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ラムミルクの味を求めて

土曜日。雨。jazz喫茶。
月曜日、はじめて行くそこが楽しみで仕方がなかった。
10時過ぎに起きて、朝食を済ませ
掃除、洗濯を行う
ゆっくりと外に出る準備を始めた。
ぽつりぽつり優しく降り注ぐ雨
90年代に流行ったCity popを流しメイクをする。
雨とCity popの相性が良くてこのまま家にいようかと思った。

ビニール傘を差し、駅に向かう。
節約のために2駅分歩く。片道135円で抑えた。
新宿。雨が上がっていた。
西口(だったと思う)を出て喫茶店へ向かう。
よく慣れた道にあったそこは興味が湧かない限り通りすぎていた場所。


ドアを開け、階段を降りカウンターへ案内される。
ブレンドコーヒーとブラウニーを注文した。
軽やかに流れるjazzを聴きながらお気に入りの小説を読む。

コーヒーを2口啜り、ブラウニーを1口食べた頃
トレンチコートにスーツ姿のいかにも就活生ぽい女性が隣に座った。
その人はゆっくりと着席すると店員さんを呼び
「ラムミルクをお願いします」と言った。

心地よいjazzと雰囲気を漂わせるタバコの匂い
それをお供に小説読む。ラムミルクの女性も同じように小説を読んだ。
コーヒーと小説。ラムミルクと小説。
きっと小説の味も違うんだろうなと思った。
私は、それからずっと、今もずっと、ラムミルクの味が気になって仕方ない。

一体、ラムミルクってどんな味がするんだろう。
またこのjazz喫茶に来るきっかけができた。
次は私もラムミルクの女性になろうと決めた。

多分、会うことはないかもしれないけど
どんな顔をしていたのかも知らないけど
私はある女性にラムミルクというものを教えてもらった。
私も同じように誰かにラムミルクを教える日が来るかもしれない。
これも一期一会なのだろうか。

帰る道の空が、小さい頃に見た空と似ていて懐かしく思えた。
母の作ったカレーが食べたくなるくらいに。(結局、食べたのはチヂミ)


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