【明るい悟りのひらき方教室07】 来世や天国はあるのか?
この世界に生れ落ちたということは、いろんな「生まれなかったかもしれない確率」とか「絶滅したかもしれない確率」を乗り越えて、とりあえず「ワンチャンス」を与えられたのだというお話をしていたところでしたね。
そして前回は寄り道をして、仏教というのは「バラモン教」「ヒンズー教」といった、仏教以前の宗教の影響を受けていて、その上で
「仏教者(修行者)は労働をしなくてもいいんだ」
というズルっこ(特権階級)の上に成り立っていたんだ、という話も付け加えました。
しかし、私たちはバラモンのような特権階級でもないし、労働や辛い仕事をしながら生きていかねばならないわけで、いくらワンチャンスがあるとはいえ、それは100%全てのラッキーやハッピーの塊ではなく、
「いいこともあるけれど、辛いこともあるよね」
ということを確認しておかざるを得ないわけです。
ところが、幸いなことに、私たちはいま、世界をふくめて日本社会においては
「一番幸せで平和でハッピーな世代」
を生きています。今がたぶん、世界の中では一番すばらしい時期を生きていて、これからは落ちてゆく一方かもしれません。
「え?世界にはつらいことや悲しいことがたくさんあるのに、今が一番幸せな世代だって何を言っているのだ?この人は」
と感じる人も多いと思いますが、実は今がいちばん幸せな時代で、みなさんはまさにその時を生きていることは確かです。
たとえば、昭和20年に生まれた団塊の世代である私の父親は、関東と東北の震災の起きる数日前に死去しました。
そうすると彼は、「戦争を知らずに、僕らは育った」という世代に相当して、太平洋戦争のその後に起きた「阪神大震災」は、ちょっと離れた場所で経験したけれど、「関東と東北の震災」は知らずに死去したことになります。
その後やってきた「新型コロナ禍」なんかは知りませんし、これからやってくるかもしれない「中国との戦争」なんかは知る由もなく、死んだことになります。
つまり、うちの父親は「戦争・戦乱・地震・災害・大型台風・水害・疫病」なんかを、ほとんどスルーして亡くなったわけですね。
ついでに言えば、彼の初任給は3万円でしたが、あれよあれよという間に初任給が18万くらいの6倍になり、それからバブルを経て、日本の経済が一番おいしかった時代を大半過ごすことができました。
それに対して、僕らの世代などは、初任給が18万でちっとも変化なしですから、完全に横ばいの「失われた20年」を過ごしたわけですが、それでもまだ、昭和の戦争も知らないし、これから起きる大戦争なんかは知らないわけですから、今はまだなんとか幸せの範疇にいると言えるでしょう。
戦後、犯罪率とか飢餓率なんかは、ちょうど今が最低であり、戦災孤児がそこらへんをうろついていたり、飢えた人たちがそこらへんで野垂れ死んだりしているのを見たことがないように、基本的には
「私達は、いい時代を過ごしている」
と言えるわけですね。
個人の感想としては、おおむね80年代、90年代、2000年代くらいが、日本人が体感するベスト・ベターな世の中だったのではないでしょうか。
スマホはまだ発明されていないけれど、小型パソコンの東芝リブレットはあったし、シャープのザウルスというPDAもありました。カシオの液晶テレビがあったので、番組はどこでも見られたし、ウォークマンは若者がみな持っていました。
iphoneはありませんでしたが、ガラケーがあってメールとimodeが出来たので、まあまあ事足りました。imodeではゲームも楽しめたしね。ギガはまだありませんでしたが、パケ死はありました。
電気自動車はなかったけれど、ガソリン車ではどこへも行けたし、どのみち今も昔も月へは旅行できなかったので、大きな違いはありませんでした。
そうして考えてゆくと、80年代の日本人はべつに何も不自由していなかったわけで、それが2000年に入って、2020年を迎えていろいろと技術は進歩しているけれど「できなかったことが根本的に何かできるようになる」わけではなく、進歩とはつまり「あれやこれやがくっついただけ」で「できることそのものは、変化していない」ということがわかります。
つまり、人類はたいして進歩しているわけではないのですね。
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