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廃都に舞う翼


「危ねぇだろっがーッ!!」オープンカーの後部座席から怒声!そのすぐ横を破壊熱線が掠める。

(あのヤロー……)前方の廃ビル群を叩き壊しながらこちらを睨む巨大ロボットだ。空き缶でこしらえたガキの工作みたいななりで大体数十m、何よりヤバいのが……。
「来るぞ!掴まれ!頭を低く!」俺は後ろに怒鳴ると(助手席はドアが大破している)アクセルを思い切り全開!
「熱っ!!」怪ロボットの双眼鏡レンズみてえな両目から放たれた熱線が俺達の頭上を切って後方の路面を直撃、爆発!その勢いで車体スピン!
畜生ブレーキだブレーキ……待て、今嫌な感覚がしたぞ!?
「今のでバーストした、乗り捨てるぞ!」「その後どうする気だよォ!?」
「二手に分かれて安全な場所を探す、それでいいか!?」
「それしかないだろっがーッ!!」
車を離れたほぼ同時に熱線がオープンカーを直撃爆発!クソッ、高かったんだぞ。

確か俺は親友と一緒に湖に釣りに出掛けたんだよな?
それがトンネルを抜けたら突然霧が濃くなって、まともな人間の代わりに怪獣だのロボットだの跋扈する荒廃世界に迷い込んじまった訳だ!
「とりあえず、あの殺人ロボは撒いたか……」
乱立する建物には人の気配が感じられねえ。ジュラ紀の首長恐竜みてえな生物が首をもたげただけだ。
「周りの様子がわからなきゃ話になんねえな」

少し歩くと給水塔があり、点検用の階段は少し錆びついているが昇るのに問題はない。この頂上まで行けば周りを見渡せると俺は判断した。
……だが階段を昇り始めてすぐ俺は違和感を感じた。
誰かにつけられている?だが足音はしない。ただ何者か強い気配を感じる……!!
こんな時安易に振り返るのが上策でない事を俺は知っている。ましてこんな得体の知れない土地で。


ビル三階分の高さ……背後の気配が更に強くなり、それが何なのかはっきりと分かる。
視線だ、この身を焦がし虜にするような。


奴が身を寄せてくる。俺は目を閉じた。



【続く】


スキするとお姉さんの秘密や海の神秘のメッセージが聞けたりするわよ。