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EC20年史で最も心に残るもの。

震災後のEコマース動向。その回復の速さ。ECは社会に無くてはならないものに。

当社GMOメイクショップも創業から18年が経ちました。ありがとうございます!

周年を機に、EC20年史なるものをまとめております。

そうすると、やはり一番大きな出来事はと言うと、わたしの中では「2011年3月11日の東北大震災」です。その時のデータを残して記録しておきたいなと思ったのがこの記事を書く動機です。

先ずは、ちょうど3・11の東日本大震災から1ヶ月が経ったころ。
私たちEコマースの支援事業者としては、何よりもネットショップ様の売上状況は気になるところ。震災後のEコマース(インターネット上での売買)の動向を調べてみました。

被災直後1週間は最大マイナス87%減


まず、被災4県と言われる岩手・宮城・福島・茨城でのインターネット上での売買額(流通額)がどれほど変化していたのか。またそれが直接的な原因として売上に影響を与えていたのかを見てみます。注文件数は注文者が東北4県からのものと、お届け先が東北4県の物とで分けてみてみます。

2011年当該時期MakeShop流通額全データより

4県での人口比率は6.7%
ネットショップ事業者の比率は、2.3%(※MakeShop内参照)
ネットショップ事業者の比率は人口比率に比べて少ないですね。
これは現在のデータでも同じ傾向ですが、ネットショップ事業者比率のワースト5は、47位岩手県、46位青森県、45位秋田県、44位三重県、43位宮城県となってます。

地方創生の文脈で地方生産者、特産品などまだまだ埋もれて居ると思いますので、これからもより一層、地方創生支援を行政や地元の企業様と一緒にやりたいと考えてます。

話を戻して、2011年震災当時、ネットショップの購入者も販売者も圧倒的に関東圏が占めていますが、被災県の影響度は直接的には大きくはなさそうです。他県からの被災4県へ送られる商品の注文件数(グラフ上)と被災4県からの注文件数(グラフ下)を見ると、震災直後1週間は最大87%も落ち込んでいました。最大の下げは宮城県。

また、その後の推移を見ると、震災の影響で一時的に落ち込みを見せたものの、震災前週と一ヶ月後注文数比で100%近くまで回復しています。ただ、福島に関しては85%にとどまっているのは、恐らく配送の問題からかと思われます。

もう一つ言えることは、当時、全国的に消費自粛はもちろん、支援も個人で物資を送るのは憚られるという風潮がなきにしもあらずですでしたが、データで見る限り被災県へのネットショッピングによる商品発送は通常時と同じように行われていたということです。

当時の避難所生活者は14万人(4県の1.6%)程度で、残りの98.4%の人々はご自宅にいらっしゃったということです。物流もほぼ回復しておりますし、福島県の極一部を除いて自宅へ商品を届けることができるようになっておりました。私の周りでも被災県在住の親族へ物資を求められて送っていたと言う話を記憶しております。

被災4県の流通額に与える直接的な影響がほぼないとわかった次に、全国的に冷えていた消費マインドがどう流通額に影響を与えていたかを見てみたいと思います。

全国的には被災3週間後には売買量は戻っていた

2011年当該時期のMakeShop流通額全データより

これは、当時のMakeShopの有料約4,000店舗の日次流通額の推移です。曜日変動があるため、7日間の移動平均を出しております。

震災直後17%DOWN、2週目7ポイントUP、現在さらに12ポイントUPで、震災前比で2%上がっております。全体としても完全に戻っていると言えます。

福島県以外の被災3県も、全国的にも回復していることが見て取れました。

ただ各論では、扱う商材、物流センター、原料調達、仕入元などの複数の要因で震災の影響を大きく受けていたことは否めません。

震災時に売れたものは?


参考に、個別のショップごとの震災前後での売上変動をプロットした物です。

2011年当該時期のMakeShop流通額全データより

さすがに、震災直後は売上が下がった店舗が多いですが、逆に1000%(10倍)以上で売上が伸びているショップもありました。

売上が急増している商材的には、想像通りで、懐中電灯や電池や防災用品、備蓄用食品などでした。これはコロナの時はマスクが大量に売れましたし、災害時にECの役割が引き立つ事象ですよね。

まとめ

以上より震災のEコマースへ与えた影響は、一ヶ月で急激に回復したと見ることができます。データからも人々の強さを感じます。

またさらに細かな各業界の話を聞くと、震災が古い慣習を変えるパラダイムシフトを起こす契機となったとのことです。実際に、この後、2012年ごろからインスタントカートや、CtoCフリマなどのサービスが次々と開始され、地域の小規模な生産者、メーカーの方が容易にインターネットでの販売をできるような時代となっていきました。東北大震災が大きな契機であったという起業家も多いですし、時代の変遷は興味深いものですね。

追記

流通の回復にはもっと長い期間を要していたという感覚だったのですが、データで見るとかなり短期間なのですね。 流通インフラの強さがあり、未曾有の災害においても暮らしが守られているんですね。

Twitterにいただいたコメントより

このようなコメントをいただいて、改めてデータの重要性を感じました。データ(数字)は我々の感覚よりも現実を正直に言い当ててますよね。

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