧的な胸当てとなる!

それと同時に、海神の頭部が巨体の頂からせり出し白亜巨神の全貌をあらわとした!

「海神来臨、マーレダイリュウグウ!!」

海底を踏みしめる巨神の翠の眼が光り、対峙する巨大焼却獣を見据えた。


『反撃と行こうじゃない?』『儂らも力を合わせようぞ』(さあ、ゆきましょう!)
「ここからが本当の戦いだ!!」エルマーレが、白亜巨神がファイティングポーズをとる!

「グオオオオーッ!!」

巨大オーロックス焼却獣が太い腕で殴り掛かる!
しかしダイリュウグウは重い一撃を左掌だけで受け止め……押し返した。
そしてさらに一歩踏み込み、カウンターの右ストレート!胸板に痛打を受けた巨大焼却獣は大きく後退する。

「トゥリヤァーッ!!」「グゴオオッ……!」

間合いを開けられた巨大焼却獣は前傾姿勢を取りダイリュウグウに突進頭突き攻撃を仕掛けんと迫る……!
しかしこの一撃もダイリュウグウは押しとどめる。向かってきた両の大角を握り、両足を踏みしめて白亜の装甲に走る翠の脈を光らせれば徐々に巨大焼却獣が押し返され……!

「トリャアーッ!!」「グゴオーッ!?」

その大角が根元から砕け散り、苦悶しながら仰け反る!有効打!
「「「よし、今だ!!!」」」
さらに畳み掛けるように白亜巨神は左右の拳を叩き込む!


当然の事ながらこの展開を件の二人……スルトとペレーが面白く思う筈がない。
「ちくしょう、こんな隠し玉があったなんて聞いてねえぞ……!!」
「あいつはもう限界みたいねぇ……アタシたちの本来の目的を優先しましょ」
瞳を熾火の如く燃やし怒りをあらわにするスルトを制するペレー。
そもそもかげろう号襲撃は彼らにとって目的ではなく手段であったのだ。
ならば、真の目的は……?
「あいつに時間稼ぎさせてその間にアタシとスルトで封印の地に乗り込んでブツ回収ぅ」
「カチコミか、血が騒ぐぜ……オーロックスの奴には気の毒だが」
何たる事か……スルトが首を鳴らすと彼の体が石炭めいた黒い鎧に覆われ、その隙間には熔鉄の如く燃える炎が迸る!
「ンーッ、なかなか気合入ってるじゃない?」それを目にしたペレーは満足気である。

だが、その時。

「「そこまでだ!!」」

海上に立ち彼らを見咎める二つの人影あり!
片方は屈強なる肉体にキトンじみた装束を纏い、顎髭をたくわえた壮年の男。
もう一方は群青のフード付きローブを纏い、口元をヴェールで覆っている。性別すら窺い知ることは困難だ。
思わぬ妨害者の出現に不快をあらわにするスルトとペレー!
「お前らどこの鉄砲玉だ!名ぁ名乗れ!!」「……アンタ、もしかして……!?」
だがかの人影は冷静に返した。
「まずそちらが名乗るが礼儀ではないか?まあ良い。我が名はポセイドン」屈強な男が名乗る。
「お察しの通りだよペレーさん。僕はカナロア……こんな形で会いたくはなかった」ローブの者も名乗った。

「おいおいペレー、あのうらなり野郎と知り合いなのか!?
スルトが突然横槍を入れる。
これにペレーが突如激昂!「その話はすンな!!」
「……カナロア、容赦はしないからね」
ペレーが黒曜石じみた杖を掲げると、その先端から無数の火炎弾がミサイルの如く放たれる!一方カナロアはローブの袖から伸びる水の鞭を打ち振るってこれを打ち落とす!
「どうなってやがる、あの二人は!」「そちらの相手はこの我だ!!」
ポセイドンが三叉矛を構えて突撃!スルトも灼熱の剣を振るって応戦、剣と槍が幾度も激突する!


一方マーレダイリュウグウと巨大オーロックス焼却獣の戦いには決着がつきつつあった。
殆どノーダメージで一方的に巨大焼却獣を追い詰めていたのだ。

「グオオオー!!」「タアーッ!」

満身創痍の巨大焼却獣は遠距離からの火球攻撃で一矢報いようとするが、ダイリュウグウは左腕の盾でことごとくこれを弾く!

『行けい!』「タートルマルチバスター!!」

盾の裏側に隠された連装ロケットが、亀の頭部が変形したエネルギー砲が一斉に雨霰と放たれる!
まともに受けた巨大焼却獣はもはや立っているのがやっとの状態だ。

『そろそろ片付けましょ!』『引導を渡す時ぞ』
「勿論だとも!!」(……行きましょう)


『ダイドラゴンザンバー!!』


ダイリュウグウが背負った太刀を抜き放つ。構えるとその刃はエメラルド色の輝きを帯びる!
振り上げる度にその輝きは増し、刀身が宙を斬れば翠の軌跡が弧を描いて一直線に飛び巨大焼却獣を切り裂いた!傷口から火花と眩い光が噴き出す!

「グゴ……ゴオオ……!」

オーロックス焼却獣は仰向けに倒れながら紺碧の光と紅蓮の炎を噴き上げ、今度こそ完全に消し炭と化した。



Part11(第1話最終セクション)に続く


スキするとお姉さんの秘密や海の神秘のメッセージが聞けたりするわよ。