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海外(カンボジア)ビジネスで大切な事は全てサーシャに教わった⑫プレゼン結果

最終プレゼンから一週間後。

プロジェクトの責任者からメールがきた。

残念ながら他社に決まった旨の事務的なメールだった。

負けが決まるとやはり悔しかった。

サーシャに

サクラ散る

その旨伝えた。


ビジネスの伝達に、叙情をいれないで。できるだけストレートに伝えること。言語や背景が違う者同士の海外での仕事は特に意識して

はい。おっしゃるとおりで。
可愛げないな、ったく。

オフィスにあらわれたサーシャに、ハリスとピールンも愛想がいい。この一週間やはりみんな寂しかったんだ。

「みんな暗いね」

サーシャは続けた。

「少なくとも私たちは堂々とこのコンペに向き合い、手を抜かなかった。その上で負けたのだから実力が足りなかっただけ。そして、会社にはコンペのやり方のノウハウが残った。ムハンマドにもいろいろ気づきがあった。シムサン側にも、ここに小さいけど必死にやっている会社があるということを知らせることができた。そして失ったものは、コーヒー代と製本代くらい。だから私は負けたとは思っていない」

負け惜しみのようにもきこえるけど、実際そうなのかも知れないな。何も失ってない。むしろ、サーシャの仕事っぷりもよくわかったし、ピールンとハリスとブレーンストーミングしたのも楽しかった。いい夢見させてもらったんだな。
すごく前向きになれた。

何気なくスマホをみると、もう一通メールがきていた。開いてみると、シムサン電子の役員からだった。

「先日は、競合プレゼンに参加いただきありがとうございました。貴社の内容は本当に良かったです。失礼ながら、あまり大きくない会社でしたが、背伸びしすぎず、小さくなりすぎず、また、プロジェクトをお任せしたら手を抜かずしっかりやっていただけると思いました。結果に関しましては先般のメールの通りで申し訳ございません。結果の理由はお伝えしないお約束でしたが、私の独り言を書きます。最終的には、少し大きいプロジェクトでしたので、資金力のあるほうに決まった。ということなのです。どうか気を悪くしないでください。

さすがは世界のシムサン電子。負けさせ方も超一流だ。

「みんな、このメールみてよ!お世辞だと思うけど、悪い気しないね」

「私たちの方向性は間違っていないと証明されたわね。足りないのは、カンボジアでの経験、実績、そして資金。もっとお金を作って、強い会社にしてかないとね」

そして、ハリス・・「いまだから言いますが、実はこのプロジェクト決まったら、やること結構大変だったし、全国に出張いかないといけなかったので、大学と両立できないからちょっとどうしようと思っていました」

ピールンも・・・「僕も、怒られるかもしれないけど決まらなくてよかったです。すごく大変そうだったから自分には無理だとおもっていました」

なんだよ、ふたりとも正直すぎるじゃないかよ。じゃあ、結論としては、コンペに参加したのはうちにとって成長のためのいい勉強になった。そして決まらなかったことが結果良かった。ということか。

焦らずに地道に実績をつくっていくしかないな。

「すべては神の思し召しよ。必要なタイミングで必要なものがくるから、今回はまだそのタイミングじゃなかっただけ。もう少しキャッシュが増えてきたら、投資の勉強もしていきましょう。心配しないで、私は、あなたと、この会社をもっと大きくすることができるわ」

「えっ、サーシャまだうちで働いてくれるの?」

「いいえ、必要なタイミングで私もくるから。いまのあたなたたちは大丈夫。いまのまま頑張って」

といって、颯爽と帰っていった。

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