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エホバの証人を辞めたあなたにこっそり教える人生の成功法


 前回のお話で、あまたあるキリスト教の中で、エホバの証人の信者さんには、おなじプロテスタントから見ても「救いがない」ということを書いてしまいました。

 まあ、現役の信者の方はわたくしムコガワの書くような異端の文書は読まないでしょうので、別に気にしなくてもいいのですが、悲しいのは「自分たちには神から救われる証(あかし)がないのか?!」ということに気付いてしまった人たちです。

 そこで今回は、「もしかすると元エホバの証人だけが手に入れられるかもしれない」人生の成功の秘密、をお届けしようと思います。

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 さて、混迷を極める現代の日本社会で、文壇・論壇にあってかなり尖ったインテリジェンスを発揮しておられる方が幾人かおられるのですが、武庫川がずっと注目している2人の人がいます。

 一人は、佐藤優さん。この方、あのロシアとのつながりで一時期話題になった政治家・鈴木宗男の右腕で、外務省の分析官を務めており、有罪・失職ののち現在は作家活動をしています。

 厳密に言えば、彼はスパイではないのかもしれませんが、諜報活動・情報戦略という意味においては、現代日本の最高頭脳の一人であると、ムコガワは勝手に思っています。

 佐藤優さんが変わっているのは、その思考ベースにキリスト教があることです。彼は幼少期プロテスタントの教会に通い、その後同志社の神学部を出ており、キリスト教神学を究めるために外交官になったということでしょう。

 佐藤さんの論考が優れているのは、現代西欧社会の根幹である「キリスト教」をきちんと把握した上で、現在の世界情勢と日本の立ち位置を見極められることにあります。

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 もう一人は橘玲さん。この方は元宝島社の編集長を経て、経済小説から現代を読み解く論考を多数発表なさっている作家です。近年では「言ってはいけない」のシリーズがベストセラーにもなっています。

 橘玲さんの論考は、基本的に「エビデンス主義」にあり、何か物事をつまびらかにするときに、どのようなエビデンス・証拠・具体的データがあるのかを根底に持ちながら文章を書くので、説得力があります。

 しかし、橘節のもっとも面白い点は、実はそこではなく、キリスト教やイスラム教をはじめとした世界の宗教におけるベースをきちんと踏まえて話を組み立てているところです。

 橘玲さんの「宗教的に濃い」お話は、

https://diamond.jp/zaitachibana

にずっと連載がありますので、ぜひご一読なさることをオススメします。


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 さて、今回は、その橘さんの記事から

https://diamond.jp/articles/-/242030

を拾い出して読み解きながら、話を進めてゆきましょう。

 記事の骨子は簡単です。

 トランプ大統領がアメリカの大統領選に勝利したバックには、キリスト教信者の力があることは、よもやま話的にもよく知られたことかと思いますが、実は彼自身も幼少期に教会に通っていて、そこで

「ポジティブシンキング」(思考は実現する)

という思考を広めていた牧師に、直接教わっていたというのです。

 日本では「引き寄せの法則」といった語で用いられるこの発想は、スピリチュアル界や、自己啓発、ビジネス本などの根幹を成す、重要な考え方ですが、実はその底流はプロテスタント神学にあります。

 この話、前回の記事を読んでいる人にはすぐにピンとくるでしょう。そう!カルヴァン的キリスト教の解釈では、

「経済的成功は、神があなたを救うと決めた証であり、祈りと実現と成功が結びつくことは、神のお眼鏡にかなったということだ」

という理屈でした。

 しかし、カルヴァンの考えとは異なる部分もあります。カルヴァン主義では「経済的成功」は確かに神からの証でしたが、成功しても人々は禁欲的に生活し、けして堕落はしませんでした。

 なぜならその成功は「神に認められたもの」であるが故に、「いっそうそれにまい進すべきもの」であって、けして「成功後、自堕落に生きる」というスタンスではなかったからです。


 ところが、そこにカルヴァン主義とはまた異なるアイデアが出てきます。19世紀のアメリカで生まれた「ニューソート」では、聖書の内容を従前とは異なる立場で解釈する運動が起き、

