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医療職が介護・福祉職に話をするときに気をつけるべき3つのこと

はじめに


私は医療職ですが、10年以上地域・在宅の現場で働いているため、介護・福祉職の方とはたくさんコミュニケーションをとってきました。
介護・福祉職の方に向けて講習をおこなう機会も多く、その中で実体験として介護・福祉職に話をするときに気をつけたほうが良いことの学びを得ました。
「介護・福祉職に向けて講習をおこなう」「介護・福祉職とのコミュニケーションがうまくいかない」といった方は、ぜひご覧ください。

本編

医療職が介護・福祉職に話をするときに気をつけるべき3つのことは以下の通りです。
①最初に敵ではないと知らせること
②正論を押し付けないこと
③原理原則ではなく事例などに落とし込んで話すこと

①最初に敵ではないと知らせること


「えっ?なにそれ?」と思われましたか?
しかし、これはとても重要なことです。
なぜなら、まずはこれをおこなっておかないと、この後どれだけいい話をしても聞いてもらえません。
すべての人にあてはまるわけではありませんが、医療職に対して敵対心を持っている介護・福祉職の方もいます。
原因は色々あると思いますが、個人的には日頃周囲の医療職が偉そうにしているのではないかと思います。
これは壇上に立ったものにしかわからないのですが、受講者の目つきでこちらのことを警戒しているかどうかはすぐに分かります。
そこではじめに、「私は見方ですよ」「あなた達の日々の困りごとを解決するためにきました」ということをアピールします。
何を話すかよりも誰が話すかが重要です。

②正論を押し付けないこと


これは介護・福祉職の方に一番嫌がられるやつですね(笑)
介護・福祉の業界では、背景因子(個人因子や環境因子)が物事に大きく影響します。
そのため、「論理的に考えるとこうだ」ということが、通用しないケースも少なくありません。
そのため、介護・福祉職の方は正論を押し付けられることに対して、「でも現実では」といったように反発心を抱きます。
こうならないためには、あくまでも現場での多様なケースがあることを説明しながら、その中に正論を散りばめていくような工夫が必要です。

③原理原則ではなく事例などに落とし込んで話すこと


公式→例題ではなく、例題→公式の順番で話をすること。
「普通は逆じゃないの?」と思われるかもしれませんが、普通は逆です。
普通は先に公式を覚えるほうが、その後の問題を効率的に解くことができます。
①で話した内容と重なるところもあるのですが、いくらいい公式を提示しても、それを現場の課題と紐づけて考えることができなければ役に立ちません。
介護・福祉職の方は事例などに対してはとても興味を示してくれます。
抽象→具体よりも、具体→抽象のほうがイメージしてもらいやすいというのが私の印象です。


おわりに


いかだだったでしょうか。
私自身、介護・福祉職の方に対して講習などもたくさんおこなってきましたが、「今日の話は喜んで聞いてくれていたな」「今日は全然楽しそうじゃなかったな」といったことを繰り返してきました。
また、そういった成果は必ずしも「準備の量」とは比例しないことも経験します。
事前準備をしすぎて、かえって話が難しくなり、受講者の満足度が低かったこともありました。
事前準備は大切ですが、「誰に話すか」「その対象者はどのような性質があるか」を最初に想定する必要があると感じています。
介護・福祉職の方に向けて講習をおこなう方や、コミュニケーションに困っている方は是非参考にしてみてください。

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