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神海戦士エルマーレ 第1話「戦士の目覚め」Part11 #エルマーレ

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プロローグ
Part10


(これまでのあらすじ)
守護神達の真の力を呼び覚まし、三体合体した姿『マーレダイリュウグウ』の威力をもって遂にオーロックス焼却獣を撃破した碇と奈海。
一方その裏では<焼却衆>の戦士が<海の民>と激闘を繰り広げていた。
はたして彼らの目的とは……。


『ダイドラゴンザンバー!!』

ダイリュウグウが背負った太刀を抜き放つ。
刀身が宙を斬れば輝く翠の軌跡が弧を描いて一直線に飛び巨大焼却獣を切り裂いた!傷口から火花と眩い光が噴き出す!

「グゴ……ゴオオ……!」

オーロックス焼却獣は仰向けに倒れながら紺碧の光と紅蓮の炎を噴き上げ、完全に消し炭と化した。
それを白亜巨神は静かに見下ろしている。


カナロア及びポセイドンと交戦中のペレーはこれを即座に察知。「マズいね……!」
「ナメんじゃねえ!!」「ウヌーッ……」
スルトは身の丈近くもある剣を軽々と振り上げる。ポセイドンは三叉矛を構えたまま岩礁を蹴り一旦飛び離れた!
少し離れた海面にはカナロアが立ち油断なく神秘的な構えを取る。
スルト、今のとこは撤退するよッ!これ以上は埒が明かない」ペレーは撤退を決断!
「これからって所なのに、引き下がれってえ事か!」スルトは毒づきつつもペレーとアイコンタクトを行う。

スルトが振り上げた剣は今や巨人の松明じみた火柱を上げている!
「ウオオオォーッ!!」
それを横薙ぎに振るえば全てを焼き尽くす炎の荒波がポセイドンとカナロアを襲う!
さらには変幻自在の螺旋軌道を描く火炎放射が襲いかかる!ペレーによる追撃だ。

「ハァーッ……」
カナロアが大きく広げた両腕を掲げると、海中から蒼白い光の壁が防波堤じみて出現。破壊的な炎の波を押しとどめる……だがそこに頭上から迫る螺旋炎!
「ヌウッ!」三叉矛を横向きに構えたポセイドンがその前に飛び出す。
長い柄の中央を握ると高々と掲げ……風車の如く高速回転させて螺旋炎を防ぎ切ったのだ!
同時に炎の荒波が押し返され、海上に煙と蒸気が立ち込める……。

……それが晴れた時、既にスルトとペレーは姿を消していた。
「取り逃がしたか」「……戻って報告しよう」ポセイドンとカナロアが顔を見合わせていたその時。
「待って」カナロアが懐から何かを取り出す……水晶玉だ。それは光り輝き宙にセイレンの姿を投影していた。
『カナロア様、そちらの状況はどうなりましたか』
「……逃げられた。いろいろ言いたい事もあったけど……
『それはどのような……?』
いや、何でもないよ。そっちは……上手くやったみたいだね」
カナロアはポセイドンに話を繋ぐ。
「我らは後々合流する。彼の事を引き続き頼んだぞ」
『はい、了解しました!』


――龍仙島。

海岸に立ち尽くす一人の老人がいた。奈海の祖父、辰五郎である。
「不吉の星が齎したる焔の魔蘇る時、大いなる護り神遥か竜宮より姿を現さん」
かの激闘を遥か遠くから目にした辰五郎は、無意識の内に『日本諸島風土記』の一節をそらんじていた。
(もしや、星の災い……!?)


一方戦いを終えた碇達は守護神と共に海底深く目指して潜り進んでいた。
彼らを先導するのは碧い光……その正体は。
『……もう少しで着くわ』「セイレンさん、もう何があろうと驚かないがその前に一度島に帰らせてくれよ」
その答えを見透かしたようにセイレンが返す。
『あなたは知りたいはずよ。自分が戦った存在の事、わたし達の事、そして……』
一呼吸置いて最後の言葉を告げる。
『奈海の身に何が起こったか』「…………!!」

深みに近づくにつれ仄暗くなる海中において、突如視界が開けた。
明らかに自然の産物ではあり得ない明るさの水底にやはり自然の産物ではあり得ぬ、白亜の壁に七色に輝く屋根を備えた楼閣がそびえているのだ。

『ここがわたし達<海の民>の居城、ドラゴンパレスよ!』

「……龍宮城……!?」


――桜島。

今なお活発に火山活動を続ける地下空洞の内部。
しかし不自然に平坦な地面や重力に逆らい血脈めいて流れる溶岩、ひいては頂点に明々と炎を灯す石柱は此処が自然の地形でない事を物語る。

その深くにスルトとペレー、そしてもう一人……橙が交じった灰色髪のギリシャ哲人じみた男がいた。
「作戦立てたのはお前だろプロメテの旦那、こうなるのは予想できたのか!」
ギリシャ哲人じみた男……プロメテに詰め寄るスルト。プロメテは落ち着いて言葉を返す。
「よもや……海の戦士が此処まで早く覚醒するとは私にも予想できず」
「待ちな、それじゃアンタはあいつの事詳しく知ってたッてわけ?」スルトを制したペレーがプロメテを睨む。
一触即発の空気が漂うその時……!

『やめよ!』

その一喝に三者が姿勢を正す。
祭壇めいた最奥部で燃える炎がひとところに集まり、堂々たる体躯の男の姿を形作る。
燃える外套にその身を包み、己の背丈程もある七支刀を手にしたその威容こそ<焼却衆>の主……。


「「「カグツチ様……!!」」」


『一度の失策で内輪揉めをしておるようでは、大願は成らぬ』

ペレーが一歩前に進み出て頭を下げると、重々しく口を開く。
「海の戦士が目覚めてしまいました、由々しき事態です」

『ならば早急に策を練る必要があるぞ、プロメテよ』

「仰せの通りに……」深く首を垂れるプロメテ。


『……<焔星の欠片>を集める為に……!!』



【第1話完。第2話へ続く】


スキするとお姉さんの秘密や海の神秘のメッセージが聞けたりするわよ。