「人間の意識は宇宙(神)とダイレクトで繋がっていて、その根拠は聖書にある」

みたいな考え方をします。

 また

「全人類には、喜びと発展、幸福のチャンスが与えられている」

といった発想もあります。

 このあたりから、これまで一方的な「神側からの恩寵であった幸福や成功」が、「それを示す証拠が経済的成功だ」となり、最後に「それは人間の側から働きかけて引っ張ってくることができる」と変化していることがわかるでしょう。かなり信仰が俗物的に変化していることもわかります。


 一体どれが聖書の神による真実なのかはわかりませんし、むしろ全部間違いという可能性がなきにしもあらずですが、少なくとも現代の欧米社会は、旧来の伝統キリスト教のベースからそれを批判し、乗り越えて、異端化しながら発展してきたことが垣間見えるというものです。

 こうして全体像を通史で見てゆくと、キリスト教世界の変容がわかるのですが、「カトリックならカトリックにずっといる人」「プロテスタントならプロテスタントにずっといる人」「エホバの証人なら、その会衆にずっといる人」には、その変化がよくわからないかもしれません。


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 さて、ではいよいよ本丸部分です。エホバの証人を辞めた人には、成功するチャンスがあるというのは一体どういうことなのでしょう。もちろん、前回お話したように、エホバの証人の信者として留まっている間は、生産活動を行いませんから、経済的にはどんづまりであり、また、プロテスタント的理屈から言っても、神が成功という証(あかし)を与えてくれることもありません。

 むしろ仏教の出家信者のように、「経済活動と俗世から離れる」ことを主眼としているわけで、清貧にして死すというのが、少なくとも復活前の信者の理想像ということも言えなくはないわけですね。

(個人的には、これでもし楽園も復活もなければ、大損・まる損の大バクチだと思うのですが、それはまあ横に置いといて)


 しかし、エホバの証人を辞めた後では、話が別です。

 辞めてしまえば、清貧にして死すということを実行する必要はなく、むしろ、積極果敢に「経済活動」をやってみることができます。そして、現代社会と資本主義の根幹である

「キリスト教神学を知っている」(それも、普通の人より、普通のクリスチャンよりはるかによく知っている)

ということは、うまく利用すればアドバンテージ以外の何ものでもありません。

 佐藤優さんや、橘玲さんが、キリスト教神学を把握しているからこそ、現代社会の混迷を読み解くことができるのと、同じことがあなたにもできる、ということなのです。

 幸いにも、エホバの証人のみなさんは「聖書研究のプロフェッショナル」であることは疑いありません。ただし、その研究が偏っていたことは事実なので、おなじ学びを「外側の世界」「別のキリスト教の教義の世界」と対比させながら、範囲を広げてゆけば、

 おのずと現代社会、資本主義社会、経済社会が読み解ける

ことは間違いないのです。

 うそだとお思いなら、まずはその見識を外界に広げてみてください。めちゃくちゃ面白い事実や、歴史、事態がそこに隠れていることは、おのずとわかるはずです。

 ちなみに現役のクリスチャンの人たちもまた、「教会内」に留まっていることになりますので、そこから出ない限りは、この世界で何が起こっているのかを正確に把握するのは難しいといえるかもしれません。


◆ 聖書の深い探求

◆ 聖書に関する知識

をベースにしながら

◆ 世界史や現代欧米史、経済学、社会学

が組み合わされば、この社会をうまく泳ぎ渡るには最強の布陣ができるというわけです。

 実は、古代から現代にまで通じる科学の発展というのは、結局は

「神のみわざを解き明かす」

ということでした。

 聖書で言えば、いちばん最初にアダムが、このセカイのものを全て調べて、それにふさわしい名前をつける、というところから既に科学だったのですね。

 宗教と経済が結びつくところも、似たような部分があって、言って見れば

「神のみわざを正しく解き明かせば、人類は経済的にも豊かに、幸せに暮らせるだろう」

というイメージが生じることは、いかにも自然なことと言えるでしょう。

 エホバの証人を辞めたあなたであれば、そうした観点でこのセカイを見つめなおすことはそれほど難しいことではないと思います。

 そして、その合致点は以外にもたくさんのところに転がっていますから、まるで神が与えてくれたヒントを解き明かすように、あなたもまた、豊かに生きることができるのです。


 その具体的な内容や、方法については、おいおいこのnoteで解き明かしてゆきますから、ぜひ興味を持っていただければと思います。

 では、今回はこのあたりで。









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