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コロナ禍の大学一年生の皆さんへ

奥本「関先生こんばんは。今日は真っ赤なチェック柄のシャツですか。ずいぶん派手な服を着ていますね(笑) 目がチカチカします。」

関「気分を上げたくて、わざと着ているの。」

奥本「落ち込んでいるんですか?」

関「もうね、ずっとどん底なの。もちろん顔には出さないけど、この半年間くらい、僕の心はずっと吐いている。」

奥本「そうだったんですか(笑) 珍しいですね。」

関「髪をブラウンに染めてみたり、派手な服を着たり、バーチャル背景を明るくしたり、色々試してみた。しかし心のつらさに変化無し。次は真っ赤な色のヘッドホンを買おうと思っている。無意味かな?」

奥本「形から入るのって大事だと思いますよ。早く調子を取り戻してくださいね。」

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関「今日は何の話をしようかなと考えていた時に、ふと思い出したことがあるんだ。ちょうど一年前くらいに、(奥本)咲英から面白い電話がかかってきた。」

奥本「なんでしたっけ?」

関「留学の話だよ。突然電話してきて、『フィリピン大学って良い大学ですか!?』と聞いてきたでしょ。」

奥本「ああ!そうでしたね、懐かしい(笑)。思い返せば、去年の今頃は留学選考の合格通知をもらって大喜びしていました。たった一年前のことなんですね…。ずいぶん昔に感じる。」

関「努力の末にようやく掴み取った交換留学から一転、咲英さんも今の僕みたいにどん底を味わったわけだ。」

奥本「そうですね。天国から地獄でした。」

関「自宅で上智大学のオンライン授業を受けている時、どんな気分だった?」

奥本「うーん…私は何してるんだろう?と思っていましたかね。あまり覚えていませんが。モチベーションの向けどころに困っていた記憶があります。」

関「たしかに、そうなるよね。」

奥本「でも、そこで救ってくれたのがAAEEでした。具体的には9月に急遽開催されたバングラデシュプログラムです。乾いていた土に、ある日突然たくさんお水が与えられて、根がぐんぐん張られていくかのように私の心にパワーが生まれました。」

関「あの一か月は燃えたよね。僕も燃えた。咲英さんはフィリピンに行けなくても、日本でやりがいを感じられることに出会えたわけだ。」

奥本「もしかしたら、留学と同等かそれ以上の経験ができたかもしれません。あんなに心血を注げることがあったなんて。ちょっと落ち込むことがあっても、人生まだまだ捨てたもんじゃないなと本気で思いました。チャンスはいくらでも転がっています。」


関「その通り。ところで・・・そのチャンスと巡り合うためには、大前提として、どこかに“所属する”ことが重要になってくるんだよ。」

奥本「どういうことですか?」

関「咲英さんがバングラデシュプログラムに着手できたのも、こうして僕と一緒にブログを書けているのも、AAEEに“所属していた”からでしょ?さらに、自分が気落ちしている時でも、周りに元気に活動している人がいれば、その人たちから支えてもらったり、見習うこともできる。それもこれも、“所属している”からなんだ。」

奥本「なるほど。たしかに人と会えなかったこの一年間で、ネットワークの大切さはかなり実感しました。所属していなければネットワークに入ることはできませんね。その点、今の大学一年生は本当に不利な立場にいると思います。」

関「ただでさえ何かと抱え込んでしまう時期なのに、人とのつながりがないのは辛い。咲英さん、マズローの欲求五段階説って知ってる?」

奥本「聞いたことないです。なんですか?」

関「調べてごらん。ブログの読者さんも、ぜひ調べてみると良いと思います。」

奥本「人間の欲求を5段階で説明しているんですね。」

関「そう、その下から三つ目に『社会的欲求』とあるでしょう?それが、所属欲求なんです。帰属意識を持つことで得られるのですが、今の一年生はほとんど満たされていません。上智大学生でありながら、キャンパスに行かずずっと家で授業を受けている。自分がどこに所属しているのか、よくわからない状況なのです。」

奥本「サークルに入れていない学生も多そうですよね。これは、一段階の欲求が満たされれば次の段階に進めるというシステムですか?」

関「そう。だから、まずは社会的欲求がきちんと満たされないと、次の承認欲求、最終段階の自己実現にはステップを踏めない。」

奥本「よく分かりました。では関先生は、一年生にはとにかく“どこかに所属すること”を勧めたいのですね。」

関「AAEEじゃなくてもいいけど、所属して、仕事をして、周りから認められて、最終的には自己実現を目指していってほしいと思っているよ。もちろん、AAEEをオススメしたいけど(笑)」

奥本「AAEEには本当にやりがいのある仕事が山ほど転がっているし、優秀な学生アシスタントたちとネットワークを作れるのは大きな財産になるでしょう。」

関「今咲英さん『やりがいのある仕事」って言ったけど、どうしてAAEEはやりがいが感じられるんだと思う?」

奥本「え、どうしてだろう…。」

関「それはね、AAEEがやっていることは全て理論に基づいているからなんだ。世の中には『とりあえずやっておけ』なんて指示を出す人がいるけど、僕はそういうのが大嫌いでね。理にかなっていることしかやりたくないし、学生にもやらせたくない。教育者の端くれとしてのプライドだ。」

奥本「もう少し詳しく教えてください。」

関「たとえばさっきのマズローの欲求五段階説みたいに、人間の行動の多くは理論で整理できるんだ。そういった理論が、AAEEのタスクには散りばめられているというわけ。学生たちは気が付いていないけどね。」

奥本「私たちはAAEEで活動をしながら、実は様々な理論と対峙していたのですね。なるほど、やりがいを感じられるわけです。関先生と出会って一年半ですが、初めて大学教授らしい一面が垣間見えました(笑)」

関「(笑) 聞き捨てならないけど、まあいいでしょう。一年生のみなさんには、今後どこに所属して、どんな仕事をして自己実現を目指していくか、考えてほしいですね。うまくいくかどうか心配してばかりでは始まらないですよ。最初から完璧にできる人なんていません。とにかく所属さえしていれば、チャンスは舞い込んできますから。」

奥本「関先生、今日も貴重なお話ありがとうございました。」

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