海外(カンボジア)ビジネスで大切な事は全てサーシャに教わった⑳サーシャの告白その三


ある時、偶然Beijing Barを見かけて立ち寄ったの。特に意味はなかった。北京という名前があの憎い彼を連想させるものだったからかもしれない。もう中国人の前で肩身の狭い思いをしないで生きていけると思ったからかもしれない。

でも入って拍子抜けしたわ。中国人なんて誰もいない。いるのはくたびれた白人ばかり。でもなんかほっとした。この人たちはもうビジネスの一線から退いた人たち。ギラギラした世界とは無縁のおじいちゃん。

うそ臭い昔話ばかりする人たちの中で、ひとりだけ紳士的な人がいたの。その人は孤児院を運営しているけど、お金がまわらなくて大変だといっていた。

興味を持った私は次の日に孤児院を訪れた。

崇高な理念を持って、本当に子どもたちのことを考えてすばらしいんだけど、経営的にはダメダメだった。

そこを指摘すると、そんならお前がやってみてなんとかしろと、怒られたわ。ひどい話でしょ?」

なんかわかる気がする。きっといつもみたいに上から目線だったに違いない。

「売り言葉に買い言葉で、1ヶ月ここで働いて、財務状態をよくしてあげるっていっちゃったんだよね。私もなにかに没頭したかったのかも知れない」

アルバイトではなかったんだね。

「そう、スポンサー制度の見直し、自ら稼ぐ仕組み、見学者にお金を落としてもらう方法、アメリカ本国への訴求、カンボジア富裕層、若者への啓蒙、SNSでの発信など、いろいろ手を売ったの。そんなときにあなたの会社にたまたま小さな発注をしたというわけ」

またまたサーシャから聴く話はなかなかパンチが効いていた。

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