弁護士 向原栄大朗

弁護士 向原栄大朗

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【思考実験】弁護士法の素人が、弁護士法72条がない世界を想像する

はじめに  弁護士法72条撤廃せよ・「非弁」という概念自体の撤廃(つまり、法律事務の自由化)、という論旨を唱える市会議員のツイートが法クラで話題になっているようです。  じつは、この手の話は、業際問題というかたちで出てきますが、この手の言説の特徴は「市場原理」という言葉とともに、しばしば浮かんでは消失しています(尤も、こうした言説における「市場原理」の中身が曖昧なのが難点です・・・要するに「好き勝手に競争させて、負けたやつは市場から放逐しろ」という程度のもののようである)。

    • 【弁護士向け】相続問題における非弁該当性の考え方

      理論的にはむずかしくない相続問題の非弁該当性は、理論的にはカンタンです。 まず、遺言。 遺言は誰が書いてもいいわけです。 ただし、代書は、行政書士・司法書士は「法的整序」の範囲内。これを超えたら鑑定要素が入るからダメという理屈です。 遺産分割協議書も同様です。 契約書類も含めた「権利義務文書」すべてについて同じことがいえます。 理屈はカンタン。では立証は・・・? ところが。 理屈はそうですが、立証でつまります。 結局、背後のサジェッションを立証することが難しいのです

      • 兄弟会社における法律事務の委託につき、「弁護士法72条本文に違反すると評価される可能性がある」とした、産業競争力強化法第7条2項の規定に基づく法務省回答(令和4年6月24日)※1についての雑感

        このところ、弁護士法(以下「法」)72条関連についての産業競争力強化法第7条2項の規定に基づくグレーゾーン解消回答(以下「グレーゾーン回答」)が相次いでいるところですが、今回出されたグレーゾーン回答(以下「本回答」)は、「兄弟会社間における法律事務の委託」についての回答でした。 これと類似するのが、「親子会社間の法律事務の取扱いと弁護士法第72条」(2003年 法務省大臣官房司法法制部。以下「2003年見解」※2)であるが、これは、親子会社間での法律事務の取り扱いについて、

        • noteを始めるにあたって

          私は、14年ほど前から、「福岡の家電弁護士のブログ」という名称で、司法改革や事務所運営、法的な時事問題に関する私見や資料をまとめたブログを書かせていただいていましたが、その後、事務所ブログに引っ越しつつ、他方で、気軽に投稿ができるSNSに投稿する機会が圧倒的に増えました。 SNSは、スマホで気軽に投稿できてよいのですが、投稿しっぱなしになってしまいます。ときおり「これは保存したいな」というものは事務所ブログに保存するようにしていたのですが、比較的面倒だし、また、ノウハウに渡る

        【思考実験】弁護士法の素人が、弁護士法72条がない世界を想像する