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レ◯プ未遂に遭ってしまい、鬱発症で休職4か月目 その④警察署編

そのまま重い足取りで緊張しながら最寄りの警察署に向かった。
グレーの壁の暗く殺風景な取調室みたいな所に通され、若い男の警官と一対一で話した。この国では警官は態度は余り良くない。市民を守るのではなく市民を取り締まる仕事という立ち位置なので貫禄と威圧感たっぷりだ。一応ヨーロッパの大都市で移民も多く治安もまぁ悪いので、毎日犯罪ばかりで大変な任務なのだろう。私は苦手意識を持つと、言語能力も話をまとめる力も極端にポンコツになるので、事務的に調書を取りながらその警官は僅かに苛付いていた。怖い。

取りあえず匿名の被害届だけにし、相手には知られない形での通報にした。ビビリな私には戦う気力などなく、相手を訴える気はない(そういう所が狙われやすいのだろうか)。だが今後他の誰かも通報したり、過去にそいつの名前がリストにあると警察は動くというシステムらしい。

去年10月にも襲われそうになった件も一応届け出ておいた。そいつの名前と住所を言えるか聞かれた。言うと10月の男は名字からしてジプシーだろうとの事。
え、めっちゃ怖い…。道理でお金を請求したりとレベル違いに暴力的だった訳だ。ジプシーの男を夕暮れ時に一人暮らしの家に上げて、無事に済んで本当に良かった…。私は無知で無防備で何て怖い事をしているんだ馬鹿なんだとまた自責が始まる。

一応医者の手紙も見せた。私が過去に親から性的を含む虐待を受けたと記載してある。一貫して事務的で横柄だった警官は読みながら少し優しい目になった。その手紙については何もコメントせず、「今から警察の管轄の医師(うろ覚え)に会いに行くか?」と聞いてきた。よく解らないが医者には会いたいので行くと答えた。
警官はすぐに電話をし、21時に予約を取った。1時間半後で場所は今いる場所の反対側の郊外の街で、治安が悪い所である。車はあるかと聞かれ、ないと答えた。送ってくれる訳はないようだ。こんな時間にそんな危ない街に一人で行けないから別の日にして欲しいと頼んだ。すると今日でないとダメだから無理ならもういいよと。
何をする人か突っ込んで聞くと、その医者は精神科医ではなく、例えばレイプされた人から体液を検出したりする様な人で、私の話を聞き警察にアドバイスするという役割を担うらしい。
私はもうシャワーしてしまったと、聞かれてそう答えたのに何で行くんだろうと思った。良くわからないけど怖くてもう聞けない。心配性の私は、メンタル疾患持ちだと知られて虚言を疑われているのかと危惧したので。
その医者に嘘発見器に掛けられる様に私が話している姿を見られ、真実を話しているか審判されに行かなきゃいけないのかなと思って気分が悪くなった。警察に行ったら被害を真っ当に証明できると思ったのに、まだ足りないのかと。
私がこの国でほぼ誰も信用していないので、自分も疑われると思ってしまう悪い癖がまた出たようだ。不安とさい疑心と被害妄想で一人悶々とする私を他所に、警官は調書を仕上げて判子をバンバンと押し、私は一読してサインして解放された。何だ大丈夫だったのか。

帰り道。公的な書類が一つ手に入って、正直言うとお守りのアイテムが増えたようで少し心が軽くなった。安心材料になる。私はホラ吹きではないよ、と。

疲れた頭と身体で良く頑張った日。

続く


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