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自分の立ち位置はどこなのか

家に滞在することがほぼ義務付けされ、外出も1時間が最高だというフランス。本当に色んなことができません。対人もできなければ、運動もほぼできない。自分はまだ家も大きく、庭もあるのでいいほうなのですが、町に住んでいる人は大変だと思います。

とにかく、自分の中での旅の続きを綴っていきたいと思います。皆さんも新型コロナには十分に気をつけて、暇つぶしぐらいに読んでいただけたらと思います。


さて、前はミュンヘンのカンパニーに入団が決まったと言うところでした。カンパニーのオーディションが2月だったので、それから9月まで時間があり、日本に一時帰国し、2002年の9月から最初のシーズンが始まりました。

ここで余談。知っている人も多いかもしれませんが、ヨーロッパは夏休み明けの9月がシーズンの始まりです。それから7月までを1シーズンとして働きます。契約は大体所属カンパニーとは1年契約、9月から7月まで、そして8月が夏休みです。

とは言うものの、劇場に所属しているカンパニーでもツアーはあるので、それが8月のフェスティバルだったりするときも勿論あるため、そういう場合は休みにはなりません。


兎に角、最初のシーズンが始まるわけですが、自分が所属していたのはコンテンポラリーのカンパニーだったので、比較的早い段階で舞台に立つ可能性もあります。

クラシックのカンパニーなどは、上下関係みたいなランクもあるので、踊っても周りだけだと言うことも多々ありますが、それは普通です。


この時、個人の感想ではなく、一人のダンサーとして思ったのは、やはり自分がどういうダンサーなのかと自覚する事が大切だと思った事。

前にも書きましたが、ただ中心を踊りたいとかソロを踊りたいとか思っていても意味ありません。コンペティションや大会で優勝するっていうアマチュアレベルではなく、芸術作品を世の中に公開しなければいけない場所に行くわけですから。

そのプロの集団の中での自分の位置と存在。それが何なのかを冷静に判断する事。自分がなぜにこのカンパニーのボス(振付家)の目に止まったのか。なぜオーディションの時にカンパニーに必要だと思ってくれたのか、と言う事。


自分の場合は、日本人ダンサーが一人抜けると言う事と、その時公演されていた振付で踊っていたパートのダンサー(別人)も抜けるからそこを踊れるダンサーを探していたと言う事。それに自分がなんとなく合ったという事、運ですね。

コンテンポラリーのダンスは特にかもしれませんが、パートによってダンサーを探したり、個人個人を見る事が多くなります。つまり、全員がソリストなのです。エキストラを探しているのではないと書くと、分かりやすいでしょうか。


そこで、自分を周りと比較して判断した事は、「体が硬くテクニックもあまりない。体型はそこまでだし、中心にはなれない。」でしたので、言い換えればこうだと自分に言い聞かせました。

「体が丈夫、だから怪我をできるだけしない。テクニックがない分、全ての振付けを覚える気分でやると成長はできるし、もしもの時に誰かの変わりができる。体型は動きでごまかすしかない。そして周りを把握する能力を高めればいい。」でした


自分は輝かしいことはできないかもしれない。でも泥水を飲んで丈夫にはなれました。実際それにより、ソロをファーストキャストで踊っていた人よりセカンドに任命されていた自分の方がソロのパートを最終的には舞台に沢山たっていた事もあります。自分ができる事で自分のカンパニーの位置を確立できればカンパニーでも居場所が作れるでしょう。

結局ここでも、自分を知ることが大切。そしてそれを受け入れることが重要だと学びました。なりたい自分は空想であり、自分の真実とは違うかもしれない。ただ長所が自分の中心になればいいのではないでしょうか。


実際に思っていた自分より、突き進んだ自分の方が、他人にとっての「理想の人」と成るんですから。自信を持って悩んでください。

Never give up! 父親が自分に言い聞かせてくれた最大の贈り物です。


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