ミューズミューズミューズ
ひやりとした朝
畳の上
糸より細い髪
少し触れる
バイトに行くよ
そう投げた
寒空の中
自転車を焦がし
食べ散らかした机の上
友という名で
集まるこの会に
一人虚しく帯びる熱
手を伸ばし
青磁を傷つけぬよう
逃げた初夏
10指染める
マニュキュアの色味で期待する
改札口
彼女たらしめる
ココナツの香り
艶やかな緑
私はまだ好きだと
未練のせる
エスカレーター
欲望をどこによせる
その膝元に
焦がれても叶わぬわもので
テーマパークに落ちる夕焼けで
境界を越したあの日
偽の列車が
この恋は本物かと問う
見慣れぬ帽子
おめかしだと気づき
心を囃す
友に戻る
終止符を打たせた
意気地のなさ
後悔するほどに
私では守れぬと気付く
君が好きだと言うから
カゴの奥にしまい
内緒で買ったあの玩具
まだ終わらせたくないと
言葉を残し
返答は欲しくないと部屋を出る
ガス台にオレガノと煮込まれたパスタ
指のサイズを知らず
ただ一目彼女の視線を奪った指輪
手に入れる
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