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掌篇・短篇小説集

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短篇小説『人でなしの午后』

『人でなしの午后』 (『Z夫人の日記より』<108>) 4月某日 青(1/3) <仕事兼デートを致し…

武川蔓緒
2年前
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【ピリカ文庫】掌篇小説『東の街へはもう行かない』

広告会社のNさんに出会ったのは、去年の今頃。職にあわず、流行にうとい、ぼんやりとしたひ…

武川蔓緒
2年前
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短篇小説"TYPHOON"

朝、カーテンをあける。 空はパールグレイ。ふるえる硝子戸2枚を、両手でおしあける。裸に、…

武川蔓緒
2年前
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掌篇小説『金輪際の河』

 高校三年の時、大晦日から正月にかけ、林間学校があった。 『喧騒を離れ受験へ臨む精神を研…

武川蔓緒
2年前
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短篇小説『みずうみ』

大学時代の恩師に会う。 もうそれなりの齢で、施設にはいり、寝台で過ごす時間がながいよう…

武川蔓緒
2年前
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掌篇小説『盃』

男の、岩のように膨れあがった顔を見て、女は、おどろいた。 「その顔、どないしはったん………

武川蔓緒
3年前
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掌篇小説『港にて』

滅法、酒によわくなった。 好きではあるのに、四十路を過ぎた頃から、飲むと具合が悪くなったり、猛烈に眠くなったり言動がおかしくなったり、記憶をなくしたり幻影を見たりするので、ひかえていた。 その日は、歌のライヴが夜にあり、共演する女性ピアニストと夕刻に会い、スタジオでリハーサルをしたのち、時間があいたので、若者向けのカフェに寄った。見知らぬ甘ったるそうな名前の、珈琲風味のデザートっぽい飲み物を注文し、飲んでいたら、ピアニストが「それ、リキュールたっぷりよ」と。だのに私は、ま

掌篇小説『如月、おばさん』

事務所の後輩で、S君という男性モデルがいる。世界にも通用しそうなスタイルをもちながら、…

武川蔓緒
3年前
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掌篇小説『肌月』

『肌月』というのが、近ごろわたしたちの星に接近している。 月とはちがい、こちらから触れ…

武川蔓緒
3年前
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掌篇小説『5時から五時までの月夜』

二月2十六日 逢瀬 相手は、こねくりまわし焼きあげたパンみたいな、筋肉と脂肪とをもった大…

武川蔓緒
3年前
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掌篇小説『23年種』

百貨店へ。 なじみの洋服ブランド店にゆくと、見覚えない女性店員が独りでいた。入社したばか…

武川蔓緒
3年前
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