SNSのおんなのこたち

憧れのあの子と同じように
君も平面だから忘れてたよ
会いたいとか友達になりたいとか
思うだけで罪だった

わざわざ意識しない
日常の一部が言語化されたせいで
私のなんもない
日常の全部が塗りつぶされていく

SNSのおんなのこたち
あんなに近くに感じてたのに
指をくわえて見ていることしかできなかった
今君が消えたって
私が知ったこっちゃないって
分かってたって知りたくて
分かってたって教えて欲しかった
あの通知音で

説明できない執着心
隠しても隠さなくても
いずれすれ違ってサヨナラするの
こんな気持ちになるなら
最初から知らなきゃ良かったなんて
その間際、簡単に書かれた識別番号

わけわかんない
なんでそんな足がつくようなことするの?
私なら期待……期待しちゃダメだよ

私のどうしようもない人格の一部が
分離しちゃったせいで
"ワタシ"はもう用途外
君が生きてるならそれでいい

……嘘!

SNSのおんなのこたち
平和で孤独で寝れない夜も
液晶のハートを押すことしかできなかった
今君が死んだって
私が知る術はなくて
分かってたって知りたくて
分かってたって教えて欲しかった
あの通知音で

会ったこともないのに
なんでもかんでも知ったかぶりするな
癖になった逃避に味をしめ
現実さえも剥離させていく
気になるあの子の内臓
啜ってみたら美味くはなかった
中身はぱっくり見せてくれるのに
外見はなんも知らん

SNSのおんなのこたち
寒くて凍えちまいそうな朝に
消えた記録見返すことすらもうできなかった
今私が死んだって
誰も知っちゃくれないって
分かってたって死にたくて
分かってたって知って欲しくて

SNSのおんなのこたち
SNSのおんなのこたち
SNSのおんなのこたち

だいすきだったって伝えて欲しかった
あの通知音で

聞いてくれてありがとうございます